「痛風に納豆はよくないって本当?」「痛風でも納豆1パックくらいなら大丈夫?」
習慣的に納豆を食べてた人にとって、食べない方がいいのか気になる人もいるのではないでしょうか。
プリン体の存在が気になるところですが、納豆に含まれるプリン体量はさほど多くはないため、食べ過ぎなければ問題ありません。
この記事では、痛風の人が意識すべき食事や納豆を食べる時の注意点について解説します。
納豆を1日に食べられる量や食べ合わせもわかるため、日々の食事管理に役立ててください。
痛風でも食生活を我慢しすぎることなく、適切に体調を管理していきましょう。
痛風のときの食べ物に関して詳しくはこちら!
痛風で食べてはいけない食べ物一覧表!原因や食事以外の予防対策も解説

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
痛風と食事の関係性
血中の尿酸値が高くなることで起こる痛風の発症や悪化には、日々の食事内容が影響しています。
症状の原因となる尿酸は、食事から摂る「プリン体」が体内で代謝されてできるためです。
高プリン食とは、食品100gあたりのプリン体が200mg以上含む食品を指します。
痛風と食事は密接に関わっているため、日頃から高プリン食を控えて尿酸値を上げにくい食事を心がけましょう。
※参考:日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第6章生活指導)」
痛風・尿酸値が高い人は納豆はダメ?何パックならいい?
痛風や高尿酸血症の人でも、1日1パック程度なら納豆を食べても問題ありません。
納豆に含まれるプリン体の量は比較的少なく、適量を守れば尿酸値に影響しないためです。
納豆1パック(40g)あたりのプリン体は約45mgですが、痛風患者向けの1日の摂取目安は400mgです。
例え、1日2パック(80g)食べてもプリン体は90mgでそれほど高くありません。
400mgを越えないよう食べすぎに注意して、他の食材とバランスよく摂りましょう。
納豆と他の食品のプリン体量比
納豆のプリン体量は、他の多くの食品と比べて少ない部類に入ります。
以下では、100gあたりに含まれるプリン体含有量をまとめました。
プリン体量 | 食品 |
---|---|
高プリン体食品 | 鶏レバー:312.2mg 豚レバー:284.8mg 牛レバー:219.8ng カツオ:211.4mg マアジ:245.8mg シラス干し:471.5mg |
中プリン体食品 | 納豆:113.9mg ひじき:132.8mg 豚ヒレ肉:119.7mg 牛モモ肉:110.8mg 鶏モモ肉:122.9mg タコ:137.3mg |
低プリン体食品 | 白米:25.9mg 豆腐:31.1mg 卵:0mg ブロッコリー:70mg えのきだけ:49.4mg 豚肩ロース:81.4mg |
納豆は、魚介類や内臓系の肉類に比べてプリン体が控えめです。
適量であれば痛風の人も取り入れやすい食品といえるでしょう。
痛風の人が納豆を食べるときの注意点

納豆1パックあたりのプリン体摂取量は多くありませんが、食事全体のバランスを考慮して食べることが重要です。
以下では、痛風の人が納豆を食べるときの注意点をご紹介します。
気付いたら1日のプリン体摂取量を越えていた、という事態を避けるため確認しておきましょう。
1日の摂取量を守り過剰摂取を避ける
納豆を食べる際には、1日1パックを目安に過剰摂取を避けることが大切です。
納豆に含まれるプリン体量は少ないものの、積み重なると尿酸値の上昇につながる可能性があります。
「健康によいから」といって何パックも食べるのではなく、他の食品と組み合わせながら食事の一部として取り入れてください。
他の食品との組み合わせに注意する
納豆を食べる際は、他の高プリン食品との組み合わせにも注意しましょう。
複数のプリン体を含む食品を一度に摂取すると、尿酸値の急上昇を招くリスクがあるためです。
納豆と合わせやすい和食のメニューには、以下のようなプリン体の含有量の高い動物性食品があります。
- レバー
- 魚の干物
- お刺身
ただし、プリン体の含有量が高い食品と納豆を一緒に食べてしまうと、1日のプリン体の摂取量を越えてしまう恐れがあります。
さらに、アルコールと併せて摂取すると尿酸の排泄が妨げられ、痛風発作の引き金となる場合があるため注意してください。
栄養バランスを意識した野菜や海藻類など低プリン体の食品を選ぶと安心です。
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納豆との組み合わせにおすすめの食品

納豆と組み合わせて摂りたい食品には、野菜や海藻類・乳製品などがあげられます。
これらの食品はプリン体が少なく、尿酸値のコントロールに役立つとされているためです。
以下では、納豆との組み合わせにおすすめのレシピをご紹介します。
簡単混ぜる・乗せるだけ | ・納豆×オクラ ・納豆×長芋 ・納豆×もずく ・納豆×豆腐 |
食材として加える | ・納豆チャーハン ・納豆スープ |
野菜やきのこの食品はアルカリ性を示すため、尿をアルカリ化し、尿酸の排泄を助ける働きもあります。
痛風の人の尿は酸性に傾きやすいため、アルカリ性食品と一緒に摂ることで、尿酸が尿に溶けやすくなるでしょう。
痛風予防・尿酸値を下げるポイント【食事以外】
痛風予防には、食事の工夫に加えて日常生活の見直しも重要です。
特に水分摂取や運動習慣は、尿酸値を下げる上で有効な手段とされています。
食事以外の対策を取り入れることで、より効果的な痛風予防が期待できるでしょう。
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意識的に水分を摂取する
尿酸値を下げるには、意識的な水分摂取がおすすめです。
尿酸は尿から排泄されるため、水分が不足すると体内に尿酸が蓄積しやすくなります。
水分補給は1日2リットル以上を目安にしましょう。
意識して頻繁に水分を摂る必要があるため、以下のようなタイミングで飲むのがおすすめです。
- 朝起きたとき
- 毎食の前後
- お手洗いのあと
- 入浴後の汗をかいたあと
コップ1杯が250mlとした場合、1時間に1杯程度の水分補給で2リットル消費できます。
日常的に水分を摂る習慣をつけ、痛風の予防や再発防止に役立てましょう。
有酸素運動に取り組む
痛風予防のためには、有酸素運動を習慣化することも重要です。
運動によって代謝が促進され、尿酸の排泄もスムーズになります。
以下のような運動を、食事後1時間以降に行うのがおすすめです。
- ウォーキング
- 軽いジョギング
- サイクリング
有酸素運動を続けることで、体脂肪やコレステロール値が下がり、肥満予防にもつながります。
肥満は尿酸値を上げる原因になるため、結果的に痛風の発症リスクを抑える効果が期待できます。
「納豆を食べると痛風になる」は嘘!食べ過ぎなければOK
痛風の人でも、適度に納豆を食べる分には問題ありません。
納豆1パックあたりのプリン体含有量は高くないため、栄養価も踏まえ積極的に摂りたい食材です。
ただ、納豆を食べるときは1日の総プリン体摂取量400mgを越えないよう、食事全体のバランスに注意してください。
痛風症状を悪化させないためには、極端に食生活に我慢を強いるのではなく、バランスをみて調節することが重要です。