ED(勃起不全)には簡単にセルフチェックできる方法があります。
セルフチェックによりEDだと認識できれば、具体的な治し方を見つけることもできるでしょう。
今回は以下のEDのセルフチェックや治し方について詳しく解説します。
- EDにみられる症状・勃起の状態
- ED診断ができる2つのセルフチェック方法
- EDの原因と改善策
- ED治療薬について
EDかもしれないと感じている方は、これから紹介する方法で自己診断してみましょう。
EDと診断された場合は、EDの改善策の一つとしてご紹介するED治療薬の服用も検討してみてください。
この記事を監修した医師
上野 一樹
UENO KAZUKI
2020年 医師免許取得
2020年 倉敷中央病院 初期研修医
2022年 神戸市立医療センター中央市民病院 救急科
2023年 エミシアクリニック 院長就任
ED診断前に確認すべき症状とは
EDを疑う症状には5つあります。
当てはまるものがあるか、EDの診断前に確認してみてください。
- 勃起を持続できない
- 性的興奮を感じにくい
- 性欲があっても勃起しない
- 勃起した際に十分な硬さがない
- 性行為中に中折れするようになった
上記に当てはまるものがあればEDの可能性があるため、今回ご紹介するセルフチェックを行ってみましょう。
EDは重症度によっては本格的なED治療が必要になる場合もあるので、クリニック受診も検討してみてください。
また、EDの初期症状については以下の記事でも詳しく解説しています。
EDは自己診断できる!セルフチェック方法を紹介
EDのセルフチェック方法として、以下の3つをご紹介します。
- IIEF-5:15項目あるIIEFという問診表を、5項目まで簡易化したもの
- SHIM:IIEF-5よりも回答項目が増えたもの
- EHS:勃起の硬さを4段階で評価する自己診断ツール
EDの診察や治療の効果判定にはIIEF(国際勃起機能スコア)という15項目の問診表が用いられます。
ここからは、ご紹介したセルフチェック3種類を具体的に解説します。
ED治療を受ける前のセルフチェックとして活用してもいいでしょう。
IIEF-5
IIEF-5は5つの項目をそれぞれ5段階で評価し、合計点数に応じてEDの重症度を測るものです。
IIEF-5の具体的な診断項目は以下。
1.勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか
- 非常に低い
- 低い
- 中くらい
- 高い
- 非常に高い
2.性的刺激によって勃起した時,どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか
- ほとんど,又は全くならなかった
- たまになった(半分よりかなり低い頻度)
- 時々なった(ほぼ半分の頻度)
- しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)
- ほぼいつも,又はいつもなった
3.性交の際,挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか
- ほとんど,又は全く維持できなかった
- たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)
- 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)
- しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)
- ほぼいつも,又はいつも維持できた
4.性交の際,性交を終了するまで勃起を維持するの はどれくらい困難でしたか
- 極めて困難だった
- とても困難だった
- 困難だった
- やや困難だった
- 困難でなかった
性交を試みた時,どれくらいの頻度で性交に満足 できましたか
- ほとんど,又は全く満足できなかった
- たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)
- 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)
- しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)
- ほぼいつも,又はいつも満足できた
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
上記診断の合計点により、EDの重症度を5段階で分類します。
- 重症ED:5~7点
- 中等症ED:8~11点
- 軽症~中等症ED:12~16点
- 軽症ED:17~21点
