「コンドームの避妊率は高くないって本当?」「コンドームをしても避妊に失敗するのはなぜ?」
このようにコンドームで避妊対策をしても、妊娠への不安を感じる人は多いのではないでしょうか。
コンドームは入手しやすく一般的な避妊方法の一つですが、正しい使用ができていないばかりに妊娠に至ってしまうケースもあります。
そこでこの記事では、コンドームの避妊率や避妊失敗の理由について解説します。
正しい使用方法や装着のポイント、避妊率を高める方法がわかるためパートナーとの信頼性も高まるでしょう。
避妊に対する理解を深めて、パートナーと正しい避妊に取り組みましょう。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
コンドームでの避妊率は100%ではない
コンドームは避妊を希望する約9割の人が使用する避妊法ですが、避妊率は100%ではありません。
98%と高めではありますが、正しく使用した場合でも、ごくわずかな妊娠リスクが残ります。
避妊に失敗する理由は、使用のタイミングや使い方など、避妊方法の誤った理解によります。
「ゴムを使っていれば確実に避妊できる」と過信せず、女性も正確な避妊率を理解することが大切です。
使用時の注意点や他の避妊法との違いを把握し、確実性を高める工夫をしましょう。
※参照:J-Stage「研究論文 日本における予定外妊娠の医療経済的評価」
コンドーム(ゴム)の避妊失敗確率は2%
コンドームを正しく使用した場合の避妊失敗率はおよそ2%とされています。
これは予定外妊娠の頻度の調査からわかったもので、理想的な使用方法であった場合の1年間の避妊失敗率です。
正しく使うことが前提の避妊具であっても、完全ではないのが現実です。
また、誤った使い方で使用した場合の失敗率は18%程度まで上昇するといわれています。
性交渉を行う際は、妊娠や避妊具への正しい知識の元で避妊しなければ妊娠のリスクが高まることを認識しておきましょう。
※参照元:J-Stage「研究論文 日本における予定外妊娠の医療経済的評価」
コンドームをつけても避妊に失敗したのはなぜ?6つの事例
コンドームは正しく使えば避妊効果に期待できますが、、使用ミスによって失敗するケースも存在します。
よくある失敗事例は以下の通りです。
どのケースも避けられるミスであり、正しい知識と注意で防ぐことができます。
望まない妊娠を防ぐためにも、事前にありがちな失敗を知っておきましょう。
装着前のコンドームに精液がついていた
使用前のコンドームに精液がついていた場合、避妊効果は大きく下がります。
指や陰茎に付着した精液がコンドームの外側に触れることで、腟内に精子が入り込む可能性があるためです。
手に精液がついた状態でコンドームを装着すると、妊娠のリスクが高まります。
わずかな量でも妊娠を引き起こす可能性があるため、体液が触れないよう細心の注意が必要です。
射精直前にコンドームをつけた
コンドームを射精の直前につけると、避妊効果が損なわれることがあります。
性交中に分泌される我慢汁に微量の精子が含まれる場合もあり、避妊が間に合っていないためです。
精子は射精の前にも腟内に入り込むことがあるため、「射精の瞬間だけ避ければよい」という考えでは妊娠を防げません。
また、射精のタイミングをコントロールすることは難しいため油断は禁物です。
コンドームは性行為の最初から正しく装着することが重要です。
コンドームの裏表を間違えてつけた
コンドームの裏表を間違えて装着し、さらに裏返して再装着してしまうと避妊失敗のリスクが高まります。
薄暗い室内での性行為の場合、コンドームの裏表は判別しにくいものです。
一度陰茎に触れたコンドームの外側には、精子や分泌液が付着している可能性があります。
コンドームのつけ直しは精子が腟内に入る原因になるため、裏表を間違えた場合は、新しいものに取り替えてください。
性交中にコンドームが膣内で破れた
性交中にコンドームが破れると、避妊に失敗する恐れがあります。
主に考えられる破損の原因は以下の通りです。
- 油性物質の接触による破れ
- コンドームのサイズが合っていない
- 古く劣化したコンドームの使用
- 開封時に傷がついた
コンドームはゴム製品のため、軟膏や口紅・ハンドクリームなどに含まれる油性の素材に接触すると劣化して破れの原因になります。
サイズがあった製品を選び、使用前には有効期限や保存状態を確認しましょう。
コンドームが破れたときの妊娠確率について詳しくはこちら!
