インターネットやSNSを見ると「ピルは太らないと聞いたのに体重が増えた」「ピルで太ると思うと飲むのをためらう」などの声を目にする機会があります。
しかし結論から言うと、ピルに体重を増やす直接的な作用はありません。
それでも「太った気がする」「むくみやすくなった」と感じる方が一定数いるのは、ホルモンバランスの変化によって一時的な体の変化が起こるためです。
この記事では、以下の内容について詳しく解説します。
必ずしも太るわけではないため、薬の特徴を正しく理解して自分に合ったピルを選択しましょう。
また、ピルには生理痛やPMSの緩和やニキビ予防など、日々の悩みをサポートする効果に期待できます。
当てはまるお悩みがある方は、お気軽にエミシアクリニックのオンライン診療でご相談ください。
あなたに合ったピル選びのお手伝いから、お薬の配達までサポートしています。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
ピルを服用すると太ると言われる理由

「ピル太り」の主な理由は、ホルモンバランスの変化によって一時的に体に起こる反応にあります。
低用量ピルに含まれる女性ホルモン(エストロゲン・プロゲスチン)には、以下の作用があるためです。
上記が重なることで「太った気がする」と感じる方が一定数いるものの、ピルそのものに体重を増やす作用があるわけではありません。
ピルによる体の変化を正しく理解することが、不安なく服用を続けるための第一歩です。
ピル服用中はむくみやすい
ピルに含まれる女性ホルモンの体に水分を溜める働きにより、服用後はむくみやすくなります。
特にピルの服用初期に多く見られ、数週間〜2カ月で落ち着くケースが一般的です。
体がホルモンに慣れてくると、水分の保持傾向も次第に和らいでいきます。
服用を中止するのではなく、変化を見守りながら継続することが大切です。
どうしてもつらいと感じる場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
※参照:文部科学省「 Conditioning Guide for Female Athletes 1」
ピルによる食欲増加の作用
ピル服用初期は体がホルモンバランスの変化に慣れておらず、以下のような理由から一時的に食欲が増すケースが多いです。
- 黄体ホルモンの作用で脳が空腹を感じやすくなる
- 血糖値の上下動が不安定になり甘いものを欲しやすくなる
ただし、食欲が増したからといって必ず太るわけではありません。
実際の体重増加は摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって決まります。
無意識に間食が増えたり、食べ過ぎが続いたりすることで、初めて体重増加につながります。
「なんとなく食べたい」と感じたときは、本当に空腹なのかを一度立ち止まって考えることが大切です。
ピル服用による体重増加を防ぐ4つのコツ
ピルの服用で体重を増加させないためには、予防対策をとることが大切です。
ピルの飲み始めは1〜2kgの体重増減はあるものの、肥満傾向になると血栓症のリスクも上がるため、体重の増えすぎに注意しましょう。
ピル服用中の体重増加を防止する4つの対策は以下の通りです。
数字を把握することで食生活への意識が高まり、小さな変化にも気づきやすくなります。
実際、ピル服用によって体重が増加する人は約2%未満と報告されています(※)。
過度に心配しすぎず、日々の習慣を整えることがピルと上手に付き合うコツです。
※参考:日本産科婦人科学会編
栄養バランスの取れた食事を心がける
ピルを服用している間は、食生活が偏らないようバランスの取れた食事を意識しましょう。
ホルモンバランスの影響で食欲増進すると、味の濃いものや甘いものを欲するままに食べたくなるものです。
しかし、必要な栄養素が不足すると代謝が低下し太る原因になります。
特に意識して取り入れたいのは、食べ応えがありお通じの改善に役立つ食物繊維やカリウムなど、余分な水分を排出しむくみを改善する食材です。
以下に食物繊維やカリウムを多く含む食材をまとめました。
栄養素 | 食材 |
---|---|
