「アルコールがED薬の効果を弱めてしまうのではないか」のような不安を抱えながらED治療を続けている男性は多いのではないでしょうか?
性行為前の緊張を和らげるために少量の飲酒を希望する方や、食事の席でやむを得ず飲酒が必要な場面もあるでしょう。
バイアグラと酒の併用については、適量であれば問題ありません。
しかし、正しい知識なしに併用すると、期待した効果が得られなかったり、思わぬ副作用につながったりする可能性があります。
そこで本記事では、バイアグラと酒の安全な併用方法や併用によって起こりうるリスクなどを詳しく解説します。
効果的なED治療を継続しながら適度な飲酒を楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
バイアグラの服用中は飲酒できる?
バイアグラ服用中の飲酒は少量であれば可能ですが、個人の体質や健康状態によっては重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、慎重な判断が必要です。
医学的に直接的な相互作用は報告されていないものの、アルコールとバイアグラの血管拡張作用が重複することで、血圧低下のリスクが高まる場合があります。
特に以下のような健康状態の方は、併用により危険を伴う可能性があるため、注意しましょう。
- 低血圧の方
- 高血圧治療薬を服用中の方
- 心疾患の既往がある方(心筋梗塞、狭心症など)
- 脳血管障害の既往がある方(脳梗塞、脳出血など)
- 肝・腎機能障害のある方
※参照:一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)「勃起不全治療剤」
これらの条件に該当する方がバイアグラと酒を併用した場合、血圧の急激な低下によりふらつきやめまい、失神などの症状が現れる可能性があります。
また、過度な飲酒はバイアグラの効果を減退させる要因となるため、安全で効果的なED治療を受けるためには、専門医による適切な診察と指導を受けるのがおすすめです。
バイアグラとアルコールの併用で起きうるリスク
バイアグラと酒を併用することで起こりうるリスクは、主に以下の2つです。

これらのリスクは、両者の薬理作用が相互に影響し合うことで発生し、適切な治療効果を妨げるだけでなく、身体への深刻な影響をもたらす場合があります。
以下では、それぞれのリスクが発生するメカニズムと具体的な症状について詳しく解説します。
血圧低下・めまい・動悸などの副作用
バイアグラと酒の併用により血管拡張作用が重複することで、急激な血圧低下とそれに伴う様々な副作用が現れる可能性があります。
バイアグラの主成分であるシルデナフィルは、PDE5(※)という酵素を阻害することで一酸化窒素(NO)の作用を高め、陰茎海綿体の血管を拡張して勃起を促進します。
※PDE5(ホスホジエステラーゼ5):血管収縮を促す酵素で、この働きを阻害することで血管拡張効果を得る
一方、アルコールにも血管を拡張させる作用があるため、両者を併用すると血管拡張作用が重複し、予想以上の血圧低下を引き起こす危険性も。
症状の程度 | 具体的な症状 |
---|---|
軽度 | 立ちくらみ・めまい |
中度 | 顔面紅潮・動悸 |
重度 | 失神や脱力感 |
特に高齢者や心血管系疾患のある方は、重篤な症状につながるリスクが高いため注意が必要です。
勃起効果の減弱やタイミングのズレ
バイアグラと酒の併用は、期待される勃起効果が十分に得られなくなる可能性があります。
アルコールがバイアグラの効果に与える影響は、主に以下の2つです。
- 中枢神経の抑制作用:アルコールにより性的刺激の感受性が低下し、勃起に必要な神経伝達が阻害される
- 肝臓の代謝負担増加:アルコール分解により肝臓への負担が増し、バイアグラの吸収や作用タイミングにズレが生じる
