「痩せているのに尿酸値が高いと言われた」
「尿酸値が高いのは、太っている人だけじゃないの?」
そう感じて戸惑う方は、少なくないかもしれません。
実は、痩せている人でも尿酸値が高くなるケースは決して珍しくないのです。
尿酸値は、肥満だけでなく体質・食事・水分摂取量・ストレス・腎機能など、さまざまな要因で変化します。
実際に、高尿酸血症の発症には生活習慣だけでなく、遺伝率30〜70%が影響することが明らかになっています(※)。
※出典:関西医科大学「尿酸値を左右する新たな遺伝的要因を発見」
本記事では、痩せているのに尿酸値が高くなる原因や体内の仕組みをわかりやすく解説。
さらに、尿酸値を下げる具体的な方法や、注意すべき生活習慣の特徴もご紹介します。
「なぜ自分の尿酸値が高いのか知りたい」「改善方法を知りたい」という方はぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
痩せているのに尿酸値が高い人は意外と多い!
「痩せているのに尿酸値が高い」というケースは、実は珍しいことではありません。
たとえば女性の場合、閉経後のホルモンバランスの変化によって尿酸値が上昇しやすくなることが知られています。
また、若い世代や痩せ型の人でも、ストレス・生活リズムの乱れ・遺伝的な体質などが影響して尿酸値が上がることも。
近年は、食生活の欧米化や運動不足といった生活習慣の変化により、体型に関わらず高尿酸血症の人が増えていることも報告されています(※)。
※出典:J-Stage「高尿酸血症は増加しているか?-性差を中心に」
かつては「肥満の人に多い病気」とされていた高尿酸血症ですが、現代では痩せていても発症するリスクがあることが分かってきました。
肥満だけが原因ではない?尿酸値とは
そもそも尿酸値とは、血液中に含まれる「尿酸」の濃度を示す数値のことで、以下が基準値です。

尿酸は、食べ物に含まれるプリン体や体内で細胞が分解される際に生じる老廃物で、通常は腎臓を通じて尿として排泄されます。
しかし尿酸の産生量が増えすぎたり、腎臓からの排泄が低下したりすると、血液中の尿酸濃度が上昇して高尿酸血症になるのです。
正常範囲は男性と女性とで少し異なりますが、いずれも7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断されます。
また、尿酸値が2.0mg/dL以下になると「低尿酸血症」と呼ばれ、原因によっては精密検査や治療が必要になることも。
尿酸値は高すぎても低すぎても問題なので、正常範囲を維持することが大切です。
痩せているのに尿酸値が高いのはなぜ?主な原因
痩せているのに尿酸値が高い主な原因は、以下の通りです。

痩せ型の人の尿酸値が高くなってしまう原因は複数あり、まずは自分に当てはまる原因を知ることが改善の第一歩になります。
以下ではそれぞれの理由を詳しく解説するので、確認してみてください。
エネルギー不足による筋肉分解
痩せているのに尿酸値が高くなる理由のひとつが、エネルギー不足による筋肉の分解です。
断食や極端な糖質制限を行うと、体は不足したエネルギーを補うために筋肉を分解し、アミノ酸やプリン体を作り出します。
このときプリン体の代謝が増えることで、結果として尿酸値が上昇してしまうのです。
近年は糖質制限ダイエットが広まり、こうした理由で尿酸値が高くなるケースも報告されています(※)。
※出典:低炭水化物ダイエットで痛風リスク上昇 – スポーツ栄養 Web
尿酸値が高いと指摘された場合、必要以上にカロリーを制限することが逆に尿酸値を上げることもあるため、適切にエネルギーを摂取することが大切です。
水分摂取量が少なく、尿酸が排出されない
痩せ型なのに尿酸値が高くなる原因として、水分摂取量の不足があげられます。
これは、水分が足りないと尿量が減り、尿酸が体内にとどまりやすくなるためです。
尿酸の排出経路の約60〜70%は腎臓(尿)によるものとされており、十分な水分を取ることは尿量を確保し、尿酸を体外に排出しやすくするためにも重要といえます。
