エストロゲンは、女性の生殖機能や全身の健康を支えるホルモンで卵巣から分泌されます。
※参照:厚生労働省
エストロゲンの分泌量は、思春期から閉経まで生理周期や妊娠・更年期など、ライフステージに応じて変化するのが特徴です。
エストロゲン不足は骨粗しょう症のリスクや更年期症状を引き起こす一方で、過剰分泌は乳がんリスクを高める可能性もあります。
そこで本記事では、下記の内容を詳しく解説していくので最後までぜひお読みください。
【本記事で分かること】
※タップで該当箇所へスクロールします
・エストロゲンとは
・エストロゲン(女性ホルモン)分泌の変化
・エストロゲンの欠乏(不足)が及ぼす影響
・エストロゲンの分泌を促すポイント
この記事を読むことで、妊娠しやすい身体作りや年齢とともに変化する体調に対応できるでしょう。
なおエストロゲンの分泌を整えるには、低用量ピルを用いて治療するのがおすすめです。
エミシアクリニックではオンライン処方を行っているため、お気軽に受診いただけます。
この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
エストロゲンとは卵巣から分泌される女性ホルモン
エストロゲンは卵胞ホルモンのことを指しており、卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつです。
下記のような女性の生殖機能や全身の健康維持に重要な役割を果たしています。
- 女性の第二次性徴(乳房の発達や体毛の増加など)
- 生理周期の調整
- 骨密度の維持
- 新血管系の健康
脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、脳下垂体を刺激することで、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌されます。
※参考:日本産婦人科医会
この2つのホルモンが働いて、エストロゲンが分泌される仕組みです。
生理開始から排卵日までの期間は分泌が活発になり、子宮内膜を厚くして妊娠に備える働きを持ちます。
エストロゲンの分泌は、低用量ピルの服用により整えることもできるため、生理痛・排卵に悩みのある方はぜひ検討してみてください。
エストロゲンとプロゲステロンの違い
エストロゲンとプロゲステロンは、どちらも女性ホルモンとして知られていますが、それぞれ異なる役割を持っています。
女性ホルモン | 特徴 |
エストロゲン | ・女性の第二次性徴を促し、生殖機能を維持する役割 ・体の成長や組織の発達に関与 ・女性らしい丸みを帯びた体を作る |
プロゲステロン | ・排卵後に増加し、妊娠の維持や生理周期の調整をサポート ・妊娠準備を整える ・体内の水分を保つ作用がある |
女性の身体が正常に機能するには、これらのホルモンのバランスを取れていることが重要です。
ホルモンバランスが崩れると、生理不順や不妊症などの問題が生じることがあります。
エストロゲン(女性ホルモン)分泌の変化
エストロゲンの分泌は、女性のライフステージに応じて大きく変動します。
特に生理周期や妊娠・閉経などの節目ごとに分泌量は増減し、身体的・精神的な影響が現れることが多いです。
思春期から分泌が活発になり成熟期には一定のリズムで変動しますが、閉経期に減少し更年期障害の一因となります。
分泌の変化に伴う影響を理解することで、ホルモンバランスを整えて適切にケアすることが可能です。
生理周期による変化
エストロゲンの分泌量は、生理周期を通じて変動するのが特徴的です。
生理周期は月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分けられ、中でも卵胞期から排卵期にかけて多く分泌される傾向にあります。
※参照:日本体育大学
上記から排卵後はプロゲステロンが優位となり、妊娠が成立しない場合は減少していくことが分かるでしょう。
このような周期的な変化があるため、生理周期に伴う気分の変動や体調の変化が見られるのです。
生理周期を安定させたい方には、低用量ピルの服用をおすすめします。
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年齢による変化
年齢を重ねるにつれて、エストロゲンの分泌は減少します。
特に閉経前後になると急激な変化が起こり、エストロゲンの不足によって起こるのが更年期症状です。
これには、ホットフラッシュ(発汗やほてり)・不眠・骨密度の低下などが含まれます。
閉経後のエストロゲン欠乏は、骨粗しょう症のリスク増加や心血管系疾患のリスク要因となるので注意しましょう。
※参照:一般社団法人日本内分泌学会
リスクを低減するにはホルモン補充療法(HRT)が用いられますが、長期使用には慎重な判断が求められます。
ホルモン補充療法とは
ホルモン補充療法とは、エストロゲンを補うことで身体的・精神的な症状を改善する治療法のことです。
適切に治療することで、およそ5年を目安に症状が落ち着くと言われています。
しかし血栓症のリスクなどもあるため、医師と相談のうえ検討しましょう。
※参照:日本産婦人科医会
エストロゲンの欠乏(不足)が及ぼす影響
エストロゲンの欠乏は、女性の健康に多くの影響を及ぼします。
- 生理不順
- 物忘れ、うつ
- 心血管疾患のリスク
- イライラ、憂鬱
- 乳房の萎縮
