ピルは避妊効果に期待できるため、多くの女性に利用されています。
しかし、低用量ピルを服用中でも妊娠する可能性はゼロではありません。
正しく服用すれば妊娠を防げる可能性はあるものの、飲み忘れや体質・薬の相互作用などが原因で避妊効果が低下する場合もあります。
本記事ではピル服用中に妊娠する確率や妊娠に至る理由を詳しく解説するため、自分の身体を守るための参考にしてください。
【本記事で分かること】
最後まで読めば、低用量ピルの仕組みや妊娠した場合の初期症状を確認できます。
低用量ピルを服用中の方や服用を検討している方は最後までお読みいただき、必要な場合は医療機関を受診しましょう。
この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
低用量ピル服用中の妊娠確率は0.3%
低用量ピルを正しく服用している場合の妊娠確率は0.3%となります。※参照:日本産婦人科学会
低用量ピルは、服用によりホルモンを調整して排卵を抑制する仕組みです。
低用量ピルには「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンが含まれています。
低用量ピルは排卵を防ぐだけでなく、子宮内膜を薄くし精子が子宮内に到達するのを妨ぐ薬です。
正しい使用方法に従えば妊娠のリスクは低くなるため、気になる方は服用を検討してください。
しかし繰り返しになりますが、低用量ピルの避妊効果は100%ではないことを理解しておきましょう。
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>>ピルとは?避妊・生理トラブル改善の効果や副作用・安全性について解説
低用量ピルの妊娠確率は他の方法より低め
低用量ピルの妊娠確率は、他の避妊方法と比較しても低い傾向にあります。
避妊方法 | 理想的な使用※1 | 一般的な使用※2 |
ピル | 0.3% | 8% |
コンドーム | 2% | 15% |
ペッサリー※3 | 6% | 16% |
リズム法※4 | 1~9% | 25% |
避妊せず | 85% | 85% |
※1:この避妊方法を正しく続けて使用した場合
※2:飲み忘れを含め一般的に使用している場合
※3:精子が入ってこないようにする天然ゴム製の蓋のようなもの
※4:月経周期に合わせて妊娠しやすい日としにくい日を予測する方法
例えば、コンドームの一般的な使用による妊娠確率は2%と言われています。
上記の表はピルに高い避妊効果があることを示していますが、毎日一定の時間に確実に服用することが重要です。
妊娠を完全に防ぐことはできませんが、避妊を望むならピルの服用をおすすめします。
低用量ピル服用中でも妊娠する理由
低用量ピル服用中でも妊娠する理由として、下記の5つが考えられます。
ピルは毎日同じ時間に飲むことが重要であり、服用を忘れると体内のホルモンバランスが崩れて避妊効果も低下します。
また医療機関で処方されたピル以外は、品質や成分が不安定で正しい避妊効果が得られない可能性があるので注意しましょう。
ピルを飲み忘れた
ピルを飲み忘れると、妊娠のリスクが大幅に上昇します。
低用量ピルの避妊効果は、毎日決まった時間に服用することで発揮されるためです。
飲み忘れた場合はホルモンバランスが崩れ、排卵が再開する可能性が高まります。
1日飲み忘れた場合は、服用時刻によって対応が異なるので注意しましょう。
服用時刻前に気が付いた | すぐに飲み忘れた1錠服用 |
服用時刻後に気が付いた | 前日分と合わせて2錠服用 |
また2日以上飲み忘れた場合は、気が付いたのが何週目かにより対応が異なります。
第1週目 | 性行為をした場合はアフターピルを服用 |
第2週目 | 飲み忘れる直前7日間連続で服用できていれば、アフターピルの服用は必要ない |
第3週目 | ・飲み忘れる直前7日間連続で服用できていれば、アフターピルの服用は必要ない ・休薬期間を作らすに次のシートを服用 |