コンドームが破れたときの妊娠確率は?対処法や避妊の失敗例を紹介します
コンドームが途中で外れた
性行為中や射精後にコンドームが外れてしまうと、避妊に失敗しやすくなります。
サイズが陰茎に合っていない、または勃起が不十分な状態で装着した場合に起こりやすい現象です。
勃起前にコンドームをつけたり、根元まで装着できていなかったりすると外れやすくなります。
装着のタイミングや不注意によるものが多いため、十分に注意しましょう。
射精後に精液が漏れた
射精後にコンドームから精液が漏れた場合、腟内に精子が入り込む可能性があります。
漏れが起こるのは主に以下のようなケースです。
- 射精後、根元を押さえずに抜いた
- 精液量が多かった
- 収縮するペニスとの隙間からもれた
射精後はすみやかにペニスの根元を押さえながら丁寧に抜き、コンドーム内に精液をとどめるように外す必要があります。
コンドームを安全に取り外すまでは、精液の漏れに十分注意しましょう。
コンドームの正しい使用方法と装着のポイント
コンドームの避妊率を高めるためには、正しく装着することが欠かせません。
避妊に失敗しないための正しい装着方法は次の通りです。

- ゴムを端に寄せてゴムを傷つけないように開封する
- コンドームの裏表を確認する
- 勃起してから先端の空気をつまんで抜いて亀頭に密着させる
- 両手でゆっくりペニスの根本までかぶせる
- コンドームの根元を押さえながら膣外に抜き出す
コンドームは避妊の目的だけでなく、性感染症の予防にもなります。
そのため、コンドームは性器接触を行う前に装着するのが基本です。
避妊するには正しい行動が求められるため、初めての人は特に丁寧に確認しましょう。
コンドームの避妊率を高める使い方
コンドームを使用した性行為の避妊率を高めるには、以下のポイントを押さえることが大切です。
上記の注意を怠ると、破れやすくなったり正しく装着できなかったりするため、必ず事前に確認しておきましょう。
古いコンドームは使わない
古いコンドームは素材の劣化によって、破れやすくなり避妊の失敗につながる恐れがあります。
コンドームの使用期限はおおよそ5年程度です。
長期間保管していたコンドームで、以下のような変化が見られる場合は使用を避けましょう。
- 表面がベタついている
- 変色している
- においが変わっている
使用前には、必ず外箱や個包装に記載された期限を確認してください。
避妊の信頼性を保つには、常に新しく状態の良いコンドームを使用することが基本となります。
万が一に備えて、複数の予備を持ち歩く場合も、古くなっていないか定期的に見直しましょう。
サイズのあったコンドームを使う
最後まで正しい装着で終えるためには、ペニスに合ったサイズを選ぶことが欠かせません。
小さすぎると圧迫されて裂けやすくなり、大きすぎると抜け落ちる恐れがあります。
市販のコンドームにはサイズ展開があるため、説明書やパッケージを確認し、適切なものを選びましょう。
実際に装着してみないとフィット感はわからないため、複数のサイズを試してみるのも有効です。
サイズが合ったコンドームを使うことで、快適さも避妊の信頼性も向上させましょう。
高温多湿の場所を避けて保管する
コンドームの素材であるラテックスやポリウレタンは熱や湿気に弱いため、保管場所にも注意が必要です。
高温多湿の環境では素材が劣化し、性行為中の破れの原因になります。
例えば以下のような場所はコンドームの保管に不向きです。
- 車のダッシュボード
- 浴室や脱衣所
- 財布の中
- カバンに入れっぱなし
これらは温度や湿度の変化が大きく、劣化しやすい条件といえます。
直射日光を避けた冷暗所での保管が望ましいため、専用の箱や引き出しなどに入れておくと安心です。
