バリフはインドの製薬会社「アジャンタ・ファーマ社」が製造販売している治療薬です。
ED(勃起不全)の治療薬として海外で使用されており、勃起機能の改善に用いられることがあります。
ただし、日本では未承認の治療薬であり、安全性や有効性は国内で確認されていません。
また、バリフの使用は、思いがけない体調不良や健康状態の悪化を引き起こすケースもあります。
インターネット上では、バリフの使用により死亡したという噂を見かけることもあり、そのような情報を目にして、不安を抱いている方もいるかもしれません。
この記事では、バリフの死亡事例に関する噂や使用にともなうリスク、起こりうる副作用について解説します。
使用後に体調不良が生じた際の対処法についても解説するので、使用を検討している方はチェックしてみてください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
バリフの使用による死亡例は報告されていないがリスクはある
バリフの使用によって死亡した事例は、現時点では報告されていません。
ただし、ED治療薬の使用は、体調不良を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
ED治療薬の歴史をみると、使用によって過去に死亡した事例が確認されています。
アメリカの食品医薬品局(FDA)によると、1998年3月から7月までに処方された360万個のバイアグラに対して、69例の死亡が報告されています。
死因については以下のとおりです。

- 心臓の病気(心筋梗塞、心停止、冠動脈疾患など):46例
- 脳卒中:2例
- 原因不明:21例
※参照:厚生労働省 バイアグラ関連情報
ただし、亡くなった69名のうち51名が、副作用リスクの高い生活習慣病(高血圧症、糖尿病、心疾患など)をわずらっていたという指摘もあります。
病気のない方が使用した場合、亡くなる可能性がないとは言い切れませんが、限りなく低いと言えるでしょう。
バリフの効果に関してくわしく知りたい人はこちら!
バリフの効果とは?副作用や使い方・他のED治療薬との違いを解説
バリフによる死亡に関する噂がある2つの理由
バリフの使用による死亡の噂が流れている理由としては、以下の内容が考えられます。

先述したように、バリフの使用によって死亡した事例は報告されていません。
ただし、健康に悪影響が生じる可能性は考えられます。
不適切な利用は体調不良を引き起こすおそれがあるため、使用には注意が必要です
海外通販の活用による偽造品のリスクがある
バリフは、日本国内で承認されていないED治療薬であり、入手には海外からの個人輸入が必要です。
個人輸入には、正規品と偽造品が混在しており、意図せずに購入してしまう可能性があります。
偽造品を使用すると以下のようなリスクが生じるおそれがあります。
- 有効成分が規定量を満たしておらず、十分な効果が得られない
- 有害な物質が含まれている可能性があり、健康被害を引き起こすおそれがある
※参照:厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
近年の偽造品は正規品によく似ており、自力で見分けにくいケースも少なくありません。
個人輸入による購入には、高いリスクがあることを覚えておきましょう。
治療薬や病気が原因で危険な状態に陥るおそれがある
バリフの使用では、ほかの治療薬との組み合わせや病気との相性によって、体調不良を引き起こし、危険な状態につながる可能性があります。
たとえば、バリフには血管を広げる作用があり、一時的な血圧低下をもたらす可能性があります。
狭心症(※)の治療薬である血管拡張薬と併用すると、血管拡張作用が強まり、過度な血圧低下を招くおそれがあるのです。
※心臓の血管が細くなり、血流が低下した状態
▼血管拡張薬の例
- ニトログリセリン
- 亜硝酸アミル
心臓や脳の血管の病気がある場合は、バリフによって致命的な副作用が起こるリスクが高いため、使用が禁止されているケースもあります。
持病をわずらっている方や病気のために治療薬を使用している方は、自己判断による使用を控えましょう。
バリフの使用で起こりうる副作用
バリフを使用すると、副作用が生じる場合もあります。
頭痛やほてりのような軽度な副作用で済む場合もあれば、持続勃起症や心筋梗塞(心臓のポンプ機能の低下)などの治療が必要となる重度の副作用が生じる場合もあります。
代表的な副作用とそのサインを以下にまとめました。
| 分類 | 主な症状 | 疑われる病気 |
|---|---|---|
| 軽度の副作用 | ・頭痛 ・ほてり ・鼻づまり ・吐き気 ・めまい | – |
| 重度の副作用 | ・4時間以上の勃起 ・胸が締め付けられるような痛み ・視野の欠損 | ・持続勃起症 ・心筋梗塞 ・⾮動脈炎性前部虚⾎性視神経症(NAION) |
軽度の副作用であれば、一過性の症状である場合がほとんどであり、体調の様子を見ても問題ない場合が多いでしょう。
一方で、急激な体調の悪化や、重度の副作用が疑われる症状があらわれた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
バリフを使用する際の注意点
バリフの使用では、効力低下の予防や安全な使用のために、いくつか注意が必要なポイントがあります。
適切な使用方法をよく確認したうえで、バリフを使用しましょう。