ただし、コーヒーや緑茶などのカフェイン成分が入ったものは利尿作用が強いため、「水分を取っているつもりなのに足りない」状態になってしまう場合も。
水分を摂取する際には、水や麦茶・ルイボスティーなど、ノンカフェインの飲み物を選ぶのがおすすめです。
過度なダイエットによる食生活の偏り
痩せているのに尿酸値が高くなる原因には、過度なダイエットによる食生活の偏りもあります。
とくに糖質を極端に控えるダイエットでは、肉や魚に偏った食事になりやすく、結果としてプリン体の摂取量が増えてしまうことも。
尿酸値が高くなりやすい食べ物は、以下の通りです。
- 内臓類:レバー・白子・あん肝・モツ類(高プリン体)
- 魚介類:干しイワシ・煮干し・白子・あん肝・カツオ・エビ・サンマなど
- 肉類:赤身肉(牛・豚・鶏など)や魚肉
- 魚卵:いくら・たらこなど
- 清涼飲料水:果糖ブドウ糖液糖・フルクトースを含むジュース類
- 甘い菓子類:砂糖や果糖ブドウ糖液糖を多く含むもの
- アルコール:ビールはプリン体が多く、焼酎やワインでもアルコール自体が尿酸排泄を妨げる
肉や魚は一般的に健康的な食品とされていますが、種類や部位によってプリン体量が大きく異なります。
偏った摂り方をすると、尿酸値が上昇しやすくなるため注意が必要です。
また、清涼飲料水に含まれる果糖(フルクトース)は尿酸の産生を直接促すことが知られており、高尿酸値の人は控えることが推奨されます。
エナジードリンクやビールなどの飲み過ぎも尿酸値の上昇につながる可能性があるため、飲み物の選び方にも気をつけましょう。
過度なストレス・睡眠不足
過度なストレスや睡眠不足も、痩せているのに尿酸値が上がる原因になることがあるため注意が必要です。
人は強いストレスを感じると交感神経が優位になって緊張状態になり、体内では乳酸などの代謝産物が増え、腎臓での尿酸排泄が妨げられます。
その結果、尿酸の再吸収が増えることで尿酸値が上昇しやすくなる場合があるのです。
また、夜型の生活リズムやカフェイン飲料の多飲は、睡眠の質低下や代謝バランスの乱れにつながり、結果として尿酸値を上げる一因になることがあります。
尿酸値が高いと指摘された場合は、まず生活リズムやストレス状況を見直すことも大切です。
体質や遺伝による尿酸排泄機能の低下
体質や遺伝によって尿酸の排泄機能が低いことも、痩せているのに尿酸の上昇を招く要因です。
家族に痛風の経験者がいる場合、そうでない人より痛風を発症するリスクが30〜70%高いと言われています。
これは、尿酸の代謝や排泄に関わる遺伝的な要因が影響するほか、家族間で食事・生活習慣が似やすいことが原因です。
また、生まれ持った体質によって腎臓の排泄能力が低い場合、体型に関係なく尿酸が溜まりやすいことがあります。
家族に痛風の方がいる場合は、生活習慣に注意しながら、定期的に尿酸値をチェックするのがおすすめです。
痩せているのに尿酸値が高い人の特徴
痩せているのに尿酸値が高い人の特徴は、以下の通りです。
- 在宅ワーク中心で運動量が少ない
- 1日2食・コーヒーが中心で、水分が不足しがち
- タンパク質過多・糖質制限をしすぎている
在宅ワークが多く運動量が少ないと筋肉量が減りやすく、インスリンの働きが悪くなることで、尿酸が排泄されにくい体質になってしまう場合があります。
また1日2食やコーヒー中心・水分が少ない生活を送っている場合も、利尿作用によって水分が不足し、尿量が減って尿酸が排出されにくくなることも。
さらに、タンパク質に偏った食事や過度な糖質制限も、プリン体や代謝バランスの影響で尿酸値を上げる要因になるため注意が必要です。
糖質制限は健康法として人気ですが、やり方によっては逆効果になる場合があることは覚えておきましょう。
尿酸値が高いとどうなる?放置すると起こるリスク
高尿酸値を放置すると起こるとされるリスクは、以下の通りです。

痩せていると特に尿酸値が高いことがわかりにくく、知らないまま高尿酸値を放置してしまう可能性もあるかもしれません。