食物繊維 | ・根菜類:蓮根・ごぼう ・野菜:セロリ・キャベツ ・きのこ類:しめじ・椎茸 ・海藻類:ひじき・昆布 ・精製されていない穀物:玄米・オートミール |
カリウム | ・果物類:バナナ・アボカド ・豆類:大豆・納豆・枝豆 ・野菜類:きゅうり・キャベツ ・根菜類:さつまいも・里芋 ・海藻類:わかめ・もずく |
塩分の摂りすぎは、むくみの原因になるため控えましょう。
栄養バランスの整った食事をよく噛んでゆっくり食べることが大切です。
満腹中枢が刺激されると、食事の満足感を得やすくなるので、食べ過ぎをコントロールできるでしょう。
軽い運動を日常に取り入れる
ピル服用中は適度な運動を取り入れ、食べ過ぎやむくみで太るのを予防しましょう。
運動習慣があると、多少食べ過ぎてしまってもエネルギーとして代謝しやすくなります。
次の運動は比較的軽めで続きやすいので、普段運動しない方にもおすすめです。
運動 | 期待できる効果 |
---|---|
駅や商業施設内では階段を使う | 普段の移動で自然に活動量を増やし、代謝を高める |
ストレッチを習慣にする | お風呂上がりや寝る前の習慣にして血行を促す |
簡単な筋トレ | スクワットや腹筋で筋力を上げ、代謝を高める |
ピルを服用するからといって、本格的な激しい運動を取り入れる必要はありません。
健康な生活リズムを維持するために、無理なく続けられる範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
体を動かすと全身の血行がよくなり、むくみの改善にもつながるのでおすすめです。
睡眠の質を見直す
体重管理のためには、睡眠の質を整えることも重要です。
睡眠不足が続くと自律神経やホルモンバランスが乱れ、食欲が増したりむくみやすくなったりします。
特にホルモンの分泌リズムが崩れると、脂肪をため込みやすい体質へと傾きやすくなるため注意が必要です。
質の良い睡眠をとるために、以下のポイントを習慣にするよう心がけましょう。
- 塩分を控えた夕食を心がける
- 就寝1時間前までに湯船に浸かる
- スマホやPCを寝る前に見ない
睡眠をしっかりとることでホルモンバランスが安定し、太りにくくむくみにくい状態を保ちやすくなります。
ストレスを溜めない
ストレスが溜まると、過食や飲酒量が増えやすく、体重増加につながりやすいため気をつけましょう。
生理前の急激なホルモン変動で、イライラや不安感などのストレスを感じやすい方もいます。
ピルの服用を開始した当初も、ホルモンが安定するまでは同じようにストレスを感じる場合があるので注意が必要です。
ストレスから不眠になっている方は、甘い物や脂質が多く太りやすい食べ物を好む傾向にあり、体重が増加しやすいこともわかっています。
※参照:筑波大学(寝不足はダイエットの敵)
ストレスを溜め込まないために、次のような発散方法を取り入れてみましょう。
- 誰かに話を聞いてもらう
- 睡眠不足を防ぐため、早めの就寝する
- 休息のため、リラックス時間を確保する
- 適度な運動でリフレッシュする
- 好きな音楽や物に触れて、気分転換をする
- 居心地の良い快適な空間でリラックスする
ストレスが溜まるとホルモンバランスが乱れやすく、気分のムラや倦怠感を感じやすくなります。
ピルの服用中は、ストレスを溜め込まないよう上手に発散していきましょう。
太りにくいピルの種類
ピ現在主流の低用量ピルは、体重増加の副作用が出にくいよう設計されています。
ホルモン量を抑えたことで「太りにくい」とされるピルは、以下の通りです。
食欲増進しにくい | ・マーベロン ・ファボワール(ジェネリック) |
むくみにくい | ・ヤーズ ・ドロエチ(ジェネリック) ・ヤーズフレックス |
ただし、どのピルを服用する場合でも「まったく太らない」と断言できるものではありません。
ピルによる体重の変化は個人差が大きく、体質や生活習慣の影響も大きく関わります。
体重変化が気になる方は、診察時に「太りにくいピルを希望している」と医師に伝えましょう。
正しい知識と医師のサポートを味方に、安心してピルを取り入れてください。
低用量ピルの種類について詳しくはこちら!
低用量ピルにはどんな種類がある?それぞれの違いや特徴・保険適用についても解説!
