アフターピルは避妊に失敗した際に心強い薬ですが、飲み合わせが気になっている方も多いでしょう。
飲み合わせが悪く、避妊効果に影響したり、副作用が強く出てしまうのは誰でも避けたいはずです。
アフターピルは、風邪薬や抗生物質など他の薬と併用できるケースとできないケースがあります。
本記事では、アフターピルと飲み合わせが悪い薬やサプリメント・食べ物などについて徹底調査し、解説。
また、アフターピルとの飲み合わせが悪く副作用が出てしまった場合の対処法も紹介します。
アフターピルを服用しようと考えているけれど、飲み合わせが心配という方は、ぜひ記事を最後まで確認してください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
アフターピル(マドンナ・ノルレボ)には飲み合わせの悪い薬がある
アフターピル(マドンナ・ノルレボ)は避妊に失敗した場合、性行為後72時間以内に服用することで、妊娠の確率を減らす緊急避妊薬です。
避妊に失敗した際にアフターピルは心強い薬ですが、飲み合わせの悪い薬があることは覚えておきましょう。
もしも飲み合わせの悪い薬と服用してしまった場合は、副作用が強く出たり、避妊効果が減弱してしまう可能性もあります。
アフターピルは代用できる薬がないので、事前に飲み合わせについて調べておくことは大切です。
特に普段から常用している薬がある人は、併用できない飲み合わせの悪い薬をあらかじめ確認しておきましょう。
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アフターピルと併用してはいけない薬一覧
アフターピルと併用してはいけない薬を、以下にまとめました。
薬の種類 | 薬の特徴 |
抗けいれん薬 | ・脳の神経細胞の過剰な興奮を抑制・てんかんの発作を抑える |
抗生物質 | ・細菌やウイルスなどの微生物の増殖を抑える・殺菌作用がある・細菌感染症の治療に使われる |
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤 | ・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の逆転写酵素の活性を阻害する・HIVの宿主細胞への感染を抑える |
抗結核薬 | ・結核菌を殺す作用がある |
セイヨウオトギリソウ | ・オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草・欧米では抗うつ薬として使われている |
上記の薬はアフターピルとの飲み合わせが悪く、副作用が酷くなったり効果が減少したりする可能性があるので気をつけましょう。
それぞれの薬について以下でさらに詳しく解説するので、アフターピルと一緒に飲んではいけない理由についても確認してみてください。
抗けいれん薬
抗けいれん薬はアフターピルとは飲み合わせの悪い薬の1つで、主にてんかんの治療に用いられる薬です。
アフターピルと併用できない抗けいれん薬には、次の4つがあります。
- フェノバルビタール
- フェニトイン
- プリミドン
- カルバマゼピン
抗けいれん薬は酵素誘導作用によって肝臓における薬剤の分解を促進するため、一緒に飲むとアフターピルの効果が薄れてしまう可能性があります。
アフターピルの効果が薄れると、妊娠率が高まってしまう可能性があるので気をつけてください。
睡眠薬
睡眠薬の中にも、以下のようにアフターピルと併用しないほうが良いものがあります。
- バルビツール酸系
- ベンゾジアゼピン系
バルビツール酸系は脳の覚醒を抑えて眠気や鎮静作用をもたらし、ベンゾジアゼピン系は中枢神経系に作用するものです。
バルビツール酸系の睡眠薬は、安全性の問題から現在はあまり処方されていません。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、抗不安薬として処方されることもあります。
これらの睡眠薬とアフターピルを併用すると副作用が強まる可能性があるので、一緒に飲まないようにしてください。
