「我慢汁ってどんな液体?」「精液とは違うの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
我慢汁の正体や役割について正しく理解することが、妊娠リスクを正しく判断する第一歩となります。
この記事では我慢汁の特徴や、妊娠の可能性が高まるケースについて紹介します。
予防策から妊娠の可能性があるときの対処法まで詳しく解説しているため、避妊に対して不安がある人は、ぜひ参考にしてください。
パートナーとお互いに避妊に対する正しい知識を持って関係を築きましょう。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
我慢汁とは射精前に尿道に溜まった液のこと

我慢汁とは、性的興奮によって陰茎から自然に分泌される無色透明の液体で、「カウパー腺液」とも呼ばれます。
潤滑や尿道の中和といった働きを持ち、性交時の精子の通過を助ける役割を果たす液体です。
精子と我慢汁は同じ尿道を通過するため、ごく少量の精子が混じる可能性があります。
本人が気づかないうちに分泌されることもあるため、妊娠のリスクが生じる点には注意が必要です。
避妊目的で外出しを選んでいる場合、我慢汁の存在を理解して適切な対策を取ることが大切です。
※参照元:川崎医学会誌「泌尿器科の真実」
我慢汁で妊娠する可能性はゼロではない
我慢汁での妊娠リスクは高くはありませんが、ゼロではないというのが正しい認識です。
「射精していないのに妊娠する確率があるの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
一般的に我慢汁に精子は含まれていないとされていますが、完全に精子が混入しないとは言い切れません。
例えば、直前の射精で尿道内に残っていた精子が、我慢汁とともに排出される可能性があります。
また、排卵日付近に性行為が行われると、少量の精子でも妊娠する確率が高まるためです。
射精を伴わない性行為であっても、条件が重なれば妊娠の可能性は生じます。
妊娠を望まない場合は、避妊具を正しく使用したり低用量ピルを服用したりしましょう。
我慢汁で妊娠の可能性が高まるケース
我慢汁に少量の精子が含まれる可能性がある以上、油断できません。
以下では、特に妊娠リスクが高まるケースについて具体的に説明します。
予期しない妊娠を防ぐためにはリスクのある行為を理解し、確実な避妊を行うことが大切です。
我慢汁がついた手で女性器を触った
「手についた我慢汁で妊娠することなんてあるの?」と疑問に思う人も多いですが、理論上は可能性があるため無視できません。
手についた我慢汁に精子が混ざっていた場合、それが膣内に運ばれると妊娠のリスクが生じます。
精子は少量でも受精能力を持つため、排卵日と重なった場合、妊娠につながる可能性はさらに上がるでしょう。
リスクを避けるためには、性行為の前後には手を清潔に保つことが重要です。
コンドーム未使用で性器同士が触れた
「挿入していないから大丈夫」と思っていても、性器同士が触れ合うだけでも妊娠のリスクはあります。
我慢汁には精子が含まれていることもあり、性器が直接触れた際に膣周辺へ付着する可能性があるためです。
その後、精子が膣内に入り込めば、排卵日付近であれば受精することも否定できません。
避妊具を使用しない状態でのスキンシップには細心の注意を払うことが大切です。
性行為の途中でコンドームを使用した
「途中からコンドームをつけたから大丈夫」と思うのも危険です。
性行為の初めに我慢汁が分泌され、膣や周辺に触れた後にコンドームを使用しても、精子が膣内に入っていれば避妊効果に期待できません。
性行為の途中であれば、なおさら「我慢汁だと思っていたらすでに精液が混じっていた」ということも考えられます。
避妊を望む場合は、性行為の最初からコンドームを正しく使用することが不可欠です。
射精直前に外出しした
「ギリギリで外に出したから大丈夫」という考えは、妊娠リスクを見落としている可能性があります。
射精前に分泌される我慢汁に精子が含まれていた場合、妊娠につながる可能性があるためです。
外出しはコンドームと違い、物理的に防ぐことができないため、完全な避妊方法とは言えません。
また、射精のタイミングは、正確にコントロールしたくても難しいのが現状です。
避妊を望む場合は、外出しではなく避妊に期待ができる選択肢を選びましょう。
我慢汁で妊娠しないための予防策
「我慢汁でも妊娠の可能性がある」と知ったとき、多くの人が不安を感じるでしょう。
以下では、妊娠のリスクを抑えるための具体的な予防策をご紹介します。
正しい知識と行動を身につけることで、不安や後悔を避けることができます。
将来の自分を守るためにも、避妊への意識を高めましょう。
避妊なしの性行為をしない
妊娠を防ぎたいなら、まず避妊なしの性行為(外だし)を行わないことが基本です。
我慢汁には精子が含まれている可能性があるため、性行為のはじめから妊娠リスクが存在します。
年齢や健康状態により個人差はありますが、外だしでの妊娠率は85%と高いため、「妊娠しても構わない」相手とだけすべきです。
特に排卵日前後のタイミングでは、少量の精子でも妊娠する可能性があります。
将来のライフプランがある人は、計画的な行動を心がけましょう。
※参照元:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「避妊」
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コンドームを正しく使用する
妊娠予防にコンドームを使用する際は、正しい使用方法で装着することが重要です。
コンドームを適切に装着していれば、我慢汁が体内に入るのを防ぐ効果に期待できます。
使用のタイミングが遅れたり、装着方法が誤っていたりすると、十分な避妊効果は得られません。
性行為前から終えるまで正しく使ってこそ、妊娠を防ぐことができます。
