ピルとタバコの関係性を医師が解説【喫煙者が知るべきリスク】 | 【公式】EMISHIA CLINIC 丨 エミシアクリニック

ピルとタバコの関係性を医師が解説【喫煙者が知るべきリスク】

ピルとタバコの関係性を医師が解説【喫煙者が知るべきリスク】

低用量ピルは、正しく服用すれば生理痛やPMSの症状の緩和・避妊効果に期待できますが、喫煙者が服用する場合は注意が必要です。

「ピル服用時にタバコを吸うとリスクが高いのはなぜ?」

「少しのタバコならピル服用中に吸っても大丈夫?」

上記のような疑問を持つ方も多いですが、ピル服用中は血栓のリスクが高まるため、禁煙が推奨されています。

この記事では、喫煙者がピルを検討する際に知っておくべきリスクや種類別の影響についてまとめました。

最後まで読めば、禁煙の取り組みや副作用を感じた時の対処法が分かるため、すぐにでもピル服用に向けた行動を開始できるでしょう。

エミシアクリニックでは禁煙からピル開始のタイミングまで医師から直接アドバイスが可能なため、これから服用を検討している喫煙者の方はぜひご相談ください。



上野 一樹先生

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生

2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任

ピルとタバコの併用により考えられるリスク

ピルとタバコの併用により考えられるリスク

タバコを吸う方が低用量ピルを服用すると、以下のリスクが高まります。

特に35歳以上でタバコを1日15本以上吸っている場合は、喫煙の影響が顕著であるため、低用量ピルの処方を受けられません。

ピルの服用を検討中の方は、安全に開始するためにもチェックしておきましょう。

※参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)P31

血栓症

血栓症は血管の中で血の塊(血栓)ができ、血流を妨げる症状で、最悪の場合は命に関わる危険な病気です。

低用量ピルには元々血栓症リスクがありますが、喫煙者の場合はタバコの影響でよりリスクが高まります。

要因としては、ピルとタバコの両方が血液が固まりやすくなる作用を持つためです。

エストロゲンエストロゲンが血液の凝固因子を増やす
タバコニコチンや一酸化炭素などの有害化学物質により、血液が収縮しやすい

ピルを処方してもらう時は、血栓症リスクを低下させるため必ず禁煙しましょう。

※参考:日本血栓止血学会「血栓症ガイドブック

※参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)P20

心筋梗塞や脳卒中

血栓症が起きやすいことから、心筋梗塞や脳卒中など重篤な疾患につながる恐れもあります。

疾患名症状影響
心筋梗塞血管内が血栓などで詰まり、心臓への血流が途絶える心臓が壊死・最悪の場合は死亡
脳卒中脳の血管内が詰まる(脳梗塞)または血管が破れる(脳出血・くも膜下出血)半身麻痺・言語障害・最悪の場合は死亡

心筋梗塞や脳卒中は、一命を取り留めたとしても、重い後遺症が残る可能性があります。

リスクを最小限に抑えるため、ピルを服用する際は、禁煙が不可欠です。

※参考:日本血栓止血学会「血栓症ガイドブック

アイコスなどの加熱式・電子式タバコも避ける

アイコスなどの加熱式・電子式タバコも避ける

低用量ピルを服用する際は、加熱式タバコ・電子式タバコのいずれも避けてください

加熱式・電子式タバコは、紙巻きタバコより害が少ないと誤解されがちですが、血栓症のリスクをなくすわけではありません。

加熱式・電子式タバコが与える体への影響は、次の通りです。

タバコの種類有害物質体への作用
加熱式タバコニコチン他、有害化学物質量が紙巻きタバコと同等、または少ないものもある血管収縮作用・血管内皮の組織障害から血栓リスクが高まる
電子タバコ(ニコチンなし)ニコチンは含まれていないが、紙巻きタバコ以上に有害化学物質が含まれていると指摘がある化学物質が心血管系に悪影響を及ぼす可能性がある

アイコスなどの加熱式・電子式タバコに含まれる有害化学物質は、血栓症や心筋梗塞のリスクが高まるとされています。

医療機関でピルを処方してもらう際は、喫煙の有無を必ず伝えましょう。

また禁煙を目指し、医師や禁煙外来など専門機関のサポートを活用するのもおすすめです。

※厚生労働省 e-ヘルスネット「喫煙と循環器疾患

ピルを飲みたいけどタバコをやめられない時の対処法

禁煙を開始すると、1日に何度も「タバコを吸いたい」気持ちになります。

禁煙を始めた際の禁断症状は、2〜3日でピークを迎え、個人差はありますが10〜14日ごろまで続きます。

タバコを吸いたくなるようなシーンでは、代わりになる行動を決めて実施する方法をお試しください。

ピルを飲みたいけどタバコをやめられない時の対処法
タバコを吸いたくなるシーン代わりの行動
起きてすぐすぐに洗顔をする
食後すぐすぐに歯磨きをする
コーヒーを飲んだときコーヒー以外のドリンクに変える
移動の車内糖分の少ないガムを噛む
仕事の休憩時間職場に禁煙を宣言する
目的地に着いたとき深呼吸をする
アルコールを飲んだとき吸いたくなったら冷水を飲む

