不本意に膣内射精(中出し)されてしまった時の妊娠率は、24%ほどと言われています。
※排卵期以外の場合
さらに排卵日付近での膣内射精、~30%に上がるとも言われており、1回の性行為で妊娠する可能性も
※参照:広島県こども未来応援課
そこで今回は、膣内射精された際の対処法についてまとめました。
結論、意図しない膣内射精をされた際はアフターピルの服用が必要です。
ただし行為後から72時間~120時間以内に服用しないと避妊効果に期待できないため、とにかく早く処方を受けましょう。
最後までお読みいただくことで、一般的な妊娠確率や安全日と危険日の誤解について正しく理解できます。
膣内射精に関する疑問や不安を解消した上で、安心して性生活を営んでください。
この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
膣内射精(中出し)の妊娠確率は?
膣内射精(中出し)が行われた場合、避妊対策がされていない限り、妊娠する確率は非常に高いです。
特に排卵日に近い時期に精子が膣内へ放出されると、卵子との結合が起こりやすく妊娠の可能性が高まります。
一回の UPSI (無防備な性交)による妊娠のリスクは月経周期の時期によって異なり、排卵日付近では 20~30%に上昇する。
通常、月経周期が安定している女性が妊娠する可能性は約20~30%とされています。
年齢や生活習慣など個々の要因によっても変動しますが、避妊をしない場合のリスクは決して無視できるものではありません。
また精子は女性の体内で最大5日間生存するため、排卵日から少し外れたタイミングでの性行為でも妊娠の可能性があります。
※参照:日本生殖医学会
正確な避妊対策を怠らず、避妊具やピルを活用することが妊娠リスクを減らすために重要です。
性行為での一般的な妊娠確率
避妊をしない場合の性行為による妊娠確率は、特に排卵日付近が高めです。
排卵のタイミングは女性の月経周期によって異なりますが、通常は生理が始まってから約14日前後に起こります。
この排卵日付近で膣内射精が行われると、妊娠確率が約20~30%となるのです。
※参照:公益社団法人 日本産婦人科学会
精子は体内で数日間生存できるため、排卵前後のタイミングで性行為を行うと妊娠の可能性が高まります。
妊娠を望まない場合は、コンドームやピルなどの避妊を必ずしましょう。
避妊を行わない性行為は、予期せぬ妊娠以外に性病感染のリスクも高めるため、自己判断で安全日を設定するのは危険です。
特に月経周期が不規則な場合は、排卵のタイミングが予測しにくいので徹底する必要があります。
避妊具の使用や低用量ピルの定期服用は、性行為を安全に行う上で必要不可欠です。
ピル服用中の妊娠確率
低用量ピルを正しく服用した場合、膣内射精による妊娠率は0.1%です。
飲み忘れ等を含む一般的な使用においても、妊娠率は5%となっています。
※参照:厚生労働省
前提として低用量ピルは、7日間連続して服用することで排卵を妨げる効果に期待できる薬です。
ホルモン活性のあるピルを7日間連続して服用すると、正常な排卵が妨げられ、月経周期の5日目までCOCを開始すると卵胞活動が抑制されることを示唆しています。見逃されたCOCの影響に関する研究は、一般的に、ピルのない間隔が7日以上続くときに排卵のリスクが最大になることを示しました。
※引用(日本語訳):Kathryn M Curtis , Camaryn E Chrisman, Anshu P Mohllajee, Herbert B Peterson「Effective use of hormonal contraceptives: Part I: Combined oral contraceptive pills」
仮に生理5日目以降で服用を始めた場合、7日間連続で服用するまでは別の避妊方法と併用するか性行為を控えましょう。
また低用量ピルは正しく服用していても、妊娠を完全に防ぐことはできません。
緊急度が高い場合は、性行為後でも効果が期待できるアフターピルがおすすめです。
アフターピルは性行為から経過時間が短いほど効果に期待できるので、早めにご相談ください。
危険日・安全日にかかわらず中出しは妊娠の可能性がある
「安全日」や「危険日」という言葉を耳にしますが、時期に限らず中出しすれば妊娠する可能性があります。
危険日とは排卵日付近を指し、基礎体温法などを用いて排卵時期を計算する方法が一般的です。
排卵日前日〜4日前は頸管粘液(けいかんねんえき)が変化するため、妊娠しやすい時期とされています。