ピルを選ぶときはオンライン診療でご相談ください
ピルの種類は多いため、体質や目的に合ったものを選ぶには医師の判断が欠かせません。
特に「太りにくいピルを選びたい」「副作用が不安」な方は、専門家に相談することが重要です。
最近は通院せずに処方まで完結できるオンライン診療でピルの処方も可能になりました。
エミシアクリニックでも、LINEの登録で診察からピルの処方までオンラインで完結できます。
ピルを飲むことで太る以外に起こる体の変化
ピルは個人差があるもののホルモンバランスを整える効果に期待でき、以下のような変化を実感しやすいです。
- 肌荒れやニキビの改善
- 生理痛の軽減
- PMS(月経前症候群)の緩和
- 月経周期が安定する
「太るのが怖いから」と敬遠されている方は、ぜひ一度医師へご相談ください。
どのような変化が起こるかを事前に知っておくことで、安心して服用をスタートできます。
自分に合ったピルを見つけるためにも、まずは反応を観察しながらじっくり付き合っていく姿勢が大切です。
急激な変化がある場合は医師に相談する

ピルを服用中に急激な体重変化や気になる症状があった場合は、早めに医師へ相談しましょう。
副作用の多くは軽度で一時的なものですが、まれに注意が必要な症状が現れることもあります。
以下のような変化があったときは、自己判断せず専門機関に問い合わせましょう。
- 急に体重が増える、むくみがひどくなる
- 頭痛が強くなる、視界がぼやける
- 息切れや胸の痛みが出る
- 手足のしびれ・脱力感が続く
上記の症状はどれも重大な副作用の兆候である可能性があるため、早期の受診が安全につながります。
少しでも違和感があるときは、「ピルの副作用かもしれない」と気づくことが、自分の体を守る第一歩です。
ピルの副作用について詳しくはこちら!
低用量ピルの副作用は怖い?デメリットと各対策を徹底解説
ピルに関してよくある質問
ここではピルに関する、よくある次の2つの質問を紹介します。
ピルの効果を維持するためには、疑問をなくして適切に服用を継続することが大切です。
休薬期間に太るのはなぜ?
休薬期間中に服用するピルには女性ホルモンが含まれていないため、基本的には副作用が出にくいとされています。
ただしホルモンバランスが安定していない時期には、顔や手足がむくんだり、必要以上に食欲が増したりすることもあります。
これらの変化は、体がピルに慣れるまでの一時的なものがほとんどです。
まずは、焦らず2〜3カ月を目安に様子を見ながら続けていきましょう。
もし日常生活に支障をきたすほど、症状が強く感じる場合は、無理をせず医師に相談してください。
ピルを飲んでても生理前は太る?
ピルを服用していても、生理前に体重が増えることはあります。
黄体ホルモンの影響で水分をため込みやすくなり、食欲が増す傾向もあるためです。
ピルによってホルモンの波は穏やかになりますが、含まれるホルモン成分が食欲に影響することもあります。
結果として食べ過ぎれば、体重増加につながるでしょう。
ホルモンの影響を受けやすい方は、食事量や間食に気をつけながら、軽い運動などで体を動かす習慣を取り入れるのがおすすめです。
「ピルを飲むと太る」は嘘!正しい知識をつけよう
低用量ピルそのものに、脂肪を増やして体重を増加させるような作用はありません。
ただしピルに含まれる黄体ホルモンの影響で、水分がたまりやすくなったり、食欲が増すことはあります。
そのため、「太った気がする」と感じる方がいるのも事実です。
しかし食べ過ぎを避け、栄養バランスの取れた食事と軽い運動を習慣化することで、体重の増加は十分に防げます。
ピルの影響が落ち着くまでは、1〜3カ月ほど様子を見ながら続けていくことが大切です。
不安がある方は、医師に相談しながら自分に合ったピルを選びましょう。
エミシアクリニックでは、通院不要のオンライン診療を実施しており、事前の無料カウンセリングで不安や疑問を気軽に相談できます。
予約から診察、処方までスマホで完結できるため、忙しい方や初めての方にもおすすめです。
ピルの服用に不安がある方は、まずはオンライン診療をご検討ください。