尿酸値を下げる薬の種類と効果を徹底解説｜副作用や市販薬との違いも

健康診断で尿酸値の高さを指摘され、治療に取り組むか迷っている方もいるでしょう。

尿酸値が高い状態は関節の痛みや腫れ、腎臓の機能低下などの一因になり痛風のリスクを高めます。

この記事では、尿酸値を下げる治療薬の種類や飲むタイミング、注意点を解説します。

治療薬が必要となる基準や、選択肢についても紹介するため、自分に合った治療方針を選ぶきっかけとしてお役立てください。

尿酸値を下げる薬はいつから飲む？尿酸値8はやばい？

尿酸値を下げる治療薬の服用は、高尿酸血症（尿酸値7.0mg/dL以上）の状態が続き、以下の状態に当てはまる場合に検討されます。

• 痛風発作（※）になったことがある
• 腎臓病や尿路結石などの合併症がある

※関節に尿酸がたまり、痛みや腫れを引き起こした状態のこと

そもそも尿酸とは、プリン体が体内で分解されたときにできる老廃物です。

通常は腎臓から尿として排泄されますが、以下のような場合は血液中に尿酸がたまりやすくなります。

• 体内で尿酸が過剰につくられる
• 排泄が十分に行われていない

この状態が長く続くと「高尿酸血症」と呼ばれ、痛風や腎機能低下などの原因となるおそれがあります。

ただ、尿酸値が8.0mg/dL未満かつ痛風の症状や合併症がない場合は、まず生活習慣の見直しを行うことが一般的です。

痛風のリスクは高まっている状態ですが、患者の体調や体質を踏まえて医師が治療薬を使用するか判断します。

必ずしも治療薬を使用するわけではないため、尿酸値の異常を指摘された方は、自己判断せず早めに医師に相談しましょう。

※参照：日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版［2022年追補版］」

尿酸値を下げる薬の仕組みと効果

尿酸値を下げる薬（尿酸降下薬）は、大きく分けて以下の二つに分けられます。

• 尿酸生成抑制薬（尿酸の産生を抑える）
• 尿酸排泄促進薬（尿酸を排出する）

治療薬の服用によって期待できる主な効果は次のとおりです。

• 痛風発作の再発予防
• 腎機能低下リスクの抑制
• 尿路結石の再発リスクの低下

ただし、効果には個人差があるため、医師の管理のもとで尿酸値を継続的にコントロールしていくことが重要です。

一般的には痛風発作が完全に治まってから開始し、約3〜6か月かけて目標値（多くは6.0mg/dL未満）へ近づけていきます。

また、痛風の再発を防ぐために、尿酸値の維持を目的として長期的に服用を続けることを推奨します。

なお、尿酸降下薬に痛風発作の痛みや腫れを抑える効果は期待できません。

かえって発作を悪化させる可能性もあるため、症状が治まってから服用するように注意しましょう。

市販薬やサプリでも尿酸値は下がる？

ドラッグストアや通販では、「尿酸値が高めの方」に向けた市販薬やサプリメントが販売されています。

しかし、これらは医療用の処方薬とは異なり、高尿酸血症に達していない方の健康維持や尿酸値の上昇抑制のサポートを目的としています。

尿酸値が7.0mg/dLを超えていて痛風発作や合併症がある方は、処方薬による治療が必要です。

代表的な製品と症状改善に役立つ主な成分を以下にまとめました。

製品名	販売元	主な成分
ルテオリン 尿酸ダウン	DHC	ルテオリン
尿酸ヘルプ	小林製薬	ルテオリン
ディアナチュラ ゴールド アンセリン	アサヒ	アンセリン
尿酸サポート	ファンケル	アンペロプシン

市販薬やサプリメントを服用する際は、同時に食生活や飲酒量などの生活習慣を見直しましょう。

なお、上記の製品は処方薬とは異なるため、あくまで健康状態の維持を目的とした利用にとどめることが大切です。

尿酸値を把握するためにも、早めに医療機関を受診し、医師の指示を受けることをおすすめします。

忙しくて通院時間が取れない方は、エミシアクリニックのオンライン診療の活用をご検討ください。

尿酸値を下げる「尿酸生成抑制薬」を種類別に解説

「尿酸生成抑制薬」の服用により、尿酸の生成を抑えて血中の尿酸値を下げる働きが期待できます。

キサンチンオキシダーゼ（XO）という酵素の作用を妨げ、プリン体から尿酸が作られにくい状態にするためです。

以下に当てはまる方は、尿酸生成抑制薬の使用を検討しましょう。

• 尿酸値が高い（9.0mg/dL以上）状態が続いている
• 尿酸値8.0mg/dL以上で合併症（腎機能の低下や尿路結石など）がある
• 過去に痛風発作を発症したことがある

毎日の服用と生活習慣の改善を行うことが、尿酸値の長期的なコントロールにつながります。

代表的な尿酸生成抑制薬は以下のとおりです。

• アロプリノール（ザイロリック）
• フェブキソスタット（フェブリク）
• トピロキソスタット（トピロリック、ウリアデック）

いずれも医療機関を受診し、医師の判断によって処方される薬です。

アロプリノール（ザイロリック）

アロプリノールは、尿酸生成抑制薬の一つであり、代表的な商品にザイロリックがあります。

長年にわたって使用されているため、安全性に関するデータが豊富に蓄積されている治療薬です。

しかし、まれにかゆみや発疹などの皮膚症状や腎機能への影響が報告されています。

違和感がある場合は、早めに医師に相談することが大切です。

また、アロプリノールは腎機能に応じて用量の調整が必要な治療薬です。

腎機能低下がある場合は、医師の指示のもと用量を調整しながら服用しましょう。

※参照：医薬品医療機器総合機構 アロプリノール錠

フェブキソスタット（フェブリク）

フェブキソスタットの代表的な商品にはフェブリクがあります。

1日1回の服用で管理しやすく、尿酸値の長期的なコントロールに用いられる治療薬です。

腎臓への影響がほかの治療薬と比べて比較的小さいため、腎機能が低下している場合でも選択されることがあります。

ただし、肝臓の代謝にともなった肝機能障害やめまいなどの副作用が起こる場合もあるため、体調の変化に注意しましょう。

※参照：医薬品医療機器総合機構 フェブキソスタット錠

トピロキソスタット（トピロリック、ウリアデック）

トピロキソスタットも尿酸生成抑制薬の一つで、代表的な商品にトピロリックやウリアデックがあります。

腎機能への影響が比較的少ないため、腎臓の機能が低下しているケースでも選択される場合があります。

主な副作用としては、肝機能の変化や皮膚の赤みが報告されています。

服用の際は、体調の変化がないか十分に観察することが大切です。

※参照：医薬品医療機器総合機構 トピロキソスタット錠

尿酸値を下げる「尿酸排泄促進薬」を種類別に解説

「尿酸排泄促進薬」は、腎臓からの尿酸排出を高めて血中の尿酸値を下げる治療薬です。

腎臓の尿細管（※）の働きを妨げ、尿酸が体内に吸収されるのを防ぎます。

※尿に含まれる水分や電解質などのうち、身体に必要な成分を吸収し血液中にもどす部位のこと

以下に当てはまる方は、尿酸排泄促進薬の使用が検討されます。

• 尿酸の排泄能力が低下している
• 軽度〜中等度の腎機能低下がある
• 痛風発作を繰り返している

医師の判断のもとで処方され、腎機能の状態によっては使用が制限されるケースもあります。

服用中は尿路結石ができやすくなるため、1.5〜2Lを目安に水分摂取を心がけましょう。

代表的な尿酸排泄促進薬には、以下の4種類があります。

• ベンズブロマロン（ユリノームなど）
• プロベネシド（ベネシッドなど）
• ドチヌラド（ユリスなど）
• ブコローム（パラミヂンなど）

治療薬によって作用の強さや腎機能への影響が異なるため、症状や体質を考慮して適切な治療薬が処方されます。

ベンズブロマロン（ユリノームなど）

ベンズブロマロンは、尿酸排泄促進薬の一つであり、代表的な商品にユリノームがあります。

腎機能が低下している方や肝臓の機能障害がある方には使用できないため、医師の診断に従って服用しましょう。

重大な副作用としては、肝機能障害（急性肝不全など）が報告されています。

服用後は十分な観察を心がけ、定期的な肝臓の機能検査を受けましょう。

※参照：医薬品医療機器総合機構 ベンズブロマロン錠

プロベネシド（ベネシッドなど）

プロベネシドの代表的な商品にはベネシッドがあります。

「アスピリン」や「ワルファリン」などの治療薬と一緒に使用すると、体調不良をきたすおそれがあるため注意が必要です。

現在使用している治療薬がある方は、前もって医師や薬剤師に相談しましょう。

※参照：医薬品医療機器総合機構 プロベネシド錠

ドチヌラド（ユリスなど）

ドチヌラドも尿酸排泄促進薬であり、代表的な商品にユリスがあります。

尿と便の両方から尿酸が排泄されるため、腎機能に配慮が必要な例でも選択されることがあります。

ただし、服用によって尿路結石を引き起こすリスクがあるため、十分な水分摂取を心がけることが重要です。

※参照：医薬品医療機器総合機構 ドチヌラド錠

ブコローム（パラミヂンなど）

ブコロームの代表的な商品にはパラミヂンがあります。

非ステロイド性の消炎鎮痛薬としても利用されており、炎症や痛みを和らげる効果も期待できます。

一方で、胃痛・発疹・下痢などの副作用も報告されており、消化性潰瘍や重い肝障害・腎障害がある方は使用できません。

服用中は体調の変化を感じたら、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

※参照：耳鼻咽喉科展望46巻 高尿酸血症・痛風治療薬

尿酸値を下げる薬の服用で考えられる副作用

医師が処方する尿酸値を下げる薬は、国内で承認された処方薬であり安全性が確認されています。

しかし、まれに副作用が起こる場合があります。

尿酸値を下げる薬で報告されている主な副作用は以下のとおりです。

薬剤名	主な軽度の副作用	主な重度の副作用
アロプリノール（ザイロリック）	・発疹 ・発熱 ・関節痛 ・腹痛 ・下痢	・中毒性表皮壊死症 ・スティーブンス・ジョンソン症候群
フェブキソスタット（フェブリク）	・傾眠 ・めまい ・腹痛 ・皮疹	・肝機能障害
トピロキソスタット（トピロリック、ウリアデック）	・軽度のALT上昇 ・四肢の痛み ・口内炎	・肝機能障害 ・多形紅斑
ベンズブロマロン（ユリノームなど）	・発疹 ・胃の不快感 ・倦怠感	・肝機能障害
プロベネシド（ベネシッド）	・皮膚炎 ・食欲不振 ・頭痛 ・発熱 ・めまい	・溶血性貧血 ・再生不良性貧血 ・アナフィラキシー様反応 ・肝壊死 ・ネフローゼ症候群
ドチヌラド（ユリス）	・胃の不快感 ・下痢 ・発疹 ・倦怠感	ー
ブコローム	・発疹 ・胃痛 ・下痢	・中毒性表皮壊死症 ・皮膚粘膜眼症候群

服用中は、治療薬の効果や肝機能や腎機能の変化を確認するため、定期的な診察と血液検査が大切です。

気になる症状があらわれた場合は自己判断せず、医師に相談しましょう。

 

尿酸値を下げる薬を服用する際の注意点

尿酸値を下げる治療薬を安全に服用するためには、前もって知っておきたい注意点があります。

第一に、痛風発作が出ているときに尿酸降下薬を飲むことは推奨されていません。

血中の尿酸値が急変し、関節に溜まっていた尿酸結晶が一気に溶け出して炎症が悪化するおそれがあるためです。

痛みや腫れが完全に治まってから服用しましょう。

また、ほかの薬剤との併用にも注意する必要があり、代表的な併用リスクは次のとおりです。

薬剤名	併用に注意が必要とされる主な治療薬	併用が禁止されている主な治療薬
アロプリノール（ザイロリック）	・ワルファリン（血栓予防薬） ・テオフィリン（喘息治療薬）	ー
フェブキソスタット（フェブリク）	・ビダラビン（抗ウイルス薬） ・ジダノシン（HIV治療薬）	メルカプトプリン水和物（白血病薬）、アザチオプリン（免疫抑制剤）
トピロキソスタット（トピロリック、ウリアデック）	・ワルファリン（血栓予防薬） ・ビダラビン（抗ウイルス薬） ・キサンチン系薬剤（呼吸器疾患治療薬） ・ジダノシン（HIV治療薬）	メルカプトプリン水和物（白血病薬）、アザチオプリン（免疫抑制剤）
ベンズブロマロン（ユリノームなど）	・アスピリン（鎮痛薬） ・ピラジナミド（結核治療薬） ・ワルファリン（血栓予防薬）	ー
プロベネシド（ベネシッド）	・ワルファリン（血栓予防薬） ・アスピリン（鎮痛薬）	ー

服用している治療薬がある場合は、クリニックを受診する際にあらかじめ医師に伝えておきましょう。

尿酸値を下げる薬はいつまで飲む？

尿酸値をコントロールし、痛風の再発を防ぐためには長期間の服用が必要です。

症状や尿酸値の状態には個人差がありますが、多くの場合は数年単位での継続が求められ、生涯にわたる服用が必要な場合もあります。

治療薬を自己判断でやめてしまうと、尿酸値が高い状態に戻ってしまい、痛風の再発リスクが高まります。

また、薬の急な中止は血中の尿酸値の急激な変化を引き起こし、痛風発作のきっかけになりかねません。

薬の減量や中止を検討している場合は、前もって医師に相談しましょう。

受診・オンライン診療前に整理しておきたい質問リスト

病院やオンライン診療で尿酸値について診察を受ける際は、あらかじめ相談内容を整理しておきましょう。

まず、治療に取り組む際は、以下の項目を把握しておくことが大切です。

▼現在の状態について

• 最新の尿酸値（高尿酸血症の基準値7.0mg/dL以上か）
• 痛風発作の経験や腎臓・尿路結石などの合併症の有無
• 高血圧や糖尿病などの基礎疾患の有無

また、診察の際は以下の項目を医師に確認しておくと、治療に役立つでしょう。

▼薬の種類や治療方針について

• 尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬、どちらが自分に適しているか
• 薬を使う目的（痛風発作の予防、腎機能の保護など）

▼服用時の注意点について

• 痛風発作が出ているときは服用を避けるべきか
• 薬の服用期間がどれくらいになりそうか
• 他の薬との飲み合わせで注意すべき点はあるか
• 副作用としてあらわれやすい症状はあるか、副作用があらわれた際にはどのような対応が必要か

▼生活習慣の見直しについて

• 食事やアルコール摂取の制限と具体的な目安
• 運動習慣の目安

気になることがあれば、前もって準備しておくことが大切です。

エミシアクリニックのオンライン診療では、「治療の必要があるか迷う」「相談だけしたい」という方も診察可能です。

尿酸値を下げる薬に関するよくある質問

ここからは尿酸値を下げる薬に関するよくある質問に回答していきます。

• 薬以外で尿酸値を下げる方法はありますか？
• 尿酸値を下げる薬にジェネリック医薬品はある？違いは？

これらの回答はすべての人の症状・体質に当てはまるわけではありません。

不明な点があれば主治医に相談することをおすすめします。

薬以外で尿酸値を下げる方法はありますか？

尿酸値を下げるには、生活習慣の見直しが有効な場合があります。

尿酸値の改善が期待できる方法を以下にまとめました。

内容	ポイント
プリン体を控えた食事	プリン体を多く含む食品（レバー、魚卵、白子など）の食べ過ぎを控える（※1）
アルコールの制限	ビールや日本酒などのプリン体を多く含む酒類を減らす
十分な水分摂取	1日1.5〜2Lを目安に水分を補給する（※2）
体重の管理	肥満の解消に取り組み、内臓脂肪を減らす
有酸素運動	ウォーキングやサイクリングなど、軽めの運動に取り組む
サプリメントの活用	尿酸値の抑制をサポートする「機能性表示食品」を取り入れる

プリン体の摂取は、1日400mg未満を目安に抑えましょう。

以下に、プリン体含有量の多い食品・飲料をまとめました。

食品・飲料	プリン体含有量（mg）
鶏レバー	312.2
豚レバー	284.8
牛レバー	219.8
イサキ白子	305.5
明太子	159.3
タラコ	120.7
ビール（100mL）	3〜7
日本酒（100mL）	1.2

また、激しい運動は痛風発作の原因になる可能性があるため、適度な運動にとどめることが大切です。

生活習慣の改善に取り組み、痛風の予防につなげましょう。

（※1）参照：公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」
（※2）参照：全国健康保険協会

尿酸値を下げる薬にジェネリック医薬品はある？違いは？

尿酸値を下げる治療薬の中には、ジェネリック医薬品（後発品）があるものと、現時点で存在しないものがあります。

以下に、薬の種類ごとのジェネリック医薬品の有無をまとめました。

薬の種類	先発品	ジェネリック医薬品
アロプリノール	ザイロリック	あり
フェブキソスタット	フェブリク
ベンズブロマロン	ユリノーム
クエン酸カリウム・ナトリウム水和物	ウラリット配合錠／散
トピロキソスタット	トピロリック、ウリアデック	なし
ドチヌラド	ユリス

ジェネリック医薬品は、先発薬と同じ有効成分を含みながらも価格が安く、金銭的負担を抑えやすいのが特徴です。

ただし、錠剤の形状や添加物が異なる場合もあるため、変更を希望する際は医師や薬剤師に相談しましょう。

上手に薬と付き合い尿酸値をコントロールしよう

尿酸値の安定には、生活習慣の見直しと必要に応じた尿酸降下薬の継続が欠かせません。

症状や尿酸値の経過には個人差があるため、定期的な血液検査や医師の診察を受けながら調整していくことが重要です。

根気強く治療に取り組み、健康の維持につなげましょう。