「EDを改善したいけど、放っておいても自然に治るのかな?」
「治すにはどんな方法がよいのだろう?」
ED(勃起不全)はデリケートな問題であるため、なかなか他人に相談できず一人で抱えこんでしまう場合も多いです。
自力でEDを治すことは可能で治療薬を使えばより早く改善できる場合もありますが、適切な方法で治療しないと症状を悪化させてしまうケースも。
- ED治療薬を使用する
- ストレスを解消する
- 運動不足を解消する
- 食生活を見直す
- 禁煙する
- サプリメントを利用する
- 原因となる薬を中止する
そこで本記事ではEDが治るきっかけやEDになる原因を解説します。
おすすめの治療薬も紹介するので、自分に合った効率的なEDの治療方法を見つけられるでしょう。
EDに悩んでいる人はぜひ最後まで読んでみてください。
EDが治ったきっかけは?治し方7選
EDの治し方には、主に以下の7つがあります。
それぞれ詳しく解説していくので、ED治療の参考にしてください。
ED治療薬を使用する
EDをできるだけ早く治したければ、ED治療薬の使用がおすすめです。
ED治療薬は陰茎海綿体の血管をひろげて血流を改善し、性的興奮時に勃起しやすくなる効果が期待できます。
ただし薬を使えば必ず勃起できるわけではない点と、狭心症など心臓の持病がある人は使えない可能性がある点は知っておきましょう。
※参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P45_6-2-1)シルデナフィル(バイアグラ)」
もしED治療薬を使いたいと考えている場合は、まずは使用前に病院を受診し医師に相談してください。
ストレスを解消する
EDの原因が心因性(しんいんせい)のときは、ストレスを解消することで症状が改善する可能性があります。
心因性EDは体が緊張した状態であるため、リラックスして副交感神経を優位にすれば勃起しやすくなるでしょう。
中枢への性的な信号(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・想像)や陰部への触覚などが刺激と
なり、仙髄にある勃起中枢(S2-4)が興奮し、副交感神経である骨盤神経を介して陰茎
海綿体の血管及び海綿体洞の平滑筋を弛緩させる。これらの平滑筋が弛緩すると海綿体
洞に多量の血液が流入し、海綿体内の圧が上昇し、拡張した海綿体洞は白膜との間にあ
る白膜下静脈が圧迫され、血液の流出が妨げられる(静脈閉鎖機構)。その結果、海綿
体内圧は収縮期血圧近くまで上昇し、勃起が完成する。引用:厚生労働省「参考Ⅲ 勃起障害のメカニズムと病態生理等 P134」
また性行為に対するプレッシャーでEDになる人は、事情をパートナーに伝えるだけで不安がやわらぎ症状が改善する場合も。
日常生活のストレス解消を目的に、運動やレジャーの時間をとることもおすすめです。
運動不足を解消する
ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動による運動不足の解消は、EDの改善に効果があります。
(参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P60_7-CQ3)ED患者の生活習慣への介入は勃起機能改善に有効か?」)
特に、週に一定時間以上の運動を継続すると効果的です。
運動別では,週に2.5時間以上のランニングはEDの相対リスクを対照群に比較して30% 低下させた。
引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P13_4-3)肥満と運動不足」
効果を実感するにはある程度の時間がかかるため、運動はなるべく毎日継続しましょう。
食生活を見直す
がんや心臓病・脳卒中などの生活習慣病によって引きおこされる器質性EDを治療するには、食生活の見直しが重要です。
塩分や脂質の摂りすぎは動脈硬化を招き、血流の悪化によりEDを引きおこしてしまうので暴飲暴食やジャンクフードはなるべく避け血圧やコレステロールの数値に気を配りましょう。
EDの原因である糖尿病や高血圧を患っている人は、これらの治療がEDの改善につながることもあります。
高血圧で41.6%、糖尿病で42%、高脂血症で20%の患者さんがEDであったというデータもあります。
引用:日本泌尿器科学会「勃起力(ぼっきりょく)が低下した」
禁煙する
喫煙は勃起機能に悪影響を与えるとされているため、EDを改善したければ禁煙することも1つの方法です。
たばこを吸うと血管が狭くなり陰茎への血流が悪くなってしまい、勃起しにくくなるケースもあります。
喫煙が勃起機能に与える悪影響の機序に関しては,血管内皮障害,陰茎への血流
障害,交感神経刺激などが考えられている。引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版 P15 4-5)喫煙」
EDを改善したい人は、いますぐ禁煙の検討もしてみてください。
サプリメントを利用する
性欲が不足してEDになる人は、亜鉛やマカなどのサプリメントで栄養バランスを整えることもおすすめです。
サプリメントには、治療薬と比べて副作用が少ないというメリットがあります。
ただしEDの原因が精神的ストレスによる場合はサプリメントだけで症状の改善はできないため、原因がわからないときは無理に自力で治そうとせず専門医に相談するといいでしょう。