高い尿酸値を放置すると起こる可能性のあるリスクを、以下で詳しく解説します。
痛風発作(関節の激痛)が起こる
高尿酸値を放置すると、痛風発作(関節の激痛)が起こる可能性があります。
痛風発作は尿酸結晶が関節にたまり炎症を起こすもので、「痛風」という名前の通り、「風が吹いても痛い」ような激痛となる場合が多いです。
発作が起こるのは夜間や明け方に多く、理由は以下のものがあります。
- 脱水による尿酸値の濃度上昇
- 体温の低下
- 副腎皮質ホルモンの分泌減少
発作のピークは24時間以内で、通常は数日から1週間ほどで自然に良くなりますが、繰り返し発作が起こる可能性があるため注意が必要です。
腎障害・尿路結石・心血管疾患のリスク
高尿酸値を放置することで、腎障害・尿路結石・心血管疾患のリスクが高まる場合があります。
尿酸値が高い状態が続くと、尿酸塩が腎臓に沈着して炎症を起こし、腎機能が低下しやすくなるのです。
また、高尿酸血症は血管内皮に酸化ストレスを与え、血管の働きを弱めることが指摘されており、動脈硬化や心疾患のリスク因子とされています。
痛風だけでなく、全身のリスクにつながる可能性があるため、尿酸値が高いと指摘された場合は早めの対策が重要です。
慢性的な疲労や免疫低下にも影響
高い尿酸値を放置することは、慢性的な疲労や免疫低下にも影響する場合があります。
高尿酸血症は体内の酸化ストレスを高めることがあり、これが細胞の老化を促進する一因になるためです。
細胞の老化や酸化ストレスの増加は血管機能の低下や炎症反応を引き起こし、動脈硬化や腎機能の低下などの臓器障害のリスクを高めることも報告されています。
尿酸値が高いと指摘された場合は、疲れやすさや睡眠の質など、体の変化にも注意を払うことが大切です。
尿酸値を下げるためにできる生活改善法
尿酸値を下げるためにできる生活改善法は、以下の通りです。

尿酸値を下げるためには、生活習慣の見直しが大切になります。
以下でどのような生活改善法が有効なのかを具体的に解説するので、まずは確認してみてください。
水をこまめに飲む
尿酸値を下げるためには、水をこまめに飲むことが大切です。
成人の総水分摂取量の推奨値は、1日約2.3〜2.5L(食事由来も含む) とされています(※)。
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
そのうち、飲み物として摂りたい量は約1.2〜1.5L程度 が目安です。
水分摂取は、尿量を増やすことで尿酸の排泄を促し、高尿酸血症の改善にも役立つとされています。
一度に多量を飲むのではなく、コップ1杯を数回に分けて飲むと無理なく続けられるでしょう。
バランスの良い食生活を送る
尿酸値を下げるためには、バランスの良い食生活を送ることが大切です。
プリン体は尿酸値を上げるリスクがありますが、それだけを気にするのではなく、「代謝を整える」食事を意識しましょう。
具体的には、炭水化物・タンパク質・脂質・野菜をバランスよく摂ることが大切です。
また、果糖は尿酸値を直接上昇させることが知られており、清涼飲料水やエナジードリンク・果糖ブドウ糖液糖を含む飲み物は控えるのが望ましいです。
適度な有酸素運動を継続する
尿酸値を下げるには、適度な有酸素運動を継続することも有効です。
ウォーキングや軽いジョギングなど、日々無理なく続けられるものが良いでしょう。
ただし、激しすぎる運動は乳酸が増えて尿酸排泄が妨げられ、かえって尿酸を増やすことがあるため、注意が必要です。
睡眠を整え、ストレスを減らした生活をする
睡眠を整え、ストレスを減らした生活をすることも、尿酸値を下げるためには有効です。
睡眠不足やストレスが蓄積すると、交感神経が優位になって尿酸値が上がりやすくなります。
そのため、交感神経を抑える入浴やストレッチなどのリラックス習慣を取り入れると良いでしょう。
また就寝前の飲食は睡眠の質にも影響するため、就寝の2~3時間前までに食事を済ませておくことも大切です。
それでも改善しない場合は医師の治療を検討する