使用後は体調に変化がないか注意深く観察し、異常があればすぐに医療機関を受診してください。
使用前:添付文書にならって使用する
バリフを使用する際は、使用前に添付文書をよく読み、正しい服用方法を守りましょう。
主なポイントを以下にまとめました。
- 性交渉の約1時間前に使用する
- 指定された用法用量を守る
- 水やぬるま湯と一緒に飲む
バリフの有効成分である「バルデナフィル」の血中濃度は、使用してから約1時間で最大になると報告されています。
性交渉の約1時間前を目安に使用することが望ましいです。
規定量を超えて使用しても、勃起の持続力が高まるわけではありません。
かえって身体への負担が大きく体調不良を招くおそれがあるため、過剰な使用は控えましょう。
また、使用する際は飲み合わせにも注意が必要です。
グレープフルーツジュースと一緒に飲むと、バリフの効果が異常に強まり、思わぬ副作用をきたす可能性があるため水やぬるま湯と一緒に飲みましょう。
使用の際は、前もって添付文書をよく確認することが大切です。
使用後:十分な体調の観察を心がける
バリフの使用後は、一定の確率で副作用が起こりうるため、体調の変化がないか十分に観察しましょう。
バリフと同様の有効成分が含まれる「バルデナフィル錠」では、約10~12%の方にほてりや頭痛などの症状が確認されています。
軽度な副作用が重い副作用の前兆であるケースも考えられるため、放置せず、十分な経過観察を心がけましょう。
明らかな違和感があったり、重度の副作用が疑われる症状があらわれたりした場合は、経過を待たず医療機関を受診してください。
バリフを使用できない人の特徴
持病やほかの治療薬を使用している場合は、使用によるリスクが高く、バリフの使用が禁止されているケースもあります。

上記にあてはまる場合は、バリフに限らず、バイアグラやレビトラ、シアリスなどのED治療薬全般で使用が禁忌とされるケースも多いです。
ほかのED治療薬でも使用ができない場合があるため、誤って使用しないように注意が必要です。
心臓疾患をはじめとした病気をわずらっている
特定の病気をわずらっている場合は、バリフの使用が禁止されていることがあります。
代表的な病気は、以下のとおりです。
- 6か月以内に脳梗塞、脳出血の既往歴がある
- 3か月以内に心筋梗塞の既往歴がある
- 不安定狭心症、QT延長症候群などの心臓の病気を指摘されている
- 重度の肝機能障害がある
- 血液透析が必要な重度の腎障害がある
- 網膜(もうまく)色素変性症がある
- バイアグラやレビトラ、シアリスなどの薬で過敏症になった経験がある
上記以外の持病や治療中の病気でも、使用の際に注意が必要なケースもあります。
自己判断せず、あらかじめ医師に使用してもよいか相談することが大切です。
特定の治療薬を使用している
治療薬の種類によっては、バリフとの併用が禁止されている場合もあります。
代表的な治療薬は、以下のとおりです。
- 硝酸薬、一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミルなど)
- 一部のCYP3A4阻害薬(リトナビル、ケトコナゾールなど)
- リオシグアト(可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤)
これらの治療薬との併用は、重篤な副作用を招くおそれがあるため、バリフの使用が禁止されています。
また、上記以外の治療薬でもバリフとの併用が禁止されているケースも考えられます。
使用中の治療薬がある場合も、前もって専門のクリニックに相談しましょう。
バリフの正規品と偽造品を見分ける方法とは
バリフは日本国内で承認されていない治療薬であり、使用には海外から個人輸入をする必要があります。
個人輸入で販売されている製品には、正規品と偽造品が混在しているため、有効性や安全上の観点から偽造品を見極めることが重要です。
正規品と偽造品を見分ける際は、以下のようなポイントで製品をよく観察しましょう。
- 錠剤の大きさ、色、刻印が正規品と異ならないか
- パッケージのデザインに違和感がないか
少しでも違和感を感じた場合は、使用を控えることをおすすめします。
なお、近年では正規品によく似た偽造品もあるため、誤って使用してしまう可能性も考えられます。
高いリスクをともなうバリフの使用は控え、国内で承認されている治療薬をクリニックで処方してもらうことが望ましいです。
バリフと同等の効果を期待する場合はレビトラジェネリックがおすすめ
硬さを実感しやすく、安価に入手できることからバリフの購入を検討している方もいるでしょう。
個人輸入によるリスクを避け、より安全性の高い治療薬を使用したい方には、レビトラジェネリックの検討をおすすめします。
レビトラジェネリックは、バリフと同様の有効成分を含む、国内で承認されているED治療薬です。
安全性と有効性が証明されているため、過度な心配をせずに治療に取り組めるでしょう。
また、ジェネリック医薬品であるため、先発品と比べて比較的安価に購入できるのも特徴です。
ジェネリック医薬品は、特許が切れた先発品をもとに開発されており、治療薬の開発費用が抑えられているため、安価で購入できます。
※参照:政府広報オンライン 安心してご利用ください ジェネリック医薬品
ED治療薬の使用を迷っている方は、レビトラジェネリックの使用も合わせて検討してみるとよいでしょう。
レビトラジェネリックがどのようなED治療薬なのか、くわしく知りたい方はこちら!