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日常的に低用量ピルを飲む
低用量ピルを日常的に服用することで、妊娠のリスクを下げる効果に期待できます。
我慢汁に精子が含まれていた場合も、排卵が抑えられ、受精の可能性を下げられるためです。
ただし、毎日決まった時間に服用することが重要で、飲み忘れがあると効果が下がってしまいます。
医師の指導のもとで適切に使用すれば、避妊法として心強い手段となるでしょう。
エミシアクリニックでもオンライン診療で扱っているため、お気軽にご相談ください。
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パートナーと避妊について話し合う
妊娠のリスクを減らすには、パートナーとの話し合いも欠かせません。
妊娠の可能性を正しく理解し、お互いに予防の意識を持つことでより安全な関係を築けます。
相手に避妊を任せきりにせず、お互いに主体的に行動することが大切です。
予期せぬ妊娠によるライフプランの変更や、アフターピルの服用判断を迫られるのは女性にとって大きな負担になります。
安心できる関係のためにも、率直なコミュニケーションを意識しましょう。
我慢汁で妊娠の不安があるときの3つの対処法

以下では、妊娠の可能性を早期に防いだり、確認したりするための対処法をご紹介します。
万が一の事態に備えて、正しい知識を身につけておきましょう。
アフターピル(緊急避妊薬)を飲む
避妊に失敗した、または無防備な性交渉で妊娠の不安がある場合は、早めにアフターピルを服用しましょう。
アフターピルとは、排卵の抑制や受精卵の着床を防ぐ効果に期待できる薬剤です。
予定外の妊娠を防ぐために緊急的に服用する薬剤となり、以下の種類があります。
- 性行為から72時間(3日)以内に服用
- 性行為から120時間(5日)以内に服用
服用は性交後、できる限り早いタイミングで服用するのが望ましいとされています。
時間が経過するごとに避妊の確率は低下し、120時間以上経過すると妊娠のリスクが高まるためです。
医師の処方により服用できる薬のため、希望する場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
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未成年はすぐに親に相談する
未成年の場合、自分だけで判断するのは難しいため、まずは信頼できる親や保護者に相談しましょう。
医療機関の受診やアフターピルの入手においても、親の協力が必要になる場合は多いです。
迷っている時間が長いと、時間が経過するごとに選べる選択肢が限られてしまいます。
不安な気持ちを伝えることは勇気がいりますが、早めの相談が問題の早期解決につながるため、すぐに行動を起こしましょう。
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生理が1週間以上遅れるときは妊娠検査薬を使う
避妊に不安がある状態で生理が遅れている場合は、妊娠検査薬を使って確認しましょう。
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日から1週間以上経過してから使用します。
妊娠検査薬の使用で妊娠がわかった場合は、すぐに産婦人科を受診して正確な判定を受けてください。
また、妊娠検査薬が陰性でも、体調に不安がある人は医療機関を受診するといいでしょう。
生理が来るかどうかをただ待つのではなく、自分の体の変化を早めに知ることが大切です。
我慢汁による妊娠予防に関してよくある3つの質問
以下では、我慢汁に関してよくある質問に対してわかりやすく回答します。
正しい知識を持たないまま自己判断をすると、避けられたはずの妊娠リスクを招くこともあるため確認しておきましょう。
我慢汁と精液に見た目の違いはある?
我慢汁と精液には見た目の違いがあります。
- 我慢汁:無色透明でさらっとしている
- 精液:白く濁っており粘り気がある
しかし、興奮の度合いや体調によってはっきりとした違いがないケースもあり、実際に見分けるのは難しいこともあります。
我慢汁にも精子が混じる可能性を踏まえると、見た目だけで判断して避妊対策を怠るのは危険です。
妊娠を望まない場合は、避妊を前提とした行動をとってください。
我慢汁が出ていなければ外出しで妊娠は避けられる?
我慢汁が出ていなかったとしても、外出しによる避妊は不確実であり、避妊しているとは言えません。
無自覚のうちに我慢汁が分泌されている可能性があり、精子が含まれていれば妊娠の可能性があります。
実際に日本産婦人科学会が行なった調査では、希望しない妊娠で人口中絶に至った24.4%が外出し(膣外射精)によるものです。
「我慢汁が出ていなかったから大丈夫」「安全日だから問題ない」と考えるのは大きな誤解です。
避妊を希望する場合は、コンドームを使用するなど、正しい避妊方法を取りましょう。
※参照:日本産婦人科学会「10代の人工妊娠中絶についてアンケート」
素股だけなら妊娠しない?
素股であっても妊娠する可能性はゼロではありません。
性器同士をこすり合わせる行為の中で、我慢汁や精液が女性器の入り口に付着すれば、妊娠につながる場合があります。
特に排卵期に近いタイミングでは妊娠のリスクが高まるため、素股であっても注意が必要です。
正しくコンドームを装着していないのであれば、性的接触そのものに慎重になるべきでしょう。
我慢汁でも妊娠の可能性はある|正しく避妊しよう
我慢汁には精子は含まれないとされていますが、尿道に残っている精子が混じる可能性があり妊娠の可能性もゼロではありません。
外出しや避妊なしの行為が重なったときに、妊娠につながるケースもあります。
避妊するにはコンドームの正しい使用や、ピルの服用など複数の方法を組み合わせることが重要です。
「我慢汁には精子が含まれていないから大丈夫」と過信せず、パートナーとお互いに正しい知識をもとに避妊対策を行いましょう。