※頚管粘液:子宮の下部で膣につながっている腺から分泌される粘液
米国生殖医学会では自然妊娠を目指すための要点を下記のように述べている。
妊娠しやすい時期は、排卵4日前より排卵前日であり頸管粘液の状態も関係する。この時期に1〜2日おきの性交が妊娠しやすい。
※参考:日本産婦人科学会「タイミング」
どのタイミングでも妊娠の可能性はあるのでコンドームやIUBなどで避妊しましょう。
排卵期以降や生理中を「安全日」だと思っている方もいますが、基本的に安全日はありません。
そもそも排卵日の予測は難しく、ストレスや体調によって変化するため確実な予測は困難です。
絶対に妊娠しないと言える日はありませんので、必ず避妊してください。
中出しされた時の緊急避妊法
行為後の対処法として、アフターピルや子宮内避妊器具があります。
それぞれの緊急避妊法の特徴は以下です。
避妊方法 | 特徴 |
アフターピル | 避妊失敗から72時間以内に 服用する緊急避妊薬 (薬剤によっては120時間) |
子宮内避妊器具 | 避妊失敗から120時間以内に 子宮内に装着する避妊具 |
後述しますが、シャワー洗浄に避妊の効果はありません。
また子宮内避妊器具の場合は、病院で医師による装着が必要です。
子宮内に装着する避妊具なので、出産経験のある方に向いている避妊方法と言えます。
いずれにしろ、避妊に失敗したときは速やかに対処することが大切です。
アフターピルの服用
アフターピルは、避妊失敗から72時間以内または120時間以内に服用する薬です。
性行為後、時間以内に服用することで、以下の妊娠阻止率に期待できます。
- 48時間以内:84%
- 72時間以内:58%
薬に含まれるホルモンの作用により、排卵を遅らせたり阻止する効果に期待できるためです。
※参照:愛知県薬剤師会
服用のタイミングが早ければ早いほど、効果が高いとされています。
ただしアフターピルは医療用医薬品であり医師による処方が必要なため、服用したい場合は医療機関を受診しましょう。
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銅付加IUDの装着
銅付加IUD(子宮内避妊具)は、性行為後5日以内に装着することで避妊効果に期待できます。
精子の活動を妨げ、受精卵が子宮内に着床するのを防ぐ仕組みです。
5年有効ですが、約30,000円~50,000円ほどの費用がかかり、月経量が増える場合もあります。
※参照:公益社団法人 日本産婦人科学会
長期的な避妊手段としても使用できるため、妊娠を避けたい場合に良いでしょう。
女性自身が日常的に避妊方法を気にせずに生活できるので有益な選択肢です。
ただしIUDの装着は医療機関での手続きが必要なため、医師の指導の下で正しく使用しましょう。
アフターピル服用後の避妊効果や避妊法は?
アフターピルは緊急避妊法として非常に効果的ですが、効果は一時的です。
服用後避妊効果が持続するわけではないため、性行為では下記のような避妊法を行いましょう。
- コンドーム
- 低用量ピル
- IUD(子宮内避妊具)
アフターピルは、すでに受精が起きている場合には効果がありません。
服用しても性病を防ぐ効果はないため、コンドームの使用を併用することが推奨されます。
また副作用として吐き気や不正出血を伴うことがあり、頻繁に使用するのは避けるべきです。
長期的に避妊を考えるなら、低用量ピルやIUD(子宮内避妊具)などの定期的な避妊方法を推奨します。
日常的に確実な避妊を行うことで、アフターピルに頼らずに計画的な性生活を送ることが可能です。
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誤った避妊法による妊娠のリスク
避妊や行為後の緊急避妊方法を誤ると、避妊に失敗してしまう可能性があります。
これらの方法は妊娠確率を完全になくすことはできません。
少しでも不安な方は早めにアフターピルを服用したり、日頃から低用量ピルを服用したりしましょう。
避妊失敗後の緊急避妊方法を誤ると、対処が遅れてしまいます。
自己判断やネットの情報を鵜吞みにせず、アフターピルの服用など正しい処置を取りましょう。
膣外射精(外出し)
膣外射精による妊娠率は、22%と言われています。
※前提として、膣外射精(外出し)は正しい避妊法とは言えません。
男性器から分泌されるカウパー腺液には精子が含まれている可能性があり、膣外射精であったとしても膣内に精子が侵入する場合があります。