原因となる薬を中止する
薬剤性EDは原因となる薬を中止すれば、症状の改善が期待できることもあります。
特に器質性EDが少ない20代の人は、薬を止めることでEDが治る可能性が大きいでしょう。
例えば一部の抗うつ薬では6~7割の人にEDの副作用が報告されています。
抗うつ薬による性機能障害を調査したメタアナリシスのEDの発生率をみると、セロトニン再取り込み阻害薬(serotonin reuptake inhibitor:SRI)であるパロキセチンで64.51%、同じくセルトラリンで67.05%、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor:SNRI)であるベンラファキシン
で75%と報告されている。引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P20_4-11-2)抗うつ薬」
ただし、高血圧等の治療を行っている場合は、降圧剤の服薬中止により血圧の数値が悪化してしまう恐れもあります。
※参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版 P66 7-CQ7)薬剤性EDを疑う症例に対して、原因薬剤の変更・中止をすべきか?」
EDを改善したいからといま飲んでいる薬を自己判断で中止せず、必ず処方医に相談してから止めるかどうかを決めてください。
EDになる原因
EDになる原因は大きくわけると次の4つです。
原因によってそれぞれ治療法が異なるため、違いを理解して正しい対処法を実践しましょう。
心因性ED
心因性EDとは、ストレスや性行為がうまくいかなかったときのトラウマにより引きおこされるEDです。
うつ症状を抱えている人は、EDを発症しやすいというデータもあります。
米国での1,410名の男性をインタビューした研究によると、情緒的な問題やストレスのED罹患に対するオッズ比は3.56と有意であった。
MMASのデータをうつ症状に絞って検討した疫学調査によると、40~70歳の265名の地域住民を自己記入式の Center for Epidemiological Studies-Depression(CES-D)で調査したところ、うつ症状によるED発生のオッズ比は1.82と強い相関があった。引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P18_4-10)心理的および精神疾患的要素」
心因性EDは老化や身体の異常が原因ではないため20代の人が発症する場合も。
日常生活でのストレスのほか、失恋やコンプレックス・パートナーとの関係悪化など原因はさまざまです。
器質性ED
生活習慣病などが原因で、血管や神経が障害されて起こるものを器質性EDといいます。
器質性EDは病気になりがちな50~60代の人に多く、主に以下の習慣や疾患が関連しています。
(参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P10_4)EDのリスクファクター」)
- 肥満や運動不足
- 喫煙
- 糖尿病
- 高血圧
- 脳卒中
- 慢性腎臓病
- パーキンソン病
上記により血流が悪くなり神経がうまく機能しないと性的興奮が陰茎に伝わらず、性交時に十分な勃起ができません。
器質性EDの改善には、その原因となる疾患の治療が必要です。
混合性ED
混合性EDはその名のとおり、心因性と器質性の両方が原因のEDです。
仕事のストレスが多く、高血圧などの不調が現れやすい40~50代の男性に多く発症します。
また混合性はED症例の中でもっとも多いことも特徴の一つ。
EAUのガイドラインでは、病因から3つに分類され、器質性(organic)、心因性(psychogenic)、混合性(mixed)である。ただし、ほとんどの症例で病因が混合していることが多いことに注意すべきである。
引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P6_2)EDの分類」
混合性EDは複数の原因が重なっているため、自力で改善するのは難しいといえるでしょう。
薬剤性ED
薬剤性EDは、継続して使用している薬の副作用が原因で起こるEDです。
高血圧の治療薬などは、その副作用により男性の性機能を低下させる可能性があります。
薬剤別では,利尿薬,β遮断薬,Ca 拮抗薬※は勃起機能への悪影響を示唆する報告が多く,α遮断薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に関しては影響がなく,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に関しては,保護的に働くという報告が多いようである。
引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P20_4-11-1)降圧薬」、※降圧薬(高血圧に対するお薬)名古屋徳洲会総合病院
薬剤性EDは原因となる薬を中止すれば改善しますが、薬の服用を止めた後もED症状が続くケースもあり注意が必要です。
ED改善におすすめの治療薬
ED治療におすすめの治療薬は次の3つです。
治療薬 | 成分 | 効果が出はじめる時間 |