日頃から睡眠薬を服用している場合は、アフターピルを飲む前に種類を確認しておきましょう。
抗生物質
アフターピルは抗生物質との飲み合わせが悪い場合があり、以下の薬に注意が必要です。
- テトラサイクリン系
- ペニシリン系
テトラサイクリン系の抗生物質は、細菌のたんぱく合成を阻害することで抗菌効果が期待できるもので、具体的にはドキシサイクリン・エラバサイクリンなどがあります。
ペニシリン系の抗生物質は、細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌作用が期待できるもので、具体的な薬名はアモキシシリン・ジクロキサシリンなどです。
アフターピルと抗生物質を併用すると、避妊効果が弱まる可能性があるため、処方の際に医師に確認しましょう。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
アフターピルは非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と相性が悪いとされており、効果が弱まり、副作用が強く出る可能性が指摘されています。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤は「NNRTI」と呼ばれるもので、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の逆転写酵素の活性を阻害する抗HIV薬です。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を服用している場合は、アフターピルの処方の際、必ず医師に相談しましょう。
抗結核薬
以下の一部の抗結核薬はアフターピルと飲み合わせが悪いとされており、併用には注意が必要です。
- リファブチン
- リファンピシン
上記の抗結核薬は、併用するとアフターピルの避妊効果が減弱する可能性があります。
抗結核薬を普段から服用している場合は、アフターピル処方の際に必ず医師に相談しましょう。
セイヨウオトギリソウ
アフターピルは抗うつ剤として処方されるハーブの一種「セイヨウオトギリソウ」との飲み合わせが悪いとされており、併用できません。
セイヨウオトギリソウには肝臓の薬物代謝酵素を誘導する作用があるとされ、アフターピルの効果を減少させる可能性があります。
抗うつ剤だけではなく、漢方やサプリメントにセイヨウオトギリソウが含まれている場合もあるので、必ず確認しましょう。
アフターピルと併用してはいけないサプリメント
アフターピルとサプリメントは、多くの場合併用しても問題がありません。
ただし、以下のサプリメントは、アフターピルと併用すると飲み合わせが悪いとされています。
サプリメント | 併用できない理由 |
セイヨウオトギリソウが含まれたもの | アフターピルの効果を弱めてしまう可能性がある |
プラセンタ | 病院で処方されたものは、アフターピルの効果を弱めてしまう可能性がある |
チェストベリー | アフターピルの効果を減弱させる可能性がある |
大豆イソフラボン | 過剰に摂取すると、アフターピルの効果に影響する可能性がある |
バストアップサプリ | 作用が重なり、アフターピルの効果に影響を及ぼす可能性がある |
セイヨウオトギリソウは英語名で「セント・ジョーンズ・ワート」と呼ばれ、同名のサプリメントも販売されています。
セイヨウオトギリソウを使用した食品やサプリメントには表示義務があるので、必ず成分を確認するようにしましょう。
アフターピルはほとんどのサプリメントと併用可能ですが、上記の成分が含まれたものには注意しましょう。
アフターピル服用前後に食べてはいけないもの・飲んではいけないもの

アフターピルの服用前後に食べてはいけないもの・飲んではいけないものを以下にまとめました。
食べ物・飲み物名 | 摂取してはいけない理由 |
グレープフルーツ | 成分のフラノクマリン類がアフターピルの分解を阻害して血中濃度を高め、効果が減少したり、副作用が強く出る可能性がある |
カフェイン入りの飲み物 | アフターピルの成分の吸収を阻害し、避妊効果を低下させる可能性がある |