27人の被験者のうち11人(41%)が精子を含む尿道球腺液サンプルを生成し、これらの症例のうち10人(37%)では、精子の妥当な割合が運動性でした。
引用(日本語訳):Stephen R Killick , Christine Leary, James Trussell, Katherine A Guthrie「Sperm content of pre-ejaculatory fluid」
「外出しすれば安心」というわけではありません。
妊娠を望まないのであれば、コンドームの使用や低用量ピルの服用など適切な方法で避妊を行いましょう。
※参照:WHO「Selected practice recommendations for contraceptive use Third edition 2016」
オギノ式
オギノ式とは、月経周期を計算して行う避妊方法です。
排卵日を算出して、妊娠しやすい時期の性行為を避ける目的で行われます。
オギノ式は不妊治療におけるタイミングを計るために広まったもので、本来は避妊法ではありません。
卵子は排卵から1~2日程度で受精能力を失うため、排卵から3日目以降や排卵期以外を「安全日」とする考え方のようです。
しかし排卵日はストレスや体調次第で変動しやすく、信憑性が高い方法とはいえません。
安全日だから大丈夫とは言い切れないので注意しましょう。
膣内洗浄
膣内射精後の緊急避妊措置として膣内を洗浄しても避妊にはなりません。
精液内の精子は健康的な男性であれば平均で1~3億個も含まれており、洗浄により流し切ることは難しいでしょう。
よく耳にする「コーラ」や「酢」による膣洗浄も同様です。
避妊の有効性はないので、膣内射精された場合はアフターピルの服用など緊急避妊法を行うようにしましょう。
膣内射精に関するQ&A
性行為において膣内射精が行われた場合の妊娠リスクやその後の対処法について、よくある質問を基に解説します。
膣内射精に関連する誤解や、妊娠のリスクを減らすための正しい知識を得ることが大切です。
生理中に膣内射精しました。妊娠する可能性はありますか?
生理中の性行為でも、妊娠しないとは言い切れません。
排卵日はストレスや体調次第でずれることもあり、完全な予測は難しいです。
また精子の寿命は3~4日程度で、膣内に残った精子により受精する可能性もあります。
妊娠を望んでいない場合は必ず避妊しましょう。
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アフターピルを服用したら、中出ししても良いですか?
たとえアフターピルの服用後であっても、妊娠しないという保証はありません。
排卵が遅れることもあり、服用後の性行為が排卵日付近(妊娠しやすい時期)にあたってしまう可能性もあります。
避妊が成功しているとわかるまで、性行為は控えた方が良いでしょう。
行為中にゴムが破れてしまいました。膣内射精になりますか?
行為中にコンドームが破れていた場合、膣内射精と同じ状況になっている可能性が高いでしょう。
避妊に失敗している可能性もあるため、妊娠を望んでいない場合は婦人科へ相談・アフターピルの服用など緊急避妊を検討しましょう。
またコンドームを使用する際には、包装の傷みや穴・保存状況などを事前にしっかり確認することも大切です。
膣外射精なら妊娠しませんか?
膣外射精(外出し)は避妊方法として一般的に用いられることがありますが、妊娠を完全に防ぐことはできません。
射精前に分泌されるカウパー液には精子が含まれる可能性があり、膣外射精であっても妊娠するリスクがあるので注意が必要です。
また、射精のタイミングを完全にコントロールすることは難しく、不完全な膣外射精が妊娠につながる可能性もあります。
膣外射精を避妊方法として使用することは確実な方法ではないため、コンドームやピルなどの避妊法を併用しましょう。
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膣内射精(中出し)されて不安な方は緊急避妊薬で速やかに対処しましょう
妊娠してないかと心配し続けるのは、余計なストレスもたまりしんどいですよね。
そんな時はアフターピルを服用することで、妊娠率を下げることが可能です。
オンライン診療であれば、周りにもバレることなく対処できるので安心。
エミシアクリニックでもオンライン診療でアフターピルの処方を行なっていますので、気になる方はぜひご相談ください。