バイアグラ | シルデナフィル | 30分~1時間 |
レビトラ | バルデナフィル | 30分 |
シアリス | タダラフィル | 30分 |
(参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P45_6-2)薬物療法」
それぞれの費用やメリットを解説していくので、ぜひED治療に役立ててください。
バイアグラ
バイアグラは1998年にファイザーが発売した世界初のED治療薬であり、血管をひろげ陰茎への血流をよくすることでEDを改善する作用があります。
※参考:厚生労働省「米国ファイザー社のバイアグラ(Viagra)に関するドクターレター」
30分~1時間ですぐに効果が現れることが特徴で、性行為の1時間前に飲むと適切です。
バイアグラの安全性は臨床試験でチェックされていますが、頭痛やほてりの副作用には注意が必要です。
また食事の影響を受けやすいので、食後2時間以上経過してから服用しましょう。
レビトラ
レビトラはバイアグラと同じく30分~1時間程度で効果が現れるほか、比較的食事の影響を受けにくいというメリットもあります。
ただし肉類などの脂肪を多く含む食品をとったあとは、効果に影響する可能性があるので注意が必要。
2021年に販売元のバイエルがレビトラの製造販売を中止すると発表しており、現在はジェネリックしか入手できません。
もしレビトラの使用を考えているのであれば、ジェネリックを処方してもらいましょう。
シアリス
シアリスは他剤と比べて、効果の持続時間が36時間と長いことが特徴です。
内服後30分から効果を発揮し、36時間持続する。この長時間持続する効果が、この薬剤と他2剤との大きな違いである。
引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P46_6-2-3)タダラフィル(シアリス)」
バイアグラ・レビトラよりも食事の影響を受けにくいメリットもあり、軽食であれば食後すぐに飲んでも効果が期待できます。
長い時間性機能を高めたい人は、性行為の数時間前にシアリスを使うとよいでしょう。
ED改善をする際に気になるQ&A
EDに関してよくある質問に対し、Q&A形式でお答えしていきます。
それぞれ詳しく解説するので、EDについてわからないことがあれば参考にしてください。
EDになりやすい人はどんな人?
次の特徴にあてはまる人は、EDになりやすいといえるでしょう。
- 60歳以上
- 血圧や血糖、コレステロールの数値がよくない人
- 日常生活でストレスを感じている人
- 高血圧やうつの薬を使っている人
加齢により下半身の筋肉が衰えている人や動脈硬化を患っている人はEDのリスクが高く、特に60歳以上では40%の人がEDだというデータもあります。
(参考:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P10_4-1)加齢」)
また健康診断の数値が悪いとEDになりやすいので、食生活の乱れや運動不足には注意しましょう。
EDが治る食べ物はある?
EDによいとされている食べ物は、以下のとおりです。
- 牡蠣
- レバー
- スイカ・メロン
- サバ・サンマ
など
牡蠣やレバーに含まれる亜鉛はテストステロンを作るもとであり、男性の性機能を高める効果が期待できます。
※参考:日本内分泌学会「男性の性腺機能低下症ガイドライン2022 P127 26)性腺機能低下症の症状改善に有効な食品・サプリメント」
またスイカに含まれるシトルリンやサバなどの魚に入っているDHA・EPAを摂取すれば、血流がよくなりEDを改善できる可能性も。
ED改善のためには塩分の摂りすぎや脂っこい食事を避け、上記のような食品を積極的に取りいれましょう。
EDを治療しないとどうなる?
EDを治療せず放置していると、他の病気を悪化させるおそれがあります。
EDの症状は血管が狭くなり動脈の流れが悪くなっている兆候であるため、そのままにしておくと脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクが上がります。
EDを有する者は,そうでない者に比べ,心血管イベントの補正相対リスクは1.47と有意であった。
日本で行われた3つの横断研究でも,オッズ比はそれぞれ,1.17,2.82,8.04と有意であった。引用:日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版_P14_4-4)心血管疾患および高血圧」
また心因性EDの場合は過剰なストレスにさらされている状態であり、これが続くとうつなどの精神疾患になってしまう可能性も。
勃起しづらくなり少しでもおかしいと感じたら、放置せず早めに医療機関で相談しましょう。
EDを治すには原因に合った治療が必要!難しいときは治療薬も検討しよう
本記事ではEDが治ったきっかけを7つ紹介しました。
- ED治療薬を使用する
- ストレスを解消する
- 運動不足を解消する
- 食生活を見直す
- 禁煙する
- サプリメントを利用する
- 原因となる薬を中止する
ひとことにEDと言っても、その原因はさまざまで適切な治療が必要です。
まずは日々の生活を振りかえり、EDになってしまった原因を突きとめましょう。
自力での改善が難しい場合は、医療機関で相談し治療薬を処方してもらうこともおすすめです。