- 皮膚の萎縮、色素沈着
- 骨密度の低下
- 性器の萎縮、排尿障害
骨密度の低下は骨粗しょう症を引き起こしやすく、骨折のリスクが高まります。
心血管系の健康も関係しており、欠乏が続くと心疾患や高血圧のリスクが増加してしまうことも。
またエストロゲン不足は更年期障害の原因となり、情緒不安定や不眠・皮膚の乾燥など、身体的・精神的な症状を引き起こすことがあります。
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エストロゲンの分泌を促すポイント
エストロゲンの分泌を促進するには、日常生活の中で下記のポイントを押さえることが重要です。
特に上記は、ホルモンバランスを整えるための基盤となります。
エストロゲンに似た作用を持つ栄養素を含む食事や、十分な睡眠による身体の回復が重要です。
またストレスの軽減は体内の代謝や血流を向上させ、エストロゲンの分泌のサポートにつながります。
これらの要素を取り入れることで、エストロゲンの分泌を促しましょう。
バランスの良い食事
エストロゲンの分泌を正常に保つには、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。
生活リズムを整え必要な栄養素を摂取するために、食事のタイミングは1日3回決まった時間に摂るのが良いでしょう。
特にタンパク質はホルモンのもととなるため、毎日欠かさず必要量を摂取することが大切です。
また大豆製品に含まれるイソフラボンは、植物性エストロゲンとして知られており、体内でエストロゲンに似た働きをするとされています。
豆腐や納豆・豆乳などを日常的に摂取することで、エストロゲン不足を補いましょう。
※参照:厚生労働省
質の高い睡眠
質の高い睡眠は、ホルモンバランスを保つために重要です。
エストロゲンの分泌の指示を出しているのは、脳の視床下部のためです。
睡眠不足や不規則な睡眠習慣は、エストロゲンを含む様々なホルモンの分泌に悪影響を及ぼします。
脳を十分に休めるポイントは下記の通りです。
- 1日3食しっかりと摂る
- 適度な運動をする
- 就寝3時間前までに食事を終える
- 体型に合った寝具を使う
快適な寝室環境を整え、規則正しい睡眠サイクルを維持することがエストロゲンの分泌を促す手助けとなります。
※参照:厚生労働省
適度な運動
適度な運動はエストロゲン分泌をサポートするだけでなく、全体的なホルモンバランスの安定にもつながります。
女性ホルモンの分泌量が自然に増えることはないため、自分でコントロールすることが重要です。
運動をして血行と代謝を良くすることで、女性ホルモンに良い影響を与えることができます。
特に有酸素運動や筋力トレーニングは、体内の代謝を活性化させるため、ホルモンの調整に役立つでしょう。
エストロゲンに関するQ&A
この見出しではエストロゲンに関する質問をまとめました。
不安や疑問の解消に役立つ記事となっているので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
Q.エストロゲンは骨にも影響するの?
エストロゲンは骨密度の維持に重要な役割を果たしています。
骨吸収※を抑え、骨形成※を促す作用があるのが特徴です。
※骨吸収:骨組織が体内で分解され、骨の成分が血流に取り込まれる。
※骨形成:新しい骨が作られる。
エストロゲンが不足すると骨の再生が遅れ骨密度が低下するため、骨粗しょう症のリスクが高まります。
特に閉経後の女性は、エストロゲン欠乏による骨折リスクが増加するので注意しましょう。
Q.エストロゲンが多いと乳がんになるって本当?
エストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんを罹患するリスクは高くなります。
※参照:国立がん研究センター
具体的には、下記のような方が乳がんに罹患しやすい傾向にあります。
- 初経年齢が低い(10歳前後)
- 閉経年齢が高い(50代後半)
- 出産経験がない
- 初産年齢が高い(35歳以上)
- 授乳経験がない
乳がんに罹患したことがある方が血縁者にいる・生活習慣が乱れている場合も、乳がんの罹患リスクは高めです。
不安な方は定期的に健康診断を受け、生活習慣の改善を心がけましょう。
Q.女性ホルモンを増やすサプリは存在する?
女性ホルモンを増やすとされるサプリは存在しません。
しかしエストロゲンと似た働きをする「エクオール」は食べ物から摂ることができます。
大豆製品の大豆イソフラボンから摂取するのがおすすめです。
エクオールはサプリから摂取することも可能ですが、過剰な摂取はホルモンバランスを乱す可能性があるため注意しましょう。
エストロゲン(女性ホルモン)と上手に付き合おう
エストロゲンは女性の健康と美しさを支える重要なホルモンです。
しかし分泌量はライフステージによって変わるため、適切な対策を講じることが求められます。
バランスの良い食事や運動・質の高い睡眠を心がけ、ホルモンバランスを整えることで、健康的な生活を維持しましょう。
また低用量ピルを服用して分泌を整えると、妊娠しやすい身体作りや年齢とともに変化する自分の体調に対応できます。
産婦人科には出向きにくい方でもオンライン診療を利用すれば、365日24時間どこからでも受診できるのでおすすめです。
予約方法はLINEから可能なのでお気軽にご相談ください。