再び喫煙してしまったとしても、禁煙は何度でもチャレンジ可能です。

タバコへの依存度が高い場合、一定の条件を満たせば禁煙外来を受診し、保険適用で治療を開始できます。

一人で禁煙に取り組むのが難しいと感じる時は、専門の医療機関を受診してみましょう。

※厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》

ピル服用中は受動喫煙にも注意

ピルを服用する際は、パートナーや家族が喫煙者の場合も注意が必要です。

タバコを吸っていなくても、喫煙者の吐くタバコの煙を吸う受動喫煙で血栓症のリスクが高まります。

喫煙者が吐くタバコの煙には、ニコチンやタールが含まれており、受動喫煙者への健康リスクは喫煙者と変わりません。

また将来、妊娠を望む際に、受動喫煙は次のようなリスクも考えられます。

  • 不妊症
  • 妊婦への健康被害
  • 低体重児や早産
  • 乳児突然死症候群
  • 子どもの呼吸器疾患・中耳炎など

ピルの服用を開始する際には、周囲の身近な方へ協力を求めるなどして、受動喫煙を避ける行動をとりましょう。

※厚生労働省 e-ヘルスネット「受動喫煙 – 他人の喫煙の影響

ピルとタバコの関係性に関してよくある質問

ここではピルとタバコの関係性に関して、よくある3つの質問を紹介します。

ピル服用前の疑問は、安全に低用量ピルを服用するために、必ずチェックしておきましょう。

禁煙後、どのくらいでピルを開始できる?

禁煙後、どのくらいでピルを開始できる?

禁煙を開始したら、翌日からピルの服用が可能です。

タバコの影響は、禁煙開始直後から徐々に減少し、健康リスクも時間と共に低下していきます。

禁煙開始後から体は、次のように変化していきます。

禁煙後の経過時間体の変化
禁煙後24時間心臓発作のリスクが低下し始める
禁煙後1週間〜1カ月血圧や心拍数が正常化し、血液の循環が改善する
禁煙後1カ月以上動脈機能が回復し、血栓症や心筋梗塞のリスクが大幅に低下する

禁煙を始めた24時間後からリスク低下が見られるため、ピルの服用を検討している方は、すぐに禁煙を開始してください。

またこれから禁煙をする方は、クリニック受診時に医師へ伝えることで、ピルの服用開始時期をアドバイスしてもらいましょう。

※参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙の効果

実際に副作用が起きたらどうすればいい?

低用量ピルの服用を開始して2〜3カ月の間は、薬の作用に体が慣れるまでむくみや不正出血・胸の張りなどの副作用が考えられます。

中でも次のような副作用があらわれた際は、迷わずクリニックを受診してください。

  • 激しい頭痛
  • 胸の痛み・息苦しさ
  • 舌のもつれ・喋りにくさ
  • めまい
  • 歩きにくさ
  • 吐き気・嘔吐

上記は、血栓による血流が滞ることで起こる症状です。

症状は急激にあらわれる場合が多いため、体の変化に気がついたら放置せずに医師に相談しましょう。

エミシアクリニックでもオンライン診療ですぐに無料相談できるため、ぜひご活用ください。



ピルの副作用について詳しくはこちら!
低用量ピルの副作用は怖い?デメリットと各対策を徹底解説

※参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)P20

「ミニピル」なら喫煙してもいいって本当?

ミニピルは、低用量ピルに含まれる「エストロゲン」を含まないため、喫煙者でも処方される場合があります。

黄体ホルモンのみが含まれており、低用量ピルと比べると血栓症リスクは低いと考えられるためです。

しかし、喫煙自体が血栓症リスクを高めるため、非喫煙者と比べると依然としてリスクは高い状態です。

喫煙者がミニピルを検討する際も、リスクを理解した上で慎重に判断する必要があります。

また医療機関により方針は異なり、ミニピルであれば必ずしも処方してもらえるわけではないため、クリニックで相談した上で医師に判断を仰ぎましょう。

低用量ピルの種類について詳しくはこちら!
低用量ピルにはどんな種類がある?それぞれの違いや特徴・保険適用についても解説!

ピルを服用する場合はまず禁煙から始めよう

ピルを安全に使用して期待する効果を得るには、まず禁煙を始めることが重要です。

喫煙を続けたままでは血栓症や心筋梗塞・脳卒中のリスクが高まり、安全な服用は難しくなります。

タバコをやめれば血栓症のリスクは段階的に低下するため、より安全にピルを使用できる環境を整えましょう。

またピルについて疑問のある喫煙者の方は、エミシアクリニックのオンライン診療をご利用ください。

無料カウンセリングを通じて疑問を解消し、安全に使用するためのアドバイスをいたします。



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