生理前や生理中に腰が痛くなり、日常生活がつらいとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
生理に伴う腰痛は女性ホルモンの影響によって引き起こされる反応であり、決して珍しいものではありません。
実際に生理前には35%、生理中には57.8%もの女性に腰痛の症状があるという調査もあります。
※出典:齋藤千賀子・西脇美春「月経パターンと月経時の不快症状及び対処行動との関係」
ホルモンバランスの変化による腰痛には、体を温める・ストレッチするなどの対処法が効果的です。
最後まで読んでいただくことで、ご自身の体調に合った適切なケア方法を見つけられるでしょう。
また生理の度に腰痛に悩んでいる方は、婦人科で低用量ピルについて相談するのもおすすめです。
エミシアクリニックではオンライン診療を行っているので、LINEからお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
生理のときに腰が痛い原因は女性ホルモンの分泌
生理のときに腰が痛くなる理由には、2つの女性ホルモンが関係しています。
どちらも生理に不可欠なホルモンですが、人によって分泌量に個人差があり、症状の強さにも影響を与えます。
詳しく解説するので、ホルモンの働きを理解する参考にしてください。
「プロスタグランジン」による子宮の収縮
生理中の腰痛は、体内で分泌される「プロスタグランジン」というホルモンが主な原因といわれています。
プロスタグランジンには子宮を収縮させる働きがあり、経血を体外に排出するのが役割です。
※参考:公益社団法人日本薬学会
血管が収縮する作用もあるため、血流が滞って体が冷え、腰痛につながることも。
プロスタグランジンの分泌量には個人差があり、分泌量が多いほど症状が重くなる傾向にあります。
年齢や妊娠・出産などによって分泌量は変化しますが、腰痛や生理痛がひどい人は過剰につくられている可能性があるでしょう。
「リラキシン」による骨盤のゆるみ
生理中の腰痛を引き起こすもう一つの原因は、「リラキシン」という女性ホルモンの働きです。
リラキシンは月経前から月経中にかけて、卵巣・子宮・胎盤などから分泌されます。
※参考:災害科学国際研究所IRIDeS
関節や靭帯を緩める特徴を持っており、骨盤が開いて経血の排出が促されるのです。
しかし関節や靭帯が緩むと骨盤周りが不安定になり、腰回りの筋肉に負担がかかって腰痛につながります。
生理で腰が痛いときの対処法
生理で腰が痛いときは、以下の対処法を試してみるのがおすすめです。
自分に合った方法を組み合わせ、つらい症状を和らげましょう。
体を温める
生理中の腰痛を和らげるには、体を温めるのがおすすめです。
体が冷えると骨盤内の血行が悪くなり、子宮内膜がうまくはがれず痛みが強くなる可能性があります。
以下の対処法で体を温め、血の巡りを良くしましょう。
- 使い捨てカイロをお腹に貼る
- 腹巻きやブランケットで腰回りを包む
- 入浴で全身を温める
「生理中の入浴は雑菌が心配」と思う方もいるかもしれませんが、きちんと掃除した浴槽なら炎症リスクは低いので問題ありません。
経血がお湯に流れるケースも少ないですが、家族がいて不安な方は最後に入浴すると良いでしょう。
また冷たい食べ物や飲み物は避け、生姜湯やシナモンミルクなど体を温める飲み物を飲むのもおすすめです。
締め付けの少ない服を着用する
生理痛に伴う腰痛を和らげるためには、体を締め付けない服装選びが重要です。
体を締め付ける衣服を着用すると、骨盤周りの血流が滞り、腰痛や生理痛が悪化する可能性があります。
以下の表におすすめの服装・避けた方が良い服装をまとめたので、参考にしてください。
おすすめの服装 | ・ゆったりとしたワンピース ・ウエストゴムのスカートやパンツ ・伸縮性のある素材の服 ・締め付けの少ないショーツ |
避けた方が良い服装 | ・きつめのジーンズ ・タイトスカート ・ウエストベルト ・補正下着 |
骨盤を支えるために補正下着が必要と感じる方もいますが、締め付けで血流が悪くなる恐れがあるので避けた方が良いでしょう。
ストレッチする
軽いストレッチは体を内側から温め、体のめぐりが整って腰の張りや痛みを軽減させる効果が期待できます。
またリラックス効果もあるため、心身ともにリフレッシュできるでしょう。
骨盤周りや股関節がほぐれて腰痛改善が期待できるポーズを紹介するので、ぜひ試してみてください。
【がっせきのポーズ】
- 床の上であぐらになる
- 足裏同士を合わせ、両手は足先をつかむ
- 吸う息で背筋を伸ばし、吐く息で背筋を伸ばしたまま前屈する
- 足の付け根周りが「痛いけれど気持ち良い」と思えるところでキープして呼吸を繰り返す
ただし痛みが強いときは無理に動かず、安静にしておきましょう。
生理中以外にも普段からストレッチで腰回りをほぐしておくと、つらい腰痛の防止につながります。
ストレスを解消する
ストレスは生理中の腰痛を悪化させる要因となるので、ストレス解消法を意識的に取り入れることが大切です。
現代社会では仕事や人間関係、家事・育児など、さまざまなストレス要因に囲まれています。
ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、血流低下により体が冷えることで腰痛が発生する原因となるのです。
※参考:東京都健康長寿医療センター研究所
リラックス方法を取り入れたり生活習慣を見直したりして、ストレス解消を心がけましょう。
リラックス方法 | ・アロマオイルの香りを楽しむ ・ハーブティーを飲む ・ゆっくりと入浴する ・音楽を聴く |
生活習慣の見直し | ・十分な睡眠をとる ・規則正しい食事を心がける ・適度な運動を取り入れる ・休息時間を確保する |
特に生理前後は心身ともに敏感になりやすいため、意識的にリラックスする時間を設けるのがおすすめです。
鎮痛薬を服用する
生理前後の腰痛がつらいときは、鎮痛薬を服用すると良いでしょう。
特に非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンが含まれた鎮痛薬は、生理痛の原因となるプロスタグランジンの合成を抑制する作用があります。
なお痛みを緩和するには、鎮痛薬を飲むタイミングが重要です。
プロスタグランジンが多く生成されて痛みが強くなってからでは効果が出にくいので、症状が本格化する前に服用しましょう。
用法・用量を守って服用すれば、生理による腰痛を和らげる効果が期待できます。
【関連記事】
鎮痛薬について詳しくはこちら!