- EDではない: 22~25点
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
合計点が低いほどEDの重症度は高いです。
中等症ED以上の結果の場合は本格的なED治療も視野に入れることをお勧めします。
また、クリニックへEDの診察を受ける際にIIEF-5の診断結果を提示すると、よりスムーズに診察を受けられるでしょう。
SHIM
SHIM(Sexual Health Inventory for Men)の診断内容はIIEF-5と似ていますが、回答内容が多い特徴があります。
IIEF-5 と SHIM の違いは,設問の 2 番から 5 番までに 0 点(性的刺激はなかった 性交を試みなかった)の選択肢が,あるか(SHIM)か,ないか(IIEF-5)である。
したがって,SHIM では最低点は 1 点(設問 1 に対して,勃起を維持する自信が非常に低い)となり,IIEF-5 では 5 点となる。
両者の使い分けは,日本人は性交の機会が少ないので,スクリーニングとしては,0 点を含む SHIM を使い,治療に対する反応を観察する場合には IIEF-5 を用いればよいと思う。
回答の選択肢が増えたことで、性行為の機会が少ない方にも合わせて診断が可能です。
SHIMにおいて追加されている回答内容は以下。
- 設問2の選択肢に「0.性的刺激はなかった」が追加
- 設問3~5の選択肢に「0.性交を試みなかった」が追加
SHIMでセルフチェックは、前述のIIEF-5の設問と併用することでより細かい診断結果が分かるでしょう。
EHS(勃起の硬さスケール)
EHSは自己診断を目的として作られたツールです。
診断基準が明確で自己診断しやすいため、是非参考にしてみてください。
EHSの診断項目は、以下のように勃起時の硬さを4段階で評価します。
- グレード 1:陰茎は大きくなるが、硬くはない。
- グレード 2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
- グレード 3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
- グレード 4:陰茎は完全に硬く、硬直している。
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
EHSは勃起の硬さのみを基準にするため、性交の有無に関わらず診断が可能。
診断項目もシンプルで、気軽に診断できるのが特徴です。
ただしあくまでセルフチェックのため、診断結果に問題がなくとも気になる点や異常がある場合は医師の診断を受けましょう。
診断の結果EDと判明!考えられる原因は?
EDの原因は大きく4つの種類に分けられます。
EDの種類 | 外的要因 / 内的要因 | 原因 |
器質性 | 外的要因 | 病気やケガなど身体的な問題 |
心因性 | 内的要因 | ストレスや精神疾患など |
混合性 | 内的要因・外的要因 | 各EDの原因が重なり発症 |
薬剤性 | 外的要因 | 服用中の薬剤の影響 |
参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
EDはストレスや精神的苦痛などの内的要因や、病気や生活習慣といった外的要因など様々あります。
EDの原因によってED改善の方法が変わるため、自身がEDになった原因を理解することが大切です。
EDの原因については以下の記事で詳しく解説しているので、是非あわせてご覧ください。
EDは治せる!セルフケアや改善策を紹介
EDの改善策は、以下のようにセルフケアから本格的なED治療まで様々あります。
- ストレスの軽減
- 生活習慣の改善
- 精神療法
- ED治療薬
軽度の症状であればまずはセルフケアから始めてみましょう。
ここからは、EDの改善策についてそれぞれ詳しくご紹介します。
ご自身に合った改善策を見つけてみてください。
ストレスを軽減する
「心因性ED」になる原因の一つとして、精神的なストレスがあります。
ストレスが原因で心因性EDとなった方はストレスを軽減することで、EDの改善が見込めるでしょう。
心因性EDの原因であるストレスを軽減する方法は以下の通り。
- 適度な運動
- 快適な睡眠
- 親しい人との交流
- 笑う
- 仕事から離れた趣味
ストレス解消法の中でも笑う行為は、自律神経を整える効果が認められ健康のためによいとされています。
笑いが身体的指標に及ぼす効果については、ストレス関連指標や自律神経系に及ぼす効果が主に検討されている。
心拍変動を用いて自律神経系機能を評価した研究では、健常者72人において、6分間の偽笑い(面白くなくても笑うという行動をとってもらう)及びユーモアビデオ視聴による自然な笑い後はどちらも介入後に副交感神経機能の上昇、すなわち心身のリラクゼーションに有用であることが確認された