セイヨウオトギリソウが含まれた食品 | 肝臓の薬物代謝酵素を誘導する作用があり、避妊効果を減弱させる可能性がある |
アルコール | アフターピルの副作用が強く出てしまい、嘔吐する可能性などがある |
上記の食べ物・飲み物をアフターピルの服用前後に摂取すると、避妊効果が弱まったり副作用が強く出る可能性があります。
また加工食品の場合は成分を確認し、上記のものが含まれていないかをチェックしてから摂取するようにしましょう。
アフターピルと併用可能な薬の注意点

アフターピルと併用可能な薬は以下の通りです。
上記の薬は基本的にアフターピルと併用できますが、注意点があります。
飲み方によっては避妊率を下げたり副作用が強く出る可能性もあるので、以下で解説する注意点を確認してください。
風邪薬
アフターピルと市販の風邪薬の飲み合わせは、基本的には問題となることはありません。
ただし、病院で処方された風邪薬で、アセトアミノフェンが含まれたものは注意が必要です。
アセトアミノフェンは「カロナール」とも呼ばれる解熱鎮痛剤で、風邪薬に配合されている場合もあります。
アセトアミノフェン入りの風邪薬をアフターピルと併用すると、避妊率が低くなったり、副作用が強く出る可能性も。
アフターピルの処方を受ける際に、医師に風邪薬の成分を伝えて併用できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
ロキソニン・イブなどの解熱鎮痛剤
ロキソニン・イブなどの解熱鎮痛剤は、基本的にアフターピルと併用しても問題ありません。
ただし、アセトアミノフェン(カロナール)が含まれた解熱鎮痛剤に関しては、効果の減弱や副作用が強く出る可能性もあるので、併用は控えましょう。
不安な場合は、アフターピルを処方してもらう際に、医師に確認するのがおすすめです。
花粉症などの抗アレルギー剤
アフターピルと併用してはいけない薬に、花粉症などの抗アレルギー剤は含まれていません。
もしも花粉症などで抗アレルギー剤を服用している場合は、アフターピルと併用できます。
ただし、黄体ホルモンのアレルギーがある方は、服用に注意が必要です。
アフターピルの成分には黄体ホルモンが含まれているので、黄体ホルモンアレルギーの方は服用できません。
漢方薬
防風通聖散などの漢方薬とアフターピルの飲み合わせは、基本的に問題ありません。
ただし、セイヨウオトギリソウが含まれた漢方薬はアフターピルとの飲み合わせが悪く、避妊効果が低くなる可能性があります。
セイヨウオトギリソウは全草を乾燥させ、「貫葉連翹(カンヨウレンギョウ)」という名称の漢方薬として使用されることも。
アフターピルと漢方薬を併用する際には、使用されている成分を確認しておきましょう。
低用量ピル
アフターピルは、低用量ピルとの併用が可能です。
低用量ピルは女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合した経口避妊薬で、毎日同じ時間に1錠を服用することで、99.7%の避妊効果が期待できます。
※参照:日本産婦人科学会編 OC・LEPガイドライン 2020年度版
低用量ピルを飲み忘れて性交渉を行ってしまった場合には、妊娠率を下げるためにアフターピルを一緒に服用することが可能です。
アフターピルの飲み合わせが悪く副作用が出たときの対処法
アフターピルとの飲み合わせが悪く、副作用が強く出てしまったときは、まず医師に相談しましょう。
医師に相談する際には以下の内容をまとめておくと、スムーズに対処してもらえます。
- 飲んだ薬の種類
- 飲んだ薬の量
- 薬を飲んだ日時・期間
- どんな症状が出ているか
医師に相談するには医療機関を受診するのも良いですが、夜間や早朝の場合はオンライン診察を受けるのも1つの手です。
オンライン診察ならWebで簡単に申し込みが可能で、自宅にいながら診察が受けられます。
エミシアクリニックも、LINEでの診療が24時間可能です。
アフターピルの飲み合わせが悪く副作用が辛い場合は、オンライン診察を利用しましょう。
アフターピル服用時の禁忌・注意点は?