これまで紹介してきた生活改善法でも尿酸値が改善しない場合は、医師への相談を検討しましょう。
日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインでは、尿酸値が8mg/dL以上の場合は薬物療法が検討されることがあるとされています(※)。
※出典:日本痛風・尿酸核酸学会
独自の民間療法や過剰な食事制限は逆効果になりやすいため、医療機関で適切な治療を受けることが重要です。
エミシアクリニックのオンライン診療は、通院不要で、LINEで医師の診察や薬の処方が受けられます。
処方された薬は自宅に届けられるため、近くに通える病院がない・忙しくて病院に行けない場合にも便利です。
医師による生活指導も受けられるため、どこから改善すれば良いか迷っているなら、まずはオンライン診療で相談してみましょう。
痩せているのに尿酸値が高いことに関するよくある質問
痩せているのに尿酸値が高いことに関するよくある質問は、以下の通りです。
痩せているのに尿酸値が高い場合、「なぜなのか?」と疑問に思うことも多いでしょう。
以下でよくある質問とその回答を紹介していくので、ぜひ確認して疑問を解消してください。
男性・女性で尿酸値が高い原因は異なる?
男性と女性では性ホルモンの違いがあるため、尿酸値が高い原因が異なる場合があります。
具体的な性ホルモンの違いは、以下の通りです。
- 男性ホルモン:尿酸の生成を促進する
- 女性ホルモン:尿酸の排泄を促進する働きがある
男性の場合、もともと尿酸値が高くなりやすいため、生活習慣やストレスなどの原因が加わると高尿酸血症となる場合があります。
女性の場合はホルモンが尿酸の排泄を促進してくれますが、更年期などでホルモンバランスが変化することにより高尿酸値症となることも。
どちらもホルモンが関係しているという点では共通しています。
女性でも痩せ型なのに痛風になることはある?
女性でも、痩せ型なのに痛風になることはあります。
女性ホルモンは尿酸の排泄を促してくれますが、それが減少する閉経期以降に発症しやすくなるケースが多いです。
ホルモンバランスの変化に加え、遺伝的な要因や極端なダイエット・腎臓の病気などが要因となる場合もあります。
体重が減ると尿酸値は上昇する?
急激な体重減少の場合、一時的に尿酸値が上昇することがあります。
そのため、高尿酸血症の方の場合は、無理なダイエットは控えたほうが良いでしょう。
ただし、適切なペース(月1kg以内)でのダイエットであれば、長期的には尿酸値は低下します。
尿酸値改善のためのダイエットを行う際には、断食などの極端に体重が減る方法には気をつけましょう。
お酒を飲まないのに尿酸値が高いのはなぜ?
尿酸値が高くなる原因には以下のものがあり、決してアルコールだけではありません。
- 遺伝的体質
- 過度なダイエット
- 強いストレス
- 激しい運動
- 特定の薬の使用
とくに糖質制限で肉・魚を多く摂取している方やプロテインを大量に飲んでいる方は、お酒を飲まなくても尿酸値が上がる可能性があります。
お酒を飲まないのに尿酸値が高いと指摘された場合は、上記の原因を確認してみてください。
痩せていても痛風になることはある!早めの対策を行おう
痩せていても、以下の原因で尿酸値があがり、痛風になる場合があります。
- エネルギーが不足している
- 水分摂取量が少ない
- 過度なダイエット
- 過度なストレス・睡眠不足
- 体質や遺伝
上記に心当たりがある場合は、本記事で紹介したことを確認し、改善に取り組んでみてください。
また高尿酸値を放置すると痛風発作が起こったり、さまざまな病気の原因にもなるため、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。
エミシアクリニックのオンライン診療は、24時間LINEで受付を行っており、自宅からスマホで医師の診察が受けられます。
また必要に応じて薬の処方や生活改善の指導も行っているため、尿酸値が気になる場合は受診を検討してみてください。