ストレスを軽減してリラックス状態をつくることで、緊張がほぐれてEDが改善する可能性もあるでしょう。
生活習慣の改善
生活習慣を見直すことで、EDの改善が見込める可能性もあります。
具体的な生活習慣の見直しは以下。
- 食生活の見直し(栄養バランスの考慮、飲酒を控える等)※1
- 適切な運動 ※2
- 禁煙
※1参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版」
※2参考:Constance G Bacon「A prospective study of risk factors for erectile dysfunction」
喫煙とED悪化の関連性は以下の実験で認められ、1年間の禁煙で約25%のED改善という結果が出ています。
対象および方法 ニコチン置換療法(NRT)を希望し、勃起障害を訴える喫煙者を対象に、まず高血圧、脂質異常症、糖尿病、精神疾患、薬物歴の有無を評価した。
そして、これらの危険因子を持たない喫煙者のEDのグレードを、国際勃起機能指数(IIEF-5)の5項目版を用いてNRT前に判定し、1年間の追跡調査後にグレード判定を繰り返した。
結果 EDの重症度は、喫煙への曝露レベルと有意な相関があった。
禁煙した118名(元喫煙者)と喫煙を継続した163名(現喫煙者)では、追跡調査前の年齢とED状態に有意差はなかった。
1年後,元喫煙者の25%以上でED状態が改善したが,現喫煙者では改善せず,元喫煙者の2.5%,現喫煙者の6.8%でEDの悪化が認められた。
生活習慣を見直すことで、ED改善だけでなくEDの悪化を食い止められるかもしれません。
心理療法を受ける
心理療法を受けることにより、EDの改善を目指す方法もあります。
EDに対する精神療法は、脱感作療法、感覚焦点法、カップル療法、行動療法、性教育、コミュニケーションと性的な技術の訓練や、マスターベーション訓練などのさまざまな介入が含まれる。
単独の介入や組み合わせた方法を含め、これらの方法のどれが最も有効であるかは明らかでない。
しかし、これらの介入が患者や患者とパートナーの関係や性生活を改善するのに役立つことは臨床経験が示している。
心理療法は特に精神的な原因で起こる「心因性ED」を対象にした療法です。
心因性EDは心理療法とED治療薬を併用することでより効果を感じられるでしょう。
(一部抜粋)心因性 ED に対して PDE5 阻害薬は有効か ?
心因性 ED に対して PDE5 阻害薬単独よりも PDE5 阻害薬と心理療法の併用を強く推奨する。
ED 症状に対する効果
併用療法と PDE5 阻害薬単独の比較(7 件6–10,12,13))では,併用療法が PDE5 阻害薬単独よりも有意な効果を認めた。全体的な効果の大きさは 0.45(95% CI 0.02-0.89)
であり,PDE5 阻害薬単独よりも優位性を示している。
現在ED治療薬を服用している方も、心理療法と併用することでより効果的にED改善を目指せる可能性があります。
ED治療薬を服用する
ED治療薬を服用することで、身体的なED改善が可能でしょう。
ED治療薬は勃起の妨げとなるPDE5という酵素を阻害する働きを持つのが特徴です。
現在はED治療薬として、以下の薬剤がクリニックで処方されています。
- バイアグラ(世界初のED治療薬)
- レビトラ
- シアリス
それぞれ有効成分や効果時間などが異なるため、自身にあった薬剤を見つけましょう。
また、ED治療薬は個人輸入すると偽物や粗悪品が流通している可能性があるため危険を伴います。
満足な効果が得られなかったり重篤な副作用を引き起こす可能性もあるため、クリニックでの処方を受けて入手しましょう。
3種類のED治療薬については以下の記事でそれぞれご紹介していますので、参考にしてみてください。
EDはセルフチェックできる!結果次第ではED治療も検討しましょう!
今回の記事では以下のEDの診断や原因、改善策に関する内容を解説してきました。
- EDはIIEF-5やSHIM、EHSなどで自己診断できる
- EDの原因はストレスや病気、生活習慣など様々ある
- EDはセルフケアである程度の改善が期待できる
- ED治療薬は勃起をサポートしてくれる
EDを疑う場合はご紹介した方法でまずはセルフチェックしてみましょう。
EDを診断されたらセルフケアや本格的なED治療など、改善策は多くあります。
ED改善策の一つとしてED治療薬の服用は勃起をサポートするため、EDの早い改善が見込めるでしょう。
ED治療薬を利用する際は、クリニックでの処方で安全に入手してください。