不正出血とは、月経以外の時期に性器から出血することを指します。
心配のないケースもありますが、なかには子宮内膜症やがんなどの病気が隠れている場合も。
「病院行くの面倒だし‥」と、不正出血を放置してしまうと症状が悪化してしまう恐れもあるため、必ず医師に診てもらうことが大切です。
本記事では、不正出血が見られた場合の病院へ行く目安を解説していきます。
【本記事で分かること】
最後まで読めば不正出血の定義や原因、重症度の判断基準を判断できるでしょう。
不正出血に悩む方は最後までチェックし、適切なタイミングで医療機関を受診してください。
この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
【事前に確認】不正出血セルフチェック
以下の状況に当てはまる場合は、すぐに病院へ行きましょう。
診断項目 | 状況 |
---|---|
出血の タイミングと量 | ・月経周期と関係のない出血 ・通常の月経より多い出血量 |
出血の性状 | ・鮮血や暗赤色の出血 ・塊状の出血物がある ・茶色のおりものが持続している |
出血以外の症状 | ・右下腹部の持続的な痛み ・めまいや倦怠感などの症状が伴う |
年齢・閉経の状況 | ・閉経後1年以上経過してから性器出血がある |
既往歴と家族歴 | 出血しており以下に当てはまる ・子宮筋腫や子宮内膜症などの既往歴がある ・家族に子宮がんや卵巣がんの既往がある |
不正出血の原因は多岐にわたるため、完全なセルフチェックは難しいものの、緊急性を判断する手がかりとなります。
不安な症状がある場合は早めに病院を受診することが重要です。
不正出血はさまざまな原因で起こり得るため、自己判断せずに適切な医療機関を受診することが、早期発見・早期治療につながります。
特に閉経後の出血は子宮体がんなど重大な疾患の可能性があるため、速やかに受診しましょう。
気になる症状があれば躊躇せず、すぐに受診してください!
不正出血と生理不順の違い
不正出血と生理不順は、異なる症状です。
不正出血は月経期間以外に起こる出血を指し、主に子宮や卵巣の病気・ホルモンバランスの乱れなどが原因で起こります。
一方、生理不順は月経周期の乱れを意味していて、月経の間隔が不規則になったり経血量の変化が見られるものです。
両者の大きな違いは、出血のタイミングにあります。
不正出血は予期せぬ時期に起こるのに対し、生理不順は月経周期の変化を指します。
自己判断が難しい場合は、基礎体温を測定し排卵の有無を確認しましょう。
女性が朝目が覚めたときに起き上がらず、寝たままの状態で舌の下に婦人体温計を入れて5分間はかった温度を、基礎体温といいます。基礎体温を毎朝はかってグラフにしたのが基礎体温表で、数ヵ月つづけるとグラフが低温期と高温期をくり返すことがわかります。これは女性は月経がはじまると体温が低くなり、排卵直後から次の月経までは体温が高くなるためで、基礎体温が二相性を示せば排卵があったと推定されます。引用:日本産婦人科医会
排卵後約2週間で来る出血が月経であり、それ以外の出血は不正出血と考えられます。
また出血量や痛みの程度・その他の症状にも注意を払い、いつもと異なる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
不正出血はどのくらい続いたら病院に行くべき?
基本的に不正出血が発生したら、すぐに病院に行きましょう。
出血している場合、子宮の病気や体全体に問題が起きている可能性があるため、自己判断は危険です。
また症状を放置することで状態が悪化し、治療が困難になるケースもあります。
不正出血をしたり子宮が痛んだりする場合は、たとえ軽微な症状であっても、医療機関を受診することが賢明です。
早期発見・早期治療が、より良い予後につながる可能性が高いことを覚えておきましょう。
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不正出血がある時に病院で行う検査一覧
不正出血の原因を特定するため、医療機関では複数の検査が行われます。
- 腟鏡を用いて、腟内と子宮頸部の視診・触診を行う
- 子宮頸部・体部の細胞を採取し顕微鏡で観察する
- 腹部や腟内に超音波プローブをあて内部の状態を確認する
- ホルモンの値や感染症、貧血の有無を評価
検査は不正出血の原因を正確に診断し、適切な治療計画を立てるために非常に重要です。
ただしすべての検査が必ず行われるわけではなく、個々の症状や医師の判断に基づいて必要な検査が選択されます。
婦人科を受診する際は、以下の情報を医師に伝えてください。
- 出血の色、量
- 出血の期間
- 普段の生理周期の記録
これらの情報は、正確な診断や治療方針の決定に役立つでしょう。
また不正出血をはじめとする症状は、医師の処方による薬物治療も可能です。
薬での治療は不正出血だけでなく生理痛の緩和や、婦人科疾患・卵巣がんなどのリスク低減も期待できます。
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不正出血の種類
不正出血の種類は、主に以下の4つが挙げられます。
不正出血は、女性の健康状態を把握する上で大切な指標です。
通常の月経周期以外に起こる予期せぬ出血を指し、その原因や性質によってさまざまな種類に分類されます。
不正出血の種類を理解することは、適切な診断と治療につながる重要な第一歩となるでしょう。
