コンドームは、性交渉における避妊方法として利用されています。
避妊効果が期待できますが、誤った使い方をすると妊娠するリスクも否めません。
普段から使用しているものの、正しい使い方を学ぶ機会がなかった方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コンドームによる避妊効果や正しい使用方法、購入時の選び方のポイントについて解説します。
また、コンドーム以外の妊娠リスクを下げる方法についても紹介しますので、どうしても妊娠を避けたい方はぜひチェックしてみてください。

この記事の監修者
エミシアクリニック院長
上野 一樹先生
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 9月 エミシアクリニック 院長就任
コンドームには避妊効果と性感染症の予防が見込める
コンドームを使用すると、避妊効果が期待できます。
コンドームの避妊率は一般的な使用では約85%ですが、適切な使用で約98%まで向上すると言われています。
※参照:東京都 TOKYO YOUTH HEALTHCARE ちゃんと知ってる?避妊具の使い方
また、コンドームの使用は、性感染症の予防にも有効です。
性感染症は、感染者の精液や腟分泌液が粘膜に触れることで感染し、一度の性交渉でもうつる可能性があります。
主な性感染症は以下のとおりです。
- 淋菌感染症(淋病)
- クラミジア感染症
- 梅毒
性感染症は、不妊の原因や重篤な合併症を引き起こすおそれがあります。
その後の生活に支障をきたさないためにも、性交渉におけるコンドームの使用は重要です。
コンドームの避妊率についてくわしく知りたい方はこちら!
コンドームの避妊率とは?避妊失敗を防ぐ正しい使い方を詳しく解説
避妊失敗につながる事例とコンドームの使い方
コンドームの誤った使用は、避妊の失敗につながるおそれがあります。
以下のような使用方法は、避妊の失敗につながる可能性があるため、注意が必要です。

- 性交渉の途中からの使用
- 使用したコンドームの連続使用
- 複数のコンドームを重ねた使用
- 表裏を間違えて装着したコンドームの使用
コンドームは挿入する直前に装着し、挿入が終わるまで外さないようにしましょう。
腟内に残らないように、根元を押さえながらペニスを抜くことも大切です。
さらに、使用済みのコンドームを連続して使うと、コンドームが破れる原因となる可能性があります。
続けて性交渉をする場合でも、射精後は新しいコンドームに取り替えることが重要です。
表裏を間違えて装着したコンドームは、ペニスに付着していたカウパー液(我慢汁)や精液が腟内に入り込み、妊娠につながる可能性があります。
前もって表裏を確認してから装着し、間違えた場合はひっくり返して使用することは控えましょう。
また、射精後は勃起がおさまり、コンドーム内にたまっている精液が腟内に入り込みやすくなります。
長時間の挿入を避け、性交渉が終わったらできるだけ早めにペニスを抜くことが大切です。
我慢汁と妊娠の関係性について、くわしく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。
我慢汁で妊娠するのは嘘?妊娠する確率や可能性が高まるケースを医師が解説
なぜ失敗した?避妊失敗を招く要因
コンドームを使用していても、避妊に失敗する場合もあります。
主な事例を以下にまとめました。
- 使用したコンドームに破れや穴があった
- 不適切な保管状態のコンドームを使用した
- 使用期限を過ぎたコンドームを使用した
- コンドームが腟内に残ってしまった
- 挿入中にコンドームが外れた
- オイルやシリコンが含まれる潤滑ゼリーを使用した
コンドームの破れや穴などは、精液が腟内に放出される原因となります。
腟内に射精してしまった場合と同様の状況を招く可能性があります。
装着の際は、爪でコンドームを傷つけないように注意しましょう。
財布や衣類のポケットなどの傷つきやすい場所で保管せず、持ち歩く際はハードケースを活用することが望ましいです。
また、使用期限を過ぎたコンドームの使用や、オイルやシリコンを含む潤滑ゼリーとの併用は、コンドームの劣化を招くおそれがあります。
あらかじめ、使用期限や含まれる成分を確認することが大切です。
コンドームが腟内に残ったり挿入中に外れたりすると、妊娠のリスクが高まるため、適切なサイズ選びや正しい使用方法を守りましょう。
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コンドームで避妊を期待するための正しい使用方法
コンドームの避妊効果を高めるには、正しい使用方法を守ることが大切です。
使用の流れを以下にまとめました。

- コンドームを端に寄せて袋を完全に切り取る
- 袋からコンドームを取り出す
- コンドームの表と裏を確認する
- 空気がたまっている部分を指でつまみ、コンドームの裏側を勃起したペニスの先に当てる
- コンドームをペニスの根元まで下ろす
- 根元に余った皮にもコンドームをかぶせるため、コンドームと一緒に皮を引き戻す
- コンドームをもう一度根元まで下ろす
※参照:東京都 TOKYO YOUTH HEALTHCARE
コンドームは傷に弱く、袋の切れ端や爪が原因で穴があいたり、破れたりするおそれがあります。
性交渉の前には、爪を短く整えておきましょう。
また、コンドームの空気が溜まっている場合も、挿入時に破れやすくなります。