3日以上飲み忘れた場合は恐らく生理が来ているため、服用を中止し別の避妊方法を併用してください。
下痢や嘔吐をした
ピル服用後、2時間以内に嘔吐や重度の下痢があった場合は効果が減少します。
低用量ピルは服用後、腸で吸収され体内で作用する仕組みです。
しかし下痢や嘔吐があると、消化器官で吸収される前に体外へ排出されている可能性があります。
その場合は下記のような対処法が良いでしょう。
- すぐに追加のピルを服用する
- コンドームなどの他の避妊方法を併用する
- 医師に相談する
ピルを確実に体内で吸収させるために、服用後は体調管理にも気を配る必要があります。
効果が出る前に性行為をした
低用量ピルの効果が出る前に性行為をすると妊娠のリスクが高まります。
低用量ピルの避妊効果が発揮されるには、服用開始から最低でも7日間かかるためです。
※効果を感じられるまでの期間には個人差があります
ピルを新しく始めた・飲み忘れ後に再開した場合は、コンドームなどの避妊手段を併用しましょう。
低用量ピルの効果が安定するまでは油断は禁物です。
個人輸入のピルを服用した
個人輸入の低用量ピルを服用すると、避妊効果が十分に得られない場合があります。
品質や成分の管理が不十分だったり、効果や安全性が保障されていない場合があったりするためです。
特に海外で販売されているピルは、成分の配合が日本国内で承認されていないものや、適切な保存状態が保たれていない場合があります。
※参考:関東連合産婦人科学会
これらの製品は見た目やパッケージが本物と見分けがつかないことが多いです。
場合によっては、下記のような副作用を引き起こすリスクもあるので注意しましょう。
- 避妊効果がない
- 毒性の強い水銀が含まれているやカドミウムが含まれている
- 吐き気
- 不正出血
※参照:厚生労働省
安全に避妊するには、信頼できる医療機関で処方されたピルを使用することが重要です。
他の薬との組み合わせが悪かった
一部の薬は、ピルの避妊効果を減少させることがあります。
【一例】
- 一部の抗生物質
- 抗てんかん薬
- 抗ウイルス薬
- 抗真菌薬
これらと低用量ピルを併用すると、ピルに含まれるホルモンの代謝や吸収に影響を与え、効果が減弱するとされています。
現在使用している薬がある場合は事前に医師と相談し、相互作用について確認しておきましょう。
低用量ピル服用中に妊娠した?初期症状をチェック
低用量ピルを服用中であっても、妊娠することはあります。
少しでも妊娠の疑いがある方は、下記のような妊娠初期症状があるかどうかで判断しましょう。
- 胸の張りや痛み
- 疲労感や倦怠感
- 頻尿
- 吐き気や嘔吐
- 月経が遅れる
症状が見られる場合は妊娠している可能性があるため、必要に応じて医師の診断を受けてください。
また症状に気が付いたのがすぐなら、アフターピルを服用する手段もあります。
アフターピルは緊急避妊薬として用いられ、性行為後から服用までが短い(72時間~120時間)ほど避妊率が高まる薬です。
エミシアクリニックでは、最短1時間でお届けしております。
低用量ピルの服用をやめた後は妊娠確率に影響しない
低用量ピルの服用を中止した後は、妊娠確率に影響しません。
ピルを止めた後はすぐに排卵が再開するため、妊娠することも可能です。
多くの女性は服用を止めてから数か月以内に通常の月経周期が戻ります。
生理痛軽減のためにピルを長期間服用していた場合でも、将来的な妊娠に悪影響を与えることはありません。
一時的にホルモンバランスを調整するだけであり、長期使用後も健康な妊娠が可能です。
避妊効果を得るために低用量ピルを正しい方法で服用しよう
低用量ピルは正しく服用することで99%以上の避妊効果を発揮しますが、完全に妊娠を防ぐわけではありません。
飲み忘れや下痢・嘔吐・他の薬との相互作用など、いくつかの要因によって効果が低下し、妊娠する場合もあります。
低用量ピルを使用して望まぬ妊娠を避けるなら、正しい方法で服用することが重要です。
またもし妊娠の初期症状に当てはまる症状がある方は、早めに妊娠検査薬を使用し、必要に応じて医師に相談しましょう。