器質性出血
器質性出血は、女性の生殖器系における具体的な病変や異常に起因する出血現象です。
以下のような疾患が潜んでいる可能性があります。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮頸がん
- 子宮体がん
- 膣炎
- 子宮内膜円
- 子宮内膜症
- 子宮膣部びらん
- 子宮頸管ポリープ
子宮や膣内の炎症で起こる可能性もあり、不規則で予測困難な出血パターンを示すところが特徴です。
潜在的に深刻な健康問題のサインである可能性があるため、医療専門家による適切な診断と治療が不可欠となります。
機能性出血
機能性出血は、子宮や卵巣に器質的な異常がないにもかかわらず生じる不正出血です。
妊娠や器質的疾患・全身疾患を除外したものと定義されています。
特にホルモン分泌が不安定になりやすい思春期や更年期など、女性のライフステージの転換期に頻発する傾向がある点が特徴です。
思春期以降のあらゆる年代で発生し、不正性器出血の約30%を占めるとされています。
無排卵月経(※1)や黄体機能不全(※2)など、ホルモンの分泌に関与している器官の働きが弱くなっていることが原因となるケースが多いでしょう。
※1:排卵が起こらないまま子宮内膜が剥がれ落ちる出血のこと
※2:黄体から分泌されるプロゲステロンの量や期間が不十分な状態
中間出血
月経周期の中間点付近に発生する出血現象は、排卵期出血または中間期出血と呼ばれます。
この出血は排卵に伴う急激なホルモン変動、特に卵胞ホルモン(エストロゲン)レベルの一時的な低下が原因です。
通常は軽度の腹痛を伴う少量の出血で、ピンク色から赤色を呈し、凝固しにくい特徴があります。
多くの女性にとって、中間期出血は健康上の懸念事項ではありません。
しかし出血のパターンや頻度に不安がある場合は、基礎体温の記録が有用な情報源となります。
排卵時期に一致して定期的に出血が見られる場合、中間期出血を疑いましょう。
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その他の出血
不正出血には、その他以下のようにいくつかの原因があります。
- 妊娠に関連した出血
- 性行為後の出血
- 全身性疾患による出血
疾患のみに関わらず、正常妊娠時や性交時、あるいは血液凝固障害や血小板減少症などの血液疾患、甲状腺機能異常などの内分泌疾患の全身症状の一部として、性器出血が現れることもあります。
これらの出血は、器質性や機能性の出血とは異なるメカニズムで起こるため、適切な診断と対応が必要です。
不正出血が起きた時に考えられる原因
不正出血が起きた時に考えられる原因は、以下の通りです。
月経周期以外のタイミングで予期せぬ出血が起こると、不安を感じる方も多いでしょう。
不正出血の背景には、体からのサインが隠れていることがあります。
ホルモンバランスの乱れ
不正出血の主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。
女性の体内では、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが周期的に分泌され、月経のサイクルを調整しています。
このバランスが崩れると子宮内膜の状態に影響を与え、不正出血を引き起こす可能性が高まるでしょう。
中間出血や無排卵出血もホルモンバランスの影響です。
※日本産婦人科学会/日本成人病予防協会
また更年期には卵巣機能の低下に伴いホルモンバランスが乱れ、不正出血が生じやすくなります。
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。
引用:日本産婦人科学会
40代後半から50代にかけて、月経周期の乱れによる予期せぬ出血や不規則な出血があるかもしれません。
更年期の不正出血は、ホルモンバランスの変化によるものが多いですが、気になる症状や辛い症状がある場合は医師の診断を受けることをおすすめします。
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子宮の病気
不正出血が続く場合、重大な病気の可能性があります。
特に注意が必要なのは、出血が長期間続く場合や量が多い場合です。
このような症状が見られる際は、子宮筋腫や子宮内膜症、さらには子宮がんなどの可能性も考えられます。
これらの病気は早期発見・早期治療が重要であり、放置すると症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。
また不正出血に加えて下腹部痛や発熱などの症状がある場合は、骨盤内炎症性疾患や子宮外妊娠などの緊急性の高い疾患の可能性も。
症状を放置していると、手遅れになってしまうこともあるので注意が必要です。
不正出血がある場合は早めの受診がおすすめ
不正出血がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
「出血が少しだから」「病院に行くほどではない」と思って放置してしまう方もいるでしょう。
しかし不正出血にはさまざまな原因があり、なかには重大な病気が隠れている可能性もあります。
不正出血に気づいたら、自己判断せずに早めに医療機関に相談しましょう。
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