忘れずにコンドームの空気を抜くことが大切です。
コンドームを選ぶ際のポイント
不適切なコンドームの使用は、避妊効果の低下や性交渉におけるトラブルにつながるおそれがあります。
コンドームを購入する際は、上記のポイントを意識して選びましょう。
ペニスの直径にぴったり合うサイズを使用する
コンドームを購入する際は、ペニスのサイズにぴったりと合う製品を選ぶ必要があります。
サイズの合っていないコンドームの使用は、避妊効果の低下を招く可能性があるためです。
ペニスから外れたり、途中で破れたりする原因となり、精液が膣内に漏れ出る可能性が考えられます。
なお、コンドームのサイズ選びでは、ペニスの長さではなく太さ(直径)をチェックしましょう。
同じサイズでもメーカーや製品によって直径のサイズや形状が異なる場合があります。
さまざまなメーカーのコンドームを使用してみて、フィットしている製品を調べるのもよいでしょう。
違和感がある場合は異なる材質(ラテックス、ポリウレタンなど)を選ぶ
コンドームの使用に対して違和感がある場合は、普段使用しているコンドームと別の材質の製品を選ぶことも一つの手です。
市販のコンドームではラテックスと呼ばれる天然ゴムを使用した製品が一般的です。
一方で、全体の約1〜6%の方は、ラテックスに対してアレルギーがあると言われています。
※参照:東京都 TOKYO YOUTH HEALTHCARE ちゃんと知ってる?避妊具の使い方
使用してから数分程度でペニスのかゆみやじんましんが生じたり、鼻水やくしゃみなどがあらわれたりした場合は、アレルギー反応のサインである可能性があります。
※参照:山梨大学医学部附属病院アレルギーセンター ラテックスアレルギー
上記の自覚症状がある方は、ポリウレタン製やイソプレンラバー製のコンドームへの変更も検討するとよいでしょう。
コンドームだけでは不安?失敗リスクを減らす併用避妊法を解説
コンドームの避妊効果は、適切に使用することで約98%まで上昇すると言われています。
ただし、コンドームだけでは確実に妊娠を防ぐことはできません。
より妊娠のリスクを抑えたい方は、コンドーム以外の避妊法に取り組むのも一つの手です。
妊娠の予防が見込める方法は、以下のとおりです。
どうしても妊娠を避けたい方は、コンドームの使用に加えて、ほかの避妊方法との併用をおすすめします。
低用量ピル
低用量ピルは、二つの女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)が含まれる薬剤です。
使用によって、排卵の一時的な停止や受精卵の着床の予防により避妊効果が期待できます。
低用量ピルの避妊効果は約93%と言われ、適切に使用していれば約99.7%まで高められるという報告もあります。
ただし、低用量ピルの使用では副作用が生じる場合があります。
代表的な副作用は以下のとおりです。
- 吐き気
- 頭痛
- 血栓症(血液のかたまり)
上記以外の副作用の症状がみられる場合も少なくないため、体調不良や普段とは異なる明らかな違和感がある場合は、ためらわず医療機関を受診しましょう。
なお、低用量ピルは月経困難症(過度な生理痛)の改善にも有効であり、出血量の抑制や生理症状の軽減などの効果が見込めます。
エミシアクリニックでは、オンライン診療で低用量ピルの処方が受けられます。
クリニックに足を運ぶ必要がないため、通院の手間がかからず、続けやすいのが特徴です。
重い生理痛に悩んでいる方は、低用量ピルの使用を検討するのも選択肢の一つです。
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▼ピルの使用によって期待できる効果や副作用、安全性
ピルとはどんな薬?避妊効果や飲む意味・副作用・安全性についてわかりやすく解説
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子宮内避妊具(IUD、IUS)
子宮内避妊具(IUDやIUSなど)は、子宮の内部に挿入する器具であり、受精を妨げることで避妊効果が期待できます。
それぞれの特徴を以下にまとめました。
| 種類 | 避妊のメカニズム | 費用 |
|---|---|---|
| IUD | 銅イオンの成分により精子の動きを低下させる | 約3~5万円 |
| IUS | 女性ホルモンの作用によって、子宮の内膜を薄い状態に保ち、受精卵が着床しにくくする | 約6~8万円 |
子宮内避妊具の避妊効果は約99.5%とされており、低用量ピルと同等の効果が確認されています。
ピルのような飲み忘れによる効力の低下がないため、使用方法にかかわらず高い効果が見込めるのが子宮内避妊具のメリットと言えるでしょう。
ただし、使用の有効期間があったり、子宮の病気や基礎疾患によっては使用できなかったりするケースもあるため、あらかじめ確認が必要です。
避妊失敗から72時間以内のアフターピル(緊急避妊薬)は高い妊娠予防効果が期待できる
避妊の失敗が疑われる場合は、できる限り早めにアフターピル(緊急避妊薬)を使用することが重要です。
海外の研究によると、妊娠率は性交渉からアフターピルを使用するまでの時間に応じて、以下のように変化することが報告されています。
- 24時間以内:0.4%
- 25〜48時間:1.2%
- 49〜72時間:2.7%
※参照:厚生労働省 緊急避妊薬のスイッチOTC化に対して 今すべきことは何か?