アフターピル服用時には、以下の禁忌・注意点があります。
- 黄体ホルモン過敏症の既往歴・重篤な肝障害がある・授乳中の場合は服用しない
- 性交渉後120時間以内のなるべく早い段階で服用する
- 避妊効果は100%ではないことを理解しておく
- 次の生理が来るまでは避妊を継続する
- 嘔吐に注意する
アフターピルの効果を減弱させず、副作用を強く出さないためには、禁忌・注意点を踏まえておくことが必要です。
以下でそれぞれの禁忌・注意点について詳しく解説していくので、アフターピルの服用を考えている方は参考にしてください。
黄体ホルモン過敏症の既往歴・重篤な肝障害がある・授乳中の場合は服用しない
アフターピルの主成分は黄体ホルモンであることから、過去に黄体ホルモン過敏症の既往歴がある人は服用できません。
重篤な肝障害がある場合も、肝臓に負担がかかり、肝障害が悪化する可能性があるので服用は避けましょう。
また授乳中の場合、母乳にアフターピルの成分が移行する可能性があり、服用後24時間は授乳を控える必要があります。
性交渉後120時間以内のなるべく早い段階で服用する
アフターピルは、性交渉後のなるべく早い段階で服用する必要があります。
種類ごとの服用時間の目安は次のとおりです。
アフターピルの種類 | 服用時間 |
エラ | 120時間 |
マドンナ | 72時間以内 |
ノルレボ | 72時間以内 |
エラなら性交渉後120時間以内に服用すれば、約85%の確率で妊娠を防ぐことが可能です。
時間がたつと避妊効果が減少してしまうので、なるべく早い段階で服用しましょう。
避妊効果は100%ではないことを理解しておく
アフターピルは妊娠を防ぐための薬ですが、避妊効果は以下のように100%ではない点は理解しておきましょう。
服用時間 | 避妊効果の目安 |
性交渉後24時間以内 | 約95%以上 |
性交渉後24~48時間以内 | 約85% |
※参照:日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成 28 年度改訂版)」
上記の表でも分かるように、アフターピルは性交渉後、できるだけ早く飲む方が避妊効果は高いとされています。
ただし100%ではないので、アフターピルを服用して3週間経っても生理が来ない場合は、妊娠検査薬で妊娠の有無を確認しましょう。
次の生理が来るまでは避妊を継続する
アフターピルを飲んだ後も性交渉をすれば妊娠する可能性があるので、避妊を継続する必要があります。
服用から時間が経てば避妊効果も下がるので、性交渉を行う際には必ず避妊をするようにしましょう。
もし避妊に失敗した場合は、再度アフターピルを服用する必要があります。
嘔吐に注意する
アフターピルを服用した後は、嘔吐に注意が必要です。
アフターピルの副作用には吐き気や嘔吐などがありますが、服用後に嘔吐すると、避妊効果が減弱する可能性があります。
特に服用後2時間以内に嘔吐した場合は、再度アフターピルの服用が必要です。
嘔吐が心配な場合は、アフターピル服用時に吐き気止めを一緒に飲むようにしましょう。
アフターピルの飲み合わせに関するよくある質問と回答
アフターピルの飲み合わせに関しては、以下の疑問を持つ方が多いです。
アフターピルの処方を希望する際には、疑問に思っていることはできるだけ解消しておきましょう。
以下でそれぞれの疑問について解説するので、確認してみてください。
アフターピルの飲み合わせはいつまで注意すればいい?
アフターピルの飲み合わせは、服用後1週間程度は気をつけるようにしましょう。
効果があるとされるのはアフターピルによって異なりますが、性交渉後最大120時間までとなっています。
さらに、服用後平均5日間、最長約7日間排卵が止まるなどの影響があるので、一週間程度は飲み合わせの悪い薬の服用は控えたほうが良いでしょう。
詳しくは処方を受ける際、医師に相談するのがおすすめです。
アフターピルと併用できる吐き気止めはどこで購入できる?
アフターピルと併用できる吐き気止めは、ドラッグストアや薬局で購入できます。
嘔吐による薬の効果の減弱を防ぐため、心配なときは服用するのがおすすめです。
どの吐き気止めを選べば良いか分からない場合は、アフターピル処方の際に医師に相談しましょう。
エミシアクリニックでは、アフターピルをお届けする際に無料で吐き気止めも同梱しており、わざわざ買いに行く必要がありません。
アフターピル服用前には、飲み合わせを医師に確認しておこう!
アフターピルには飲み合わせが悪い薬やサプリメント・食べ物などがあるため、事前に医師に確認しておきましょう。
エミシアクリニックでは、24時間365日オンライン診療を受けることが可能です。
いつでもどこからでもLINEで相談でき、最速数時間〜翌日にはアフターピルを自宅までお届け。
アフターピルは性交渉後、120時間以内に服用すれば約85%の確率で避妊できるとされています。
早い段階で飲む方が避妊率も高まるので、できるだけ速やかに服用しましょう。
アフターピルの服用や飲み合わせに不安がある場合は、まずエミシアクリニックまでご連絡ください。