レビトラジェネリックとは?効果・副作用・購入時の注意点を解説
勃起力に不安を感じる方はオンラインクリニックの受診も一つの選択肢
勃起力に不安を感じる方は、自力で解決しようとせず、専門のクリニックを受診することが重要です。
男性機能の低下をもたらす原因は、加齢に限りません。
以下のような要因が、勃起力の低下を引き起こす可能性もあります。
- 生活習慣病(高血圧や糖尿病など)の発症
- 精神状態の不調(うつ病や心的外傷後ストレス障害など)
- がんの手術歴(前立腺がん、直腸がんなど)による神経の損傷
なかでも、糖尿病や高血圧の初期段階では、EDの症状を自覚しやすいとされています。
EDが病気の早期発見につながる可能性もあるため、早い段階で受診するのがおすすめです。
また、バリフの使用を考えている方の中には、クリニックの受診に対して、プライバシーの点で抵抗がある方や時間の確保が難しい方も多いでしょう。
クリニックのED治療では、原則的に医師に男性器を見せることはありません。
また、オンライン診療に対応しているクリニックを選べば、直接足を運ばずに、予約や診察、治療薬の処方までスマホ一つで完結させられる場合もあります。
リスクの高いバリフの使用は控え、クリニックへの受診やオンライン診療の活用も一つの選択肢として検討してみてください。
ED治療ならエミシアクリニック
専門のクリニックの治療では、国内で承認されているED治療薬が処方されるため、バリフの使用に比べて安全性が高い治療が受けられます。
エミシアクリニックで取り扱っている治療薬は、いずれも国内正規品のジェネリック医薬品です。
オンライン診療にも対応しているため、治療費用を抑え、受診の手間を省けるのも利用しやすいポイントの一つです。
また、治療薬に関して気になる点があれば、専門の医師に無料で相談いただけます。
はじめての治療薬の使用で不安に感じる方は、まずは一度ご相談ください。
オンライン診療なら、自宅から医師に相談できるためプライバシーも守られます。ED治療のオンライン診療の内容をくわしく知りたい方はこちら!
ED(勃起不全)のオンライン診療!治療の流れや処方薬を医師が紹介
バリフに関するよくある質問
ここからはバリフに関して寄せられる、よくある質問について回答していきます。
それぞれ確認していきましょう。
バリフはAmazonで購入できますか?
バリフをはじめ、ED治療薬をAmazonで購入することはできません。
バリフは国内未承認の医薬品であるため、海外から個人輸入をする必要があります。
ただし、個人輸入で販売されている医薬品は偽造品のリスクが高く、正規品であるかチェックする必要があるため、利用を控えたほうがよいでしょう。
なお、国内で承認されているED治療薬の処方には、医師の診察と処方せんが必要です。
原則的に、専門のクリニックへの受診が欠かせないと覚えておきましょう。
バリフを女性が使用しても問題ありませんか?
バリフと同様の有効成分を含むレビトラの添付文書によると、女性に対する適応はないと書かれています。
男性の勃起不全治療を目的として作られた治療薬であり、女性に対する安全性や効果は確認されていません。
血管拡張作用にともなう症状があらわれる可能性は考えられますが、男性が使用した場合のような性機能への効果は期待できないため、使用は控えましょう。
誤って使用してしまった場合は、副作用がないか観察が必要です。
頭痛やほてりなどの軽い副作用があらわれた場合は、経過観察でよいとされています。
一方、急激な体調悪化や胸の痛み、視野の違和感などがあらわれた場合は、重い副作用のおそれがあるため、ためらわずに医療機関を受診してください。
バリフをアルコールと一緒に飲んでも健康に影響はありませんか?
適量のアルコールであれば、重大な副作用が起こる可能性は低いとされています。
ただし、過度の飲酒はかえって性交渉に支障が出たり、健康状態に悪影響を与えたりするおそれがあります。
お酒の強さには個人差があるため、自分にとっての適量に抑えることが大切です。
バリフやレビトラの効力と食事の関係性についてくわしく知りたい方はこちら!
レビトラは食事の影響を受ける?食前・後の服用やお酒などの飲み合わせについても解説
バリフの使用時は偽造品による健康へのリスクに注意
バリフの使用による死亡例は、現時点では報告されていません。
ただし、偽造薬による健康被害や副作用による体調不良などを引き起こすリスクがあります。
偽造薬は正規品によく似ており、見分けることが難しいとされています。
安全に治療に取り組むためにも、バリフの使用は避けることが望ましいです。
また、持病がある方や病気の治療で治療薬を使用している方は、バリフの使用によって重い副作用を引き起こしやすくなるケースもあります。
自己判断による治療薬の使用を控え、専門のクリニックに相談しましょう。