性交渉から時間が経つほど妊娠の確率が高まるため、できるだけ早めにアフターピルを使用することが重要です。
コンドームが外れたり破けたりした場合は、避妊の失敗が疑われるため、できるだけ早めに専門のクリニックに相談しましょう。
さらにくわしく知りたい方は、こちらをチェックしてみてください。
▼アフターピルの使用で避妊できる確率や起こりうる副作用
アフターピル(緊急避妊薬)で避妊できる確率は?服用までの時間による効果や副作用も解説
▼アフターピルの使用による効果を確認する方法
アフターピル服用後に避妊に成功したか確認する方法|副作用や失敗の原因を解説
アフターピルの処方ならエミシアクリニック
アフターピルは、ドラッグストアや通販サイトでは購入できません。
使用には、婦人科や専門のクリニックを受診し、医師の診察を受ける必要があります。
アフターピルの使用を考えている方の中には、プライバシーの点で受診に抵抗がある方や、近くに専門の病院がない方もいるかもしれません。
エミシアクリニックは、オンライン診療の体制が整っており、直接クリニックへ行かなくてもピルの処方を受けられます。
24時間いつでも予約ができ、LINEによる診察にも対応しています。
処方されたアフターピルは、中身がわからないように包装されて自宅に配送されるため、まわりの方に知られずに使用できるでしょう。
エミシアクリニックのアフターピルは、診察が終わってから最短で1時間以内に発送されます。
使用するか悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
購入方法についてさらにくわしく知りたい方はこちら!
▼アフターピルのオンライン診療
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▼アフターピルの購入方法
アフターピル(避妊薬)はどこで買える?薬局以外の購入方法を紹介
コンドームによる避妊に関するよくある質問
ここでは、コンドームによる避妊方法に関して寄せられるよくある質問について解説していきます。
それぞれ見ていきましょう。
確実に避妊する方法は何ですか?
現時点では、100%避妊できる方法はありません。
低用量ピルや子宮内避妊具の使用、避妊手術などは高い避妊効果があることが報告されています。
※参照:厚生労働省 経口避妊薬(OC)の有効性についてのとりまとめ
ただし、上記の治療法は、持病により使用できないケースや決断のハードルが高く、実践できない方も少なくありません。
避妊を強く希望する方には、比較的取り組みやすいコンドームの使用や低用量ピルの併用をおすすめします。
使用の際は、正しい方法を守ることが大切です。
避妊に失敗したときの緊急時の対処法についてくわしくはこちら!
避妊に失敗した場合の対処法は?避妊失敗の例やアフターピルについても解説
パートナーがコンドームをつけるのを嫌がるのですが、どうしたらいいですか?
コンドームの使用に抵抗がある理由を以下にまとめました。
- 感度の低下を感じる
- 装着した場合の性交渉に違和感がある
- 装着すると勃起が萎える
- 避妊や性感染症の予防への知識が乏しい
適切なコンドームや潤滑ゼリーを使用することで、コンドームに対する違和感が解消される場合があります。
また、コンドームに対する知識が不足しており、避妊に対して誤った認識がある可能性も考えられます。
どうしてコンドームをつけたくないのか、一度よく話し合ってみるのも一つの手です。
安全日であれば妊娠しないという噂は本当ですか?
妊娠しない日(いわゆる安全日)は存在しないと言われています。
生理周期はストレスや体調などによってズレやすく、妊娠しにくいタイミングをとらえることが難しいためです。
妊娠を避けたい場合は、コンドームや低用量ピルなどの避妊法に取り組みましょう。
性交渉のタイミングにおける妊娠のしやすさについてくわしくはこちら!
安全日とは?妊娠しにくい時期と危険日との違いをわかりやすく解説
コンドームの使用は避妊効果が見込めるものの100%防げるわけではない
コンドームは避妊や性感染症の予防に有効ですが、100%ではありません。
効果を高めるには使用方法を守り、サイズや体質に合ったコンドームを選びましょう。
コンドームの穴や破れ、挿入中のコンドームの外れなどがあった場合は、避妊に失敗している可能性があります。
上記のサインに気づいた場合は、できるだけ早めに専門の医師に相談することが望ましいです。
医師によって妊娠のおそれがあると判断された場合は、アフターピルの使用が選択されるケースもあります。
アフターピルは、性交渉から時間が経つにつれて効果が低下するため、避妊に失敗した可能性がある場合は、早めに医師に相談することが重要です。
どうしても妊娠を避けたい方は、あらかじめ低用量ピルや子宮内避妊具などの選択も有効です。
コンドームとの併用によってさらなる避妊効果が見込めるため、一度検討してみるとよいでしょう。