避妊率を高めるならコンドームとピルの併用がおすすめ
コンドームと低用量ピルの併用で、避妊の成功率をさらに高めることに期待できます。
複数の方法を組み合わせることで、避妊と性感染症のリスクをより減らすことが可能です。
特に妊娠を強く避けたい場合、低用量ピルの併用は有効な選択肢となるでしょう。
低用量ピルはホルモン剤の働きによって排卵を抑制し、妊娠を防ぐ仕組みです。
日常的な服用が必要ですが、飲み忘れることなく継続すれば避妊効果に期待できます。
エミシアクリニックでもオンライン診療で低用量ピルの処方が可能なため、ぜひご利用ください。
ピルの効果や服用に関して詳しくはこちら
ピルとは?避妊・生理トラブル改善の効果や副作用・安全性について解説
ピル服用中の妊娠確率は?服用中でも妊娠する理由や妊娠初期症状を解説
コンドーム以外の避妊方法と避妊率
避妊方法にはコンドーム以外にも複数の選択肢があり、それぞれに特徴と避妊率の違いがあります。
自分のライフスタイルや体調に合った方法を選ぶためにも、以下をご確認ください。

避妊方法 | 特徴 | 避妊率 |
---|---|---|
低用量ピル (経口避妊薬) | 卵胞・黄体ホルモン含有の内服薬 | 99.7% |
ミニピル (経口避妊薬) | 日本未承認・黄体ホルモン含有の内服薬 | 99% |
IUD (子宮内避妊具) | 子宮内に器具を装着 | 99.4% |
IUS (子宮内システム) | 子宮内にホルモンを放出する器具を装着 | 99.8% |
アフターピル (緊急避妊薬) | 性行為後120時間以内に服用 | 99% |
膣外射精やリズム法は不確実性が高いため、避妊法としては推奨しません。
子宮内に装着する避妊具IUDやIUSは装着後の避妊効果に期待できますが、装着前の検査なども必要なためハードルはやや高めです。
一方で、低用量ピルやミニピルなどの経口避妊薬は、毎日服用することで効果が期待できます。
ただし、これらの方法には副作用や使用上の制限があるため、医師と相談のうえで適切な方法を選ぶことが必要です。
コンドームに限らず複数の避妊手段を理解し、自分に合った方法を検討することが望まない妊娠を防ぐための第一歩となります。
※参照:J-Stage「研究論文 日本における予定外妊娠の医療経済的評価」
※参照:JAPIC「緊急避妊剤 レボノルゲストレル錠」
コンドームでの避妊失敗には緊急避妊薬を使う
コンドームで避妊に失敗したと感じたときは、できるだけ早く緊急避妊薬(アフターピル)を使用することが重要です。
緊急避妊薬とは、性行為後120時間以内に服用すれば99%の確立で避妊の効果に期待できる薬剤です。
時間が経過するほど効果は下がるため、早めの対応が求められます。
緊急避妊薬は病院で処方されるほか、最近ではオンライン診療でも入手できます。
避妊失敗に気づいたら慌てず、正しい情報をもとに迅速に行動しましょう。
緊急避妊薬に関して詳しく知りたい人はこちら!
アフターピル(緊急避妊薬)の効果と避妊の仕組みとは?
アフターピル(緊急避妊薬)で避妊できる確率は?
避妊に失敗した場合の対処法は?
コンドームの避妊率を上げるために正しく使用しよう
コンドームを使用していても、正しく使えていなければ妊娠する可能性があります。
人為的なミスによる妊娠を防ぐためには、コンドームと低用量ピルの併用がおすすめです。
また避妊失敗の不安がある場合は、速やかにクリニックへ相談しましょう。
多くの医療機関では、緊急避妊薬の早急な処方を行っています。
エミシアクリニックでは、LINE登録ですぐに利用できるオンライン診療を提供しているため、ぜひご活用ください。
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