適量を超える飲酒をした場合、バイアグラの効果発現時間が遅れるだけではなく、持続時間も短縮される傾向があり、性行為のタイミングを逸してしまうケースも少なくありません。
このような効果の減弱は心理的ストレスを増大させ、さらなる勃起不全の悪化につながる可能性があるため、適切な服用方法を守るようにしましょう。
バイアグラとお酒を安全に併用するためのポイント
バイアグラと酒を安全に併用するためには、以下2つのポイントを抑えて、適切な飲酒量の把握と服用タイミングの調整を行いましょう。
これらの要素を守ることで、副作用のリスクを最小限に抑えながら、正しい治療効果が期待できます。
具体的な飲酒量の目安と最適な服用タイミングについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
飲酒量の目安はビール中瓶1本程度
バイアグラと酒を併用する際の安全な飲酒量は、一般的にビール中瓶1本(500ml)程度が許容範囲とされており、この量を超えない範囲での飲酒がおすすめです。
ビールの他、日本酒やワインなどの目安量は、以下を参考にしてください。

上記の量は、あくまでも健康な成人男性を対象とした目安であり、個人の体質や健康状態によって適切な量は変わります。
特に、お酒に弱い体質の方や高齢者の場合は、表示量の半分程度から始めることが安全です。
服用のタイミングはお酒を飲んだ後

バイアグラの服用は基本的に空腹時か軽食後30分以上経過後が推奨されており、アルコールを摂取する場合は、飲酒後1~2時間経過してからの服用がおすすめです。
食事により腸管に油分の膜が形成されると、有効成分であるシルデナフィルの吸収が阻害され、効果発現時間の遅延や効果の減弱につながる可能性があります。
そのため、性行為の2~3時間前には飲酒を済ませ、その後適切なタイミングでバイアグラを服用すると良いでしょう。
ED治療薬とアルコールの相性を比較
ED治療薬とアルコールの相性は、以下のように異なります。
治療薬名 | アルコールとの相性 | 飲酒時の注意点 | 食事の影響 |
---|---|---|---|
バイアグラ | △ 適量なら可能 | ビール中瓶1本程度まで、 血圧低下に注意 | 脂肪分の多い食事は吸収を遅らせるため、 空腹か軽食後推奨 |
シアリス | ○ 影響を受けにくい | 過剰飲酒は控える | 食事の影響をほとんど受けない |
レビトラ | △ 適量なら可能 | 効果発現が早いため 飲酒タイミングに注意 | 軽食程度なら影響少ない |
カマグラ | × 正確なデータは少なく自己責任 | 医師指導なしでの使用はリスク高い | バイアグラと同様に脂肪分の多い食事は 吸収に影響する |
シアリス(タダラフィル)は最大24時間という長い作用時間を持ち、食事やアルコールの影響を最も受けにくいED治療薬として知られています。
一方、バイアグラ(シルデナフィル)とレビトラ(バルデナフィル)は、適量のアルコールであれば併用可能ですが、空腹時服用が効果的であるため、飲酒のタイミングに注意が必要です。
エミシアクリニックでは、それぞれ特徴の異なる4種類のED治療薬をご用意しているので、「お酒の影響を受けにくい薬が良い!」などご要望があれば気軽にご相談ください。
バイアグラ服用時のNGな飲み方
バイアグラと酒を併用する際、以下のような飲み方は重篤な副作用を引き起こす危険性があるため絶対に避けるべきです。
これらの飲み方は、バイアグラの血管拡張作用とアルコールの相互作用を増強し、血圧の急激な低下や過剰な副作用を引き起こす可能性があります。
期待される勃起効果が得られないばかりか、健康被害につながるリスクも高まるため、以下で確認しておきましょう。
強いお酒と一緒に飲む
強いお酒とバイアグラの同時服用は、アルコール度数が高いことによる強力な血管拡張作用と薬の作用が重複し、血圧の急激な低下を引き起こす危険性があります。
アルコール度数40%以上の蒸留酒は、ビールや日本酒と比較して血中アルコール濃度を急速に上昇させ、全身の血管拡張作用を強力に発揮するため、以下のお酒は避けるのが無難です。
- ウイスキー
- 焼酎
- ウォッカ
アルコール度数が高い酒類を摂取する場合は、バイアグラの服用を避けるか、十分な時間間隔(最低4~6時間)を空けるようにしましょう。
空腹で飲酒+服用する
空腹時の飲酒は、胃に食物がない状態でアルコールが直接小腸に流入するため、通常の2倍(※)の速度で吸収され、酔いやすい状態です。
※参照:厚生労働省
この状態でバイアグラを服用すると、アルコールの急速な吸収により血中アルコール濃度が急上昇し、ふらつきやめまいなどの副作用のみが発現するリスクを高めます。
他にもアルコールによって勃起に必要な神経伝達が阻害され、期待される治療効果が得られなくなるため、空腹で飲酒した後の服用は避けましょう。
飲酒後に複数錠を服用する
飲酒後にバイアグラの効果が不十分と感じても、複数錠を服用することは絶対に避けましょう。
バイアグラの推奨用量は、日本国内では25mg~50mgと厚生労働省により定められており(※)、この用量を超える服用は過剰摂取となります。
※参照:厚生労働省「クエン酸シルデナフィル製剤の承認について」
アルコールにより効果が感じにくくなった場合でも、追加服用により薬物の血中濃度が過度に上昇し、期待される勃起効果ではなく以下の副作用のみが強く現れる恐れがあります。
- 頭痛・視覚異常(色覚異常、光に対する過敏性)
- 鼻づまり・ほてり(顔面紅潮)
- 稀に持続勃起症(4時間以上の持続的勃起)
効果が不十分と感じた場合は、次回の服用時に医師に相談し、適切な用量調整を受けることが安全で効果的な治療につながります。
バイアグラ服用時の注意事項一覧
ED治療を検討する際、「お酒が飲めなくなるのではないか」「食事制限が厳しいのではないか」といった懸念を抱く方も少なくありません。
しかし、適切な知識と注意事項を守ることで、これらの制約は最小限に抑えることができ、普段の生活スタイルを大きく変えることなく治療を受けることが可能です。
バイアグラ服用時の注意事項まとめ:
項目 | 推奨事項 | 注意点 |
---|---|---|
飲酒量 | ビール中瓶1本(500ml)程度まで | 強い酒(ウイスキー等)は避ける |
食事 | 空腹または軽食 | 脂肪分の多い食事は避ける |
服用タイミング | 飲酒後1~2時間経過してから | 飲酒後すぐの服用は副作用のリスクを高める |
健康状態 | 低血圧・心疾患のある方は要相談 | 医師の診察なしでの服用は危険 |
飲酒に関しては、完全な禁酒が必要なわけではなく、適量を守ることで社交的な飲酒も継続できます。
また、食事制限も極端なものではなく、性行為の2~3時間前に軽めの食事を済ませるなど、計画的に摂ることで対応可能です。
ED治療に関して不安がある場合は、医療機関で個人の健康状態や生活スタイルに応じた具体的なアドバイスを受けることで、より安全で効果的な治療が目指せるでしょう。
バイアグラを安全に服用するために、医師の指導を受けよう!
バイアグラと酒の併用は適量であれば可能ですが、個人の健康状態や体質に応じた適切な指導を医師から受けることで、より安全で効果的なED治療を実現できます。
適切な指導を受けた方は、ED治療薬への満足度が84%(※)というデータもあり、生活習慣に応じた指導により、副作用リスクを抑えながら治療を行えるでしょう。
※参照:日本心臓病学会「男性のための健康調査」
しかし、「病院に行くのは恥ずかしい」「忙しくて通院時間が取れない」といった理由でED治療をためらう方も少なくありません。
このような場合には、オンライン診療を活用することで、プライバシーを保護しながら専門医の診察を受けることができます。
エミシアクリニックでは、バイアグラをはじめとする各種ED治療薬を取り扱っており、治療方法の提案の他、アルコールとの併用方法についても詳しくご説明いたしますので、気軽にご相談ください。