「痛風というと足の親指が痛くなる病気」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
実は耳にも症状が現れることがあり、耳に痛みやしこりを感じた際、痛風が原因である可能性も考えられます。
痛風による耳の症状は「痛風結節」と呼ばれ、耳介に硬いしこりができるのが特徴です。
しかしこの症状は、早期発見と適切な治療により、症状の進行を防げます。
そこで本記事では、痛風による耳の症状の特徴や原因・対処法について詳しく解説していきます。
症状が気になる方は、この記事を参考に早めの受診を検討してください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
痛風とは?耳に症状が出る理由
痛風は、血液中の尿酸値が異常に高くなることで発症する生活習慣病の一つです。
体内で尿酸が過剰に生成されたり、尿酸の排出が上手くいかなかったりすることで、血液中の尿酸濃度が上昇し、結晶化した尿酸が関節などに沈着して炎症を引き起こします。
痛風が耳に症状として現れる理由には、以下の特徴があります。

耳の軟骨部分は血流が比較的少ない組織で、体温が低くなりやすい部位であるため、尿酸結晶が形成されやすい環境です。
尿酸結晶が耳の軟骨部分に蓄積すると「痛風結節」と呼ばれるしこりを形成します。
しこりの大きさは数ミリから数センチまでさまざまですが、触診で硬い塊として確認できることが特徴です。
耳に痛風の症状が出る場合は痛みや腫れを伴う場合もあれば、無症状でしこりのみが確認される場合もあります。
他の部位にも尿酸結晶が沈着していたり、進行すると耳の変形につながったりする可能性があるため、早めの受診と適切な治療が重要です。
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耳に現れる痛風の症状
耳にしこりを見つけた場合、痛風による「痛風結節」の可能性がありますが、他の疾患による可能性もあるため、正確な診断が重要です。
痛風による耳の症状には、以下のような特徴があります。

①痛風結節
- 耳介(耳の上部)に硬いしこりができる
- 触ると硬く、圧痛を伴うことがある
- 皮膚の表面が白っぽく見える場合がある
②炎症症状
- しこりの周囲に発赤(赤み)が出る
- 腫れを伴うことがある
- 熱感を感じることがある
※参照:MSDマニュアル
※症状には個人差があります
ただし、耳にしこりができる原因は痛風以外にも様々あります。
疾患名 | 主な特徴 |
---|---|
脂肪腫 | 柔らかいしこり、痛みを伴わない |
のう胞 | 柔らかい袋状のしこり |
ケロイド | 傷跡が盛り上がったような硬いしこり |
リンパ節腫脹 | 耳の後ろや下の柔らかいしこり |
このように、耳のしこりの原因は多岐にわたります。
症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。
エミシアクリニックではオンライン診断を実施しており、手軽に相談だけでもOKなので気軽にご相談ください。
痛風で耳に違和感を感じたときの対策
痛風で耳に違和感を感じた場合は、早めかつ適切な対応が重要です。
生活習慣の改善から医療機関での治療まで、段階的な対策を取ることで症状の改善が期待できます。
主な対策として、以下の3つのアプローチがあります。
それぞれのアプローチ方法を詳しく見ていきましょう。
生活習慣の改善
耳に違和感を感じた場合、まず生活習慣の改善から始めることが重要です。
尿酸値を下げることで、症状の進行を防ぎ、改善につながる可能性があります。
以下の4つのポイントを意識して生活習慣を改善しましょう。

症状の進行を防ぐために、1日2リットル以上を目標に水分を摂取しましょう。
スポーツドリンクは糖分を含むため過度な摂取は避け、水やお茶を中心とした飲み物を選ぶのがおすすめです。
また食事の際はプリン体を控えた食事にするため、レバーや魚卵などの内臓類を控え、野菜や果物を積極的に摂取しましょう。
ビールにはアルコールをはじめプリン体も多く含むため、特に注意が必要です。
適度な運動も痛風改善には欠かせない対策で、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行うようにしましょう。
痛風結節の治療
痛風結節は、軽度の場合は生活習慣の改善により自然に小さくなることもありますが、放置すると症状が悪化する可能性があるため、適切な治療が必要です。
治療には主に以下のアプローチがあります。
- 消炎鎮痛剤による痛みの緩和
- 尿酸値を下げる薬物療法
- 定期的な検査による経過観察
痛風結節に対する治療では、まず消炎鎮痛剤を用いて痛みと炎症を抑制し、同時に尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬で血中尿酸値を適正範囲(6.0mg/dL以下)にコントロールします。
これらの治療効果を確認するため、定期的な血液検査や診察を行い、必要に応じて薬の用量調整や治療方針の見直しを行います。
このように、痛みの緩和・尿酸値の管理、そして継続的な経過観察を組み合わせることで効果的な治療を目指せるでしょう。
病院での診察・治療
医療機関での診察では、まず詳しい問診と検査が行われ、適切な治療方針が決定されます。
以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
- 強い痛みが続く
- しこりが大きくなる
- 耳の変形が気になる
- 炎症症状が強い
早期受診により、症状の進行を防ぎ、より効果的な治療が目指せます。
エミシアクリニックでは、オンラインでの診察を実施しており、仕事が忙しく通院時間が取れない方やまずは相談だけしたいという方おすすめです。
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痛風に関するよくある質問
ここでは、痛風に関して多くの方から寄せられる以下2つの質問について紹介します。
順番に詳しく見ていきましょう。
痛風の時にやってはいけないことは?
痛風の症状がある時には、以下のような行動は症状を悪化させる可能性があるため、避ける必要があります。
- アルコールの摂取
- スポーツドリンクの過剰摂取
- プリン体の多い食事
- 症状の放置
アルコールの摂取は尿酸の産生を促進し、排出を抑制するため、症状を悪化させる可能性があります。
また、ポカリスエットなどのスポーツドリンクの過剰摂取は糖分により、尿酸値が上昇する可能性があるため避けましょう。
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痛風の耳の症状は一日で治ることがある?
痛風による耳の症状は、残念ながら一日や数日という短期間での改善は期待できません。
この背景には、以下のような理由があります。
- 尿酸結晶の溶解には時間がかかる
- 血中尿酸値の正常化に数週間から数ヶ月必要
たとえ適切な治療により血中尿酸値が正常範囲まで低下しても、痛風結節が完全に消失するまでには数ヶ月以上の期間を要する(※)ことがあります。
※参照:MSDマニュアル
そのため、定期的な血液検査で尿酸値をモニタリングし、長期的な治療管理を行うことが重要です。
早期発見・早期治療が症状改善の近道となりますので、耳に違和感を感じた場合は、すぐに医療機関を受診することをお勧めします。
耳の違和感を感じたらエミシアクリニックへ!
ここまで、痛風による耳の症状について詳しく解説してきました。
痛風は一般的に足の親指の付け根に症状が出ることで知られていますが、耳に症状が現れることもあります。
これは痛風の前兆ではなく、血中の尿酸結晶が耳の軟骨部分に沈着することで「痛風結節」として現れる症状です。
放置すると、症状の悪化や関節の変形リスク・他の合併症の危険性も高まります。
痛風による耳の症状が疑われる場合は、自己判断での対処は避け、症状に応じた適切な治療を受けるために必ず医療機関を受診しましょう。
エミシアクリニックでは痛風でお悩みの方にオンライン診療を実施しており、通院できない方や遠方にお住まいの方でも手軽に受診していただけます。
まずは以下の無料相談から始めてみましょう。