更年期では女性ホルモンが低下し、40~50代にかけてイライラや動悸などの「更年期障害」が起こることがあります。
低用量ピルもまた女性ホルモンと密接に関わる薬剤ですが、更年期に服用することは可能なのでしょうか。
今回は更年期の低用量ピル服用について、いつまで服用可能なのかを詳しく解説。
また更年期治療や服用時の注意点・更年期の避妊方法についても解説します。
更年期とピルの正しい向き合い方を知っておくためにも、ぜひ最後までご覧ください。
▼エミシアクリニックのオンライン診療では低用量ピルの即日発送が可能です。
この記事を監修した医師
上野 一樹
UENO KAZUKI
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 エミシアクリニック 院長就任
更年期でも低用量ピルの服用はできる?
低用量ピルは基本的に閉経まで服用できますが、40歳以上の方が服用する場合には注意が必要です。
40歳以上の方の中で、以下の場合だと低用量ピルは服用できません。
- 肥満体型の方(BMI30以上)
- 高血圧
- 高脂血症
- 糖尿病患者
引用:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」
40歳以上からは、血栓症や心筋梗塞といった病気のリスクが高まる時期。
更年期中の低用量ピル服用は、リスクをさらに高めるといわれています。
40歳以上で低用量ピルの服用を考えている方は、医師に相談した上で慎重に決める事が大切です。
プレ更年期(30代後半)の低用量ピル服用は問題ない?
30代後半の「プレ更年期」と呼ばれる期間では、低用量ピルの服用が問題なく可能です。
ただし以下のように、30代であっても低用量ピルを服用できないケースもあるので注意しましょう。
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙者
- 妊婦
- 乳がん患者
低用量ピルの服用を考えている、もしくは継続したい場合はご自身が服用できるか把握しておく必要があります。
またこの時期は更年期ほどではありませんが、閉経に向かい女性ホルモンが徐々に減少していく時期です。
個人差はありますが、プレ更年期では更年期同様の不調が起こるケースも。
原因は女性ホルモン(エストロゲン)の低下によるもので、低用量ピルでエストロゲンを補充することで症状が改善する場合もあります。
プレ更年期に入り更年期のような症状にお悩みの方は、改善・緩和のために低用量ピルの服用を検討してみるのもよいでしょう。
エミシアクリニックの低用量ピル
エミシアクリニックでは低用量ピルの処方をしております。
エミシアクリニックでは、低用量ピルと超低用量ピルを揃えています。
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診察前に無料カウンセリングを実施しているため、不安なく利用できるでしょう。
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低用量ピル服用中の場合は閉経の確認が必要
閉経後にはピルの服用ができなくなるため、服用中の方は閉経しているか確認が必要になります。
一般的に最後の生理から1年間生理が来なければ閉経と診断されますが、低用量ピル服用中は休薬期間中にも出血が起こり閉経したかどうかの判断が困難です。
まずは40~50歳の間に低用量ピルの服用を中止し、血液検査で閉経を確認しましょう。
血液検査ではピルの服用中止時とその数週間後に、血中の「エストラジオール(※)」という女性ホルモンの数値を確認します。
(※)卵胞ホルモンと卵胞刺激ホルモンの一種であり、卵胞や子宮内膜の成長など妊娠の準備に関わる。
閉経前後ではこのエストラジオールの数値が変動するため、血液検査により閉経の確認ができます。
血液検査で閉経が確認できたら、低用量ピルの服用をやめましょう。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」
低用量ピルで更年期障害の治療は可能?
低用量ピルは、更年期障害の治療には使用されません。
一般的に更年期障害の治療で用いられる治療法は、以下の3つです。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方薬治療
- 向精神薬治療
ただし低用量ピルでホルモンを補充することにより、更年期のような症状が改善される場合もあります。
OC に は排卵抑制を起こす目的があるため, より多くの E 量が含まれている.両者は,薬剤と して期待される効果が異なり,更年期障害に対しては HRT が推奨される. OC に含ま れる EE は HRT に使われる CEE,17βE2 に比べ,高い E 活性を持っており,排卵抑制 とともに更年期症状の改善効果も期待でき 1)2) ,状況が該当する症例では有効な薬剤と いえる.しかし OC 使用での VTE,脳卒中および心筋梗塞のリスクは年齢とともに高く なる 3)4)ことを十分に考慮しなければならない.
引用:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」
しかし低用量ピル服用による血栓症や心筋梗塞などのリスクは、年齢とともに高まるため注意が必要です。
更年期治療が目的であれば、医師の診断のもと適切な治療を受けるようにしましょう。
ピル服用中の場合は閉経か50歳を目安に更年期治療に切り替える
低用量ピルからホルモン補充療法(HRT)に切り替えるタイミングは、多くの場合閉経や50歳を迎えたタイミングです。
閉経後はエストロゲン摂取による血栓症や心筋梗塞などのリスクが高まるため、ピルよりもエストロゲン含有量の少ないホルモン補充療法(HRT)へ切り替えます。
OC/LEP は閉経移行期内に終了し,以後は心血管障害や VTE のリスクを回避するため,さ らに E 活性が低い HRT を行う.
引用:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」
ただし更年期障害の症状が強い場合、閉経前でも治療を開始するケースもあります。
更年期障害の症状にお悩みであれば、早めに医師に相談するとよいでしょう。
※参考:日本産科婦人科学会「女性の健康Q&A」
更年期に入ってからの避妊方法
更年期に入り低用量ピルの服用をやめた場合は、以下のような避妊法を活用しましょう。
- コンドーム
- IUD(子宮内避妊具)やIUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
40代からは生理の間隔も長くなり出血量も減るため、「もう妊娠はしないだろう」と安心してしまいがち。
しかし更年期に入っても閉経までは妊娠する可能性があるため、妊娠を望まないのであれば上記の方法で避妊が可能です。
望まない妊娠を避けるためにも、生理がこなくなってから1年間は避妊を行いましょう。
更年期の低用量ピル服用は医師の診断を仰ぎましょう
更年期に低用量ピルを服用し続けることには、血栓症や心筋梗塞といった病気のリスクが高めてしまう可能性があります。
また体質や持病次第では、低用量ピルの服用ができないケースも。
特に閉経後には低用量ピルは服用できないため、服用中の方は閉経の確認も必要です。
ご自身の身体のためにもまずは医師に相談しましょう。
この記事を監修した医師
上野 一樹
UENO KAZUKI
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 エミシアクリニック 院長就任