生理痛に効く薬はどれ?選び方や効かない時の対処法も解説
セルフケアで改善しないときは婦人科に行きましょう
セルフケアを試しても毎回強い腰痛に悩まされる場合は、婦人科での受診をおすすめします。
生理痛による慢性的な腰痛には、低用量ピルによる治療が効果的です。
しかし低用量ピルを処方してもらうために婦人科を受診するのは、ハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
気軽に相談したい方には、オンライン診療がおすすめです。
【オンライン診療のメリット】
- 自宅から受診できる
- 予約なしで相談できる
- まずは相談だけでもOK
エミシアクリニックでもオンライン診療を提供しており、LINEから相談を受け付けています。
まずは医師に症状を相談し、低用量ピルを1カ月試してみましょう。
自分に合った治療法が見つかれば、つらい症状が和らいで日々を快適に過ごせるはずです。
生理による腰の痛みに関するよくある質問
生理による腰の痛みについて、よくある質問をまとめました。
生理中でも快適に生活できるヒントが得られるので、ぜひチェックしてください。
腰痛がひどいときのマッサージは辞めた方がいいって本当?
結論からいうと、腰痛がつらいときはマッサージしてもOKです。
生理中の腰痛に対するマッサージは、適切な方法で行えば痛み緩和の効果が期待できます。
特に骨盤周辺の仙骨やでんぶに適度なマッサージを施すことで、症状を和らげられるでしょう。
※仙骨:腰の中央、背骨の一番下に位置する三角形の骨
※でんぶ:背中の下部の膨らんだ部分(お尻部分)
マッサージする際は手のひらで円を描くように優しくほぐし、適度な力加減でゆっくりと揉むのがおすすめです。
反対に強く押し過ぎたり叩いたりすると、筋繊維を傷める可能性があるので注意しましょう。
腰が痛くて寝れないときはどうしたらいい?
生理中に腰が痛くて寝れないときは、寝方を工夫すると症状を和らげられます。
おすすめなのは、横向きになって膝を軽く曲げ、背中を丸める姿勢です。
お腹周りの筋肉が緩み、圧迫感が軽減して痛みが緩和されます。
またうつ伏せも、生理に伴って腰が痛いときにおすすめの楽な姿勢です。
うつ伏せは背中への圧迫が減少し、自然と腰痛が和らぐ傾向にあります。
【関連記事】
生理痛がひどいときの体勢についてはこちら!
生理痛を和らげる体勢は?痛み緩和に繋がるセルフケアや対策も徹底解説
生理のときに右腰だけ痛いのはなぜ?
右側に姿勢が偏ったり骨盤が歪んだりしていると、右側に痛みが出やすい傾向にあります。
また体の構造で子宮は骨盤内でやや右側に位置しており、筋肉が刺激されることで右腰に痛みを感じることも。
さらに、卵巣腫瘍や子宮内膜症といった女性特有の病気が隠れている可能性もあります。
心配な場合は早めに婦人科を受診し、専門医による適切な診断を受けましょう。
生理で腰が痛い場合は無理せずに休もう
生理で腰が痛くなるのは、プロスタグランジンやリラキシンといった女性ホルモンの働きが関係しています。
痛みがつらいときは無理せず休み、体を温める・鎮痛薬を服用するなどの対処法を試しましょう。
セルフケアしても症状が改善しないときは、婦人科を受診するのがおすすめです。
専門医が悩みを聞き取りし、症状に合わせて低用量ピルを処方します。
オンライン診療なら自宅から予約なしで受診できるため、気軽